18日、東京都・後楽園ホールで行われたOPBF東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ12回戦は、同級1位で日本同級チャンピオンの竹迫司登(28歳=ワールドスポーツ)が、王者・細川チャーリー忍(35歳=金子)を119対109、119対109、120対108と、ほぼフルマークの3-0判定で下し、ミドル級2冠王者となった。
上写真=竹迫の強烈な左ボディが細川を襲う
やはりこの日も竹迫に笑顔は見られなかった。これまで12戦11勝(11KO)1分と、勝利はすべて規定ラウンド内に片づけてきたが、今日は初めての判定勝利。「やっぱり倒したかった」と唇をかみしめるのだった。
竹迫は立ち上がりから強烈な左ボディブローから右、あるいは右から左ボディブローのコンビネーションを細川にグサリグサリ。タフな細川は、嫌がりこそすれ、キャンバスに沈まない。だから、竹迫はさらに力んで、上体だけで打ち込む悪癖に陥りかけた。
「力んで空回りするパターンは避けようと。その後、冷静になれたところだけはよかった」(竹迫)
これまで唯一の判定勝負となったのは昨年3月の加藤収二(中野サイトウ)戦。独特の間合いを持つサウスポーの加藤に強打を空転させられ、コツコツと軽打を集められて我を見失いかけた。が、中盤からKO勝ちを捨てて、ショートブローを多く集めることで、辛くもドローに持ち込んだもの。昨年8月の再戦では8回終了TKOに持ち込み決着をつけたが、この2戦が「いい経験になった」(竹迫)のだ。
力んで振り回すことに歯止めをかけて、左右のボディフックを叩き込む。初めての12ラウンド戦も頭に入れて、無闇にスタミナ浪費をしないよう、無駄打ちは極力避けていたように見えた。
一方の細川。強打で迫る竹迫に、前半はリラックスした左右ストレートを放つ。クリンチ際にパンチをねじ込んで、竹迫の苛々を募らせようとする。が、竹迫のプレスにあおられて、ボディをカバーすることに執心し、体を丸めたところへ右を打ち下ろされると、完全に受け身に回ってしまった。竹迫が攻め入ると、上からのしかかってクリンチとホールド。これは細川の悪癖だ。
「ボディは効いてない。(竹迫の)パンチはあまりなかった」と試合後に細川は語ったが、これが強がりでなければ、無意識に体が反応していたということだろう。竹迫のハードパンチに気押され、ブロッキングの時間が長くなり、攻める姿勢を欠いた。4回終了時に40対36、8回終了時には80対72と、3人のジャッジはいずれも竹迫のフルマーク。これを聞いても、先手で攻めるかたちはどうしてもつくれなかった。
「課題が残る試合でした」と、憮然とした表情で竹迫は語る。強打ゆえ、この日の細川のように、それを打たせないよう、苛立たせようとする相手は、この先、山ほど目の前に現れる。そんな相手をどうねじ伏せるか。
距離を築き、相手を誘って打たせる。その隙を突く。そんなボクシングも必要だろう。「こんな性格なので、どうしても打ちにいってしまう」と言うが、下半身主導のボクシングをできるだけに、“退いて刺す”ことも一考してほしい。
2冠王者となった竹迫は、この後は予定どおり、日本王座4度目の防衛戦に臨む。『第41回チャンピオンカーニバル』の一環で、挑戦者は1位で無敗(4勝2KO)の国本陸(22歳=六島)。齊田竜也会長によれば、「4月中旬から5月中旬の間」を予定しているという。
敗れた細川は、2018年9月にOPBFとWBOアジアパシフィック王座を獲得したが、昨年2月の初防衛戦で野中悠樹(当時41歳=井岡弘樹)に判定で敗れており、またしてもV1の壁を破れなかった。受けに回ると消極的一辺倒になってしまう課題を克服したい。身体能力は高いだけに、メンタルの問題のみだと感じる。
文_本間 暁
写真_小河原友信
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