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2021-09-01

【NFL】ペイトリオッツがQBニュートンを放出 ルーキーのジョーンズを先発に起用

ペイトリオッツから放出されたQBニュートン=photo by Getty Images

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米プロフットボールNFLのニューイングランド・ペイトリオッツが、現地8月31日、元リーグMVPのQBキャム・ニュートンをカットした。シーズン開幕前の最終ロースターカットで、放出が決まった。公式サイトNFL.comをはじめ複数の米メディアが伝えた。ペイトリオッツは、ルーキーのマック・ジョーンズを先発QBに起用するという。

 プレシーズンゲームでの内容から、ジョーンズの先発昇格は時間の問題と見られていたが、プロでの実績はゼロ。ニュートンの今季の契約は控えQBであれば、510万ドルのキャップヒットとリーズナブルだったため、経験を買ってチームに残すと予想するメディアが多く、放出のニュースは驚きをもって受け止められている。

 プレシーズンゲーム3戦の成績は、ニュートンが39回スナップを受け、パス14/21で成功率66.6%、162ヤード、1タッチダウン(TD)、1インターセプト(INT)。ジョーンズは107回スナップを受け、36/52で成功率69.2% 、389ヤード、1TD、INTはゼロだった。

 ペイトリオッツのビル・ベリチックヘッドコーチ(HC)はキャンプ前から、「先発QBはニュートン」と明言しながらも、「ニュートンは先発としての力を改めて示さなければならない。そうでないなら、誰かが彼よりも良いプレーをしなければならない」とも言っていた。

 ジョーンズのプレーは、数字以上に印象的だった。プレシーズンゲームでは、プレッシャーに動ぜず、落ち着いて持ち前のクイックリリースから正確なパスを投げ分けた。

 ニューヨーク・ジャイアンツとのプレシーズン第3戦では、5レシーバーのエンプティーも含めた各種の隊形を使いこなした。アラバマ大学時代には、比較的経験の少なかった、アンダーセンターからのドロップバックのパスも正確に決めていた。

 ペイトリオッツとしては、トム・ブレイディ時代に最も近いオフェンスを展開していた。ジョーンズが試合後に「ゲームの流れ」を感じたと語っていた通りの試合だった。

 一方のニュートンは、先週、新型コロナウィルス感染症予防のチームプロトコールを「誤解」していたために、練習を3日間欠席せざるを得ず、ジャイアンツ戦ではパス2/5、10ヤード、1INTと精彩を欠いていた。

      ◇

 ニュートンは1989年5月生まれの32歳。2010年、オーバーン大学で年間最優秀選手のハイズマントロフィーに輝き、2011年にカロライナ・パンサーズにドラフト全体1位指名で入団。196センチ112キロの強靭な肉体を駆使するプレースタイルで、ラン・パス共に優れたQBとして活躍してきた。

 2015年にはパス3837ヤード・35TD、ラン636ヤード・10TDの活躍でリーグ最優秀選手(MVP)にも選出された。パンサーズはレギュラーシーズン15勝1敗でスーパーボウル出場(デンバー・ブロンコスに敗退)した。
 その後は負傷などでパフォーマンスが落ち込み、昨年春パンサーズがニュートンを放出。エースQBブレイディを放出したペイトリオッツが7月にニュートンと契約した。

 ペイトリオッツでは、オフェンスコーディネーターのジョシュ・マクダニエルズのプレーコールにマッチできず、パスは2657ヤード・8TD10INTと精彩を欠いたが、ランでは592ヤード12TDという成績を残していた。

      ◇

 今春のドラフトで1巡15位でペイトリオッツの指名を受けたマック・ジョーンズは、1998年9月生まれで間もなく23歳になる。全米屈指の強豪アラバマ大学では、QBトゥア・タゴバイロア(マイアミ・ドルフィンズ)と同期だったため、当初はプレー機会が無かった。タゴバイロアの負傷によって2019年シーズン途中から先発に昇格した。

 2020年シーズンにパス獲得距離(4500ヤード)、パス成功率(77.4%)、パサーズレーティング(203.1)が全米1位、パスTD数(41)が全米2位という驚異的な活躍でチームを全米王座に導いた。成功率とレーティングは今までの記録を更新して史上最高となった。

 アラバマ大は、今春のNFLドラフトで、オフェンスからジョーンズ以外に4人の選手が1巡指名を受けるほど、豊富なタレントのチームだったために、「ジョーンズの好成績はキャストがそろったチームにいたから」という見方は根強かった。一方で、日本でもプレー経験のある元ミシガン大QBデビン・ガードナーや、タゴバイロアが「ブレイディによく似たスキルセットを持つQB」と評していた。

 4月に出版した『NFLドラフト候補名鑑2021 』でも、アサヒビール・シルバースターの有馬隼人HCが、トレーバー・ローレンス(ジャクソンビル・ジャガース)ら6人の有力候補の中でNo.1と判定した。
 
 有馬HCは「どのようなオフェンススキームでも難なくフィットして、安定した成績を残せるだろう。TEを含めポゼッションレシーバーが豊富にそろっているチームでのデビューを望みたい」と評価した。

 ドラフトでは、アラバマ大のニック・セイバンHCと盟友関係にあるベリチックHCのペイトリオッツが指名。「常勝カレッジから常勝チームへの入団」に、一部ファンは嫌気がさしたのか、指名発表の瞬間には会場内にブーイングが流れていた。

【小座野容斉】

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