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2021-09-10

【ボクシング】渦中のバルデスが前日計量をパス 宿敵コンセイサンと初防衛戦

計量後、にらみ合うバルデス(左)とコンセイサン

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9月10日(日本時間11日)、アメリカ・アリゾナ州ツーソンで行われるWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチの前日計量は、チャンピオンのオスカル・バルデス(メキシコ)が58.9キロ(130ポンド)、挑戦者でリオ五輪ライト級金メダリストのロブソン・コンセイサン(ブラジル)が58.7キロ(129.6ポンド)で、ともにクリアした。

 8月末になって、バルデスにVADA(ボランタリー・アンチドーピング協会)禁止薬物の陽性反応が発覚。WBC、興行主、現地コミッションら関係各位による討議の末に、当初の予定どおりタイトルマッチとして開催されることが決定したが、さらに批判は大きくなった。

「私はアマチュア時代、オリンピアン、プロフェッショナルとして、アンチドーピングのルールを尊重してきた。今まで一度でもパフォーマンス向上の物質を使ったことはない。VADAのテストも初めて世界王者になった2016年からこれまで30回以上受けてきた。今回も自分でVADAのテストを望んだ」とする文書を発表したバルデスは、今回の試合前の会見では「批判に気を取られないようにするのはたしかに難しいことだったが、あくまで試合に集中してきた」と語った。

 今年2月、圧倒的不利の予想を覆し、同胞チャンピオンのミゲール・ベルチェルトを倒し切ってWBCスーパーフェザー級王者となったバルデスは、真面目なナイスガイという印象が強かった。それだけに、薬物陽性の事実を批判される状況に、表情は終始さえなかった。

 ツーソンはバルデスが少年時代を過ごした土地であり、コンセイサンにはアマチュア時代の2009年パンアメリカンゲームで「1ポイント差で」敗れており、リベンジ戦。有利を予想され、「なんとしてもタイトルを守り、あの時の借りを返す」と誓ってはいるが、精神的なダメージの影響は避けられそうにない。

文/宮田有理子 写真/Mikey Williams (Top Rank)

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