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2021-02-22

【ボクシング】壮絶KO! オスカル・バルデスが2階級制覇

顔面からキャンバスに落下したベルチェルトはしばらく身動きできなかった

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 20日(日本時間21日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスで行われた注目のメキシカン対決、WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチで、挑戦者のオスカル・バルデスがチャンピオンのミゲール・ベルチェルトに10回2分59秒KO勝ち。WBOフェザー級に続く世界2階級制覇を達成した。

不利予想を覆し、3度のダウンを奪う

 不利の予想を吹き飛ばす、失神ノックアウト。まだ2月ながら年間KO賞の最有力候補と声が上がる、戦慄のフィニッシュだった。

 WBOフェザー級王座を返上するまで6度の防衛に成功した無敗のバルデスにとって、初めて“アンダードッグ”として上がるリング。小柄な体格とともに、勇敢すぎて被弾が少なくないことも、心配のタネだった。何より、ベルチェルトは強い。長いリーチを生かしたダイナミックな攻撃で6度の防衛に成功し、目下の階級最強とみられていたのだ。数々の名勝負を生んできたメキシカン・ライバル対決の系譜として期待されたこのカードは、ベルチェルトのコロナ感染による延期を経て、今回実現する。そして、「不利と言われていっそう燃える」というバルデスが、キャリア最高のパフォーマンスで勝利へまい進した。

 立ち上がりは気持ちが逸って大振りが目立ったバルデスだが、2回からは猛烈なプレッシャーをかけてきたベルチェルトを的確なジャブ、左フックで迎え撃つ。4回終盤には、左フックを効かせてたたみかけ、カウントを聞かせてみせる。ベルチェルトのダメージは明らかだった。だがその後のラウンド、意地をみせるベルチェルトに対してバルデスは詰めを急ぐことなく、テクニックを披露しながら着々と最終局面への布石を打つ。9回、左構えにスイッチして打った右フックでダウンを奪い、迎えた10回。ベルチェルトの攻め際を狙い、左フックで撃ち抜いた。前のめりにキャンバスに落ちたベルチェルトは、しばらくピクリとも動かなかった。

「僕の勝利を疑った人々に、それが間違いだと証明できてうれしい」と歓喜するバルデスは29戦29勝23KO。同じトップランク社のプロモート下にあるWBO1位、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)の名を挙げ、「同じ階級のベルトを持つチャンピオンや、ファンが望む強敵とこれからも戦い続けたい」と言う。3年前のスコット・クイッグ(イギリス)戦でアゴを割られた後、世界4階級制覇者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)の参謀エディ・レイノソの門下で再出発。被弾を減らし、攻撃力を生かす技術が磨かれた。

 陣営に支えられながらリングを下り、大事をとって病院へ向かったベルチェルトは40戦37勝(33KO)2敗1無効試合。アマチュア時代にオリンピックへの道を阻まれたバルデスへの“雪辱”はならなかった。


勇敢なバルデスは的確な強打でベルチェルトを追い込んでいった

強豪ひしめく階級に尾川堅一が挑む

 日本にも縁の深いこのスーパーフェザー級は今年に入り、激しく動いている。

 伊藤雅雪(横浜光)からWBO王座を奪ったジャーメル・ヘリング(アメリカ)は、世界2階級制覇者カール・フランプトン(イギリス)を迎える防衛戦が春先まで延期。その勝者への挑戦が確実視されていたスティーブンソンは、ターゲットをバルデスに変える可能性が出てきた。WBAは、“スーパー王者”ジャーボンテ・デービス(アメリカ)の下の“正規王座”が1月にレネ・アルバラード(ニカラグア)からロヘール・グティエレス(ベネズエラ)に移った。

 さる2月13日にはIBF王者ジョセフ・ディアス(アメリカ)がシャフカツ・ラヒモフ(タジキスタン)との指名防衛戦を前に、体重超過で王座はく奪。試合はドロー、タイトルは空位のままで、IBFはラヒモフと同級3位の尾川堅一(帝拳)の王座決定戦をオーダーしている。130ポンドの世界戦線から目が離せない。

文◎宮田有理子 Yuriko Miyata 写真◎ゲッティ イメージズ Getty Images

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