アメリカンフットボールの関東大学1部TOP8は、10月2日、東京・調布のアミノバイタルフィールドで開幕し、2試合が行われた。Aブロックの早稲田大学ビッグベアーズ対桜美林大学スリーネイルズクラウンズの1戦は、早大がディフェンスの活躍で桜美林大を撃破した。
早稲田大学ビッグベアーズ○17-5●桜美林大学スリーネイルズクラウンズ(2021年10月2日、アミノバイタルフィールド) 桜美林大は、第1Q9分に、早大からセーフティーを奪って先制した。1昨年の関東BIG8でQBサック8回を記録してサック王となったLB清水友哉が早大のRB田村光をエンドゾーン内でタックルした。
桜美林大は直後のキックオフでDB奥田泰輝が45ヤードのビッグリターン、Kも兼任する清水の47ヤードFGで3点を追加し、5-0とリードした。
第2Q途中までファーストダウンが1度も更新できなかった早大オフェンスだが、いきなりエンジンがかかった。2年生QBの國元孝凱が2本のパスでファーストダウンを重ね調子をつかむと、同学年のWR上野陸へロングパス。キャッチした上野が快走し52ヤードのタッチダウン(TD)となって、早大が逆転した。
早大は、第2Q残り1分からのオフェンスでも、国元が3本のパスを決めて前進すると、K平田智裕の26ヤードフィールドゴール(FG)で10-5として、折り返した。
第3Q、早大は國元のパスや、エースRB吉澤祥の16ヤードランなどで攻め込むと、TE安村共生へのTDパスを決めて17-5とリードを広げた。
後がない桜美林大は、第4Q、1年生QB近田力がノーハドルオフェンスを駆使してエンドゾーンに迫るが、早大DB岸野友哉がパスインターセプト。勝敗はここで事実上決着した。
早大は、QB國元が、214ヤード2TDと安定したパスでオフェンスをリードしたのが大きかった。
奢らず高ぶらず、2年ぶりの甲子園目指す 昨年秋の初戦と同じカード、9-6で僅差の勝利だった早大が、初の甲子園ボウルを目指す桜美林大に勝ち切った。
勝利の原動力となったのはディフェンスだった。特に、永山開一主将が率いるDL陣が、桜美林大の前に立ちはだかった。
196センチ117キロの巨漢DL山田琳太郎が桜美林のRB山田拓海を抱え上げ、豪快なタックル。179センチ110キロのDL毛利圭は、強烈なパスラッシュで、桜美林大QB水越直からインテンショナルグラウンディングの反則を引き出した。
試合最終盤では、味方のキッキングミスから攻め込まれた危地で、DB岸野がエンドゾーン直前で値千金のインターセプトを見せた。
早大ディフェンスが記録したタックルフォーロスは8回。桜美林大オフェンスは、第2Qは24ヤード、第3Qは-4ヤードと、完全に封じ込まれた。
高岡勝監督は「我々はチャレンジャー。今の実力を隠すことなく思い切り出そうということで何とかいい形になった。キャプテンの永山がディフェンスを鼓舞してくれた」と振り返った。
勝利を決めたインターセプトの岸野は4年生の今季からスターターに昇格した。高岡監督は「リーダーシップを持っているし、後ろは彼が中心になって守っている。(フィールド外の)ゴミ拾い活動などでも、すごく頑張っているので、ああいう選手が結果を指してくれるとうれしい」と喜んだ。
昨年は、桜美林大戦の後で、新型コロナウィルス感染症の感染者が出てしまい、第2戦をキャンセル。練習もできなくなって、第3戦の明大戦では完敗、3季連続の甲子園ボウルを逃した。
感染は、寮で一緒だった他部の学生からだったとはいえ、高岡監督は「(第2戦がキャンセルになったため、優勝の可能性が消滅した)立教大学さんには、本当に申し訳ないことをした」と今も謝罪の気持ちを口にする。今季は、自分たちで、可能な限りのコントロールをすることに尽力してきた。
2年生QB國元の活躍など、収穫も多かった初戦。昨年の挫折をバネに、奢らず高ぶらず、2年ぶりの甲子園を目指す。