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2021-10-01

【NFL】「ドラ1対決」バロウvsローレンス、勝ったのはバロウ 第3週サーズデーナイトゲーム

◇ベンガルズvsジャガーズ◆ 第4Q残り1分 パスをキャッチしたベンガルズTEウゾマーが25ヤードをゲイン=photo by Getty Images

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米プロフットボール・NFLは、現地9月30日(日本時間10月1日)、オハイオ州シンシナティで第4週のサーズデイナイトゲームがあり、シンシナティ・ベンガルズとジャクソンビル・ジャガーズが対戦。後半、オフェンスの調子を上げたベンガルズがジャガーズに逆転勝ちして、3勝1敗とした。ジャガーズは開幕4連敗となった。(写真はすべて Getty Images )

シンシナティ・ベンガルズ○24-21●ジャクソンビル・ジャガーズ
(2021年9月30日、ポール・ブラウン スタジアム)

【得点経過】
ジャガーズ第1Q 残り1:28 RBジェームズ・ロビンソン 6ヤードTDラン (キック成功)
8プレー67ヤード, 3:53 [7-0]
ジャガーズ第2Q 残り4:45 QBトレバー・ローレンス 7ヤードTDラン (キック成功)
12プレー80ヤード, 7:10 [14-0]
ベンガルズ第3Q 残り13:12 TE C.J.ウゾマー 22ヤードTDパス←QBジョー・バロウ(キック成功)
4プレー69ヤード, 1:48 [14-7]
ベンガルズ第3Q 残り5:10 RB ジョー・ミクソン1ヤードTDラン(キック成功)
12プレー86ヤード, 6:29 [14-14]
ジャガーズ第4Q 残り14:27 RBロビンソン 4ヤードTDラン(キック成功)
11プレー77ヤード, 5:43 [21-14]
ベンガルズ第4Q 残り8:59 TE ウゾマー 31ヤードTDパス←QBバロウ(キック成功)
10プレー75ヤード, 5:28 [21-21]
ベンガルズ 第4Q 残り0:00 Kイバン・マクファーソン 35ヤードFG
10プレー73ヤード,  5:33 [21-24]
◇ベンガルズvsジャガーズ◆ ラストプレーで決勝FG、右手を突き上げるベンガルズのKマクファーソン=photo by Getty Images

全米王座決定戦の「再戦」 明暗分けた、パス能力の差

 ベンガルズのバロウ、ジャガーズのローレンス。2020年と2021年のドラフト全体1位の対決であるだけでなく、2020年1月のカレッジフットボール全米王座決定戦(ルイジアナ州立大対クレムソン大)で対戦以来の「再戦」となった。
2020年1月、全米王座決定戦で、ルイジアナ州立大のQBジョー・バロウと握手を交わすクレムソン大のQBトレーバー・ローレンス=photo by Getty Images

 1990年代のボクシング・ビッグマッチ風のタイトルを付ければ「バロウvsローレンスⅡ」とでもいう感じだろうか。この試合を、全米で1試合しかないサーズデーナイトに持ってくるところが、NFLのマッチメークの巧みさだ。

 前半はジャガーズのペースだった。OLのゾーンブロックを生かした、RBロビンソンの力強いランでペースを握った。第2Qのドライブでは、RBのダイブプレーと見せて、ローレンスが外を突く、リードオプション風のQBキープで、3回の3rd&ショートをすべて取り切り、2本目のタッチダウン(TD)を挙げた。アーバン・マイヤーヘッドコーチ(HC)らしいプレーだった。

◇ベンガルズvsジャガーズ◆ 第2Q、ジャガーズQBローレンスが自らキープしてTD=photo by Getty Images

 ジャガーズは、前半残り1分弱で、ゴールまで1ヤードの4thダウンギャンブルを阻止されたのが、結果的には、この試合で一番大きな「たられば」となった。

 ベンガルズは、ハーフタイムできっちりアジャストした。後半最初のドライブ、QBバロウからWRジャマール・チェイスへの「ルイジアナ州立大ホットライン」が繋がる。44ヤードのビッグゲインで攻め込んだベンガルズは、バロウがTEウゾマーにTDパスをヒットした。
◇ベンガルズvsジャガーズ◆ ベンガルズQBバロウからのパスをキャッチして走るWRチェイス=photo by Getty Images

 ベンガルズは、次のオフェンスでは、前半ほぼ封じ込まれていた、RBミクソンが力強い走りを見せた。12プレー86ヤードのドライブで、ミクソンは5回36ヤードをゲイン。最後はエンドゾーンに飛び込んだ。

 この後1本づつTDを奪って21-21で迎えた第4Q、2人のQBのパス能力の差が勝敗につながった。
◇ベンガルズvsジャガーズ◆ QBローレンスとの対決を制したベンガルズQBバロウ=photo by Getty Images

 ジャガーズのローレンスは、残り5分余り、3rd&4の場面で、ベンガルズディフェンスのプレッシャーを受けて逃げ、辛うじてサイドラインにパスを投げだした。パスがクイックではないうえに、ファーストターゲットをカバーされてしまうと、ダウンフィールドで他のレシーバーを探す余裕のなさが、このプレーに現れた。

 反対がバロウだった。残り1分9秒、2nd&13で、エンドゾーンまで46ヤード。フィールドゴール(FG)レンジまでは、10ヤード強だったが、ベンガルズのKマクファーソンはルーキーで、この試合最初の43ヤードFGトライは失敗していた。可能なら20ヤードは進みたい場面だった。

 ジャガーズディフェンスは勝負に出た。ブリッツを入れて、3人がバロウに殺到した。バロウは冷静にアウトサイドのTEウゾマーにパスをヒット。内側2枚のレシーバーがブロッカーになるスクリーンパスとなっており、ゾマーは25ヤードをゲイン、敵陣21ヤードまで前進した。

 バロウは「してやったり」と、ガッツポーズ。ベンガルズが勝利に大きく近づいた瞬間だった。
 
 バロウは、パス348ヤード2TD、インターセプトなし。成功率は78.1%に上った。ジャガーズディフェンスがWRチェイスとのホットラインを警戒したため、WRタイラー・ボイドに118ヤード、TEウゾマーへ90ヤード2TDを決めた。

 昨年、膝の靭帯を複数断裂する大けがを負ったバロウだが、最初の2試合が被サック10なのに対して、直近の2試合は1サック。プレッシャーさえなければNFLのスターターQBの中でも上位に入るパス能力があることを示した。

 4連敗のジャガースは、QBローレンスだけでなくマイヤーHCにも、カレッジフットボール時代は決して味わうことのなかったNFLの試練が続く。第3週のカーディナルズ戦、そして、このベンガルズ戦と、試合としては形になってきた。今はとにかく勝利という結果が欲しい。木曜日のゲームだったために、次戦まで中9日ある。その9日間でどれだけ建て直しができるだろうか。
◇ベンガルズvsジャガーズ◆ カレッジフットボール屈指の名将だったジャガーズのマイヤーHCもNFLでは苦戦が続いている=photo by Getty Images

◇ベンガルズvsジャガーズ◆ 第4Q、ジャガーズRBロビンソンがタックルされながらも膝をつかずにTD=photo by Getty Images

【小座野容斉】

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