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2021-10-12

【泣き笑いどすこい劇場】第4回プレゼントその2

平成19年初場所初日、自らの誕生日を白星で飾った玉春日

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寒い時期、心温まる話を聞くのはうれしいものです。平成22(2010)年に突然、全国的に広がった、さまざまな事情から養護施設で暮らす子どもたちに幸せのおすそ分けをする“タイガーマスク運動”もその一つですね。思いがけないプレゼントをもらったり、あげたりすると、もらうほうも、あげるほうも、心豊かになります。今回のキーワードは「プレゼント」です。

自ら祝う誕生日

力士にとって、最高のプレゼントは、なんだかんだ言っても白星に尽きる。平成19(2007)年初場所初日の1月7日は玉春日(元関脇、現片男波親方)の35回目の誕生日だった。

勝っても負けてもあまり表情には出さず、淡々としていることが多かった玉春日だったが、この日だけは別。西前頭11枚目の栃乃花(現二十山親方)に、低く当たって右からおっつけ、休まず攻めて押し出す会心の相撲で勝つと、

「誕生日というよりも、初日に勝てたことがうれしいですね。34歳も35歳もたいして変わらないので、年齢は気にしていません。この白星が、自分へのささやかな誕生祝いです。自分は力士ですから。それだけで十分ですよ」

と目を細くしていた。

この謙虚さがなんともいい。だから、きっと勝利の女神も味方したのに違いない。この場所、なんとこのあと、6連勝し、後半崩れたが、9勝6敗と2場所連続の勝ち越しを決めている。

月刊『相撲』平成23年2月号掲載

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