アメリカンフットボールのXリーグ「X1エリア」は、10月10日、富士通スタジアム川崎で第4節の2試合があった。3戦全勝同士のアサヒビールシルバースター対ディアーズフットボールクラブの一戦は、シルバースターがディアーズを破り、4勝(勝ち点12)とした。ディアーズは3勝1敗(勝ち点9)となった。
「キャプテンからバイスキャプテンへのパスが2本通った。チームを支える幹部のメンバーが結果を出してくれたのは大きかった」と、有馬隼人ヘッドコーチ(HC)はこの場面を振り返った。
このドライブの仕上げはRB岩田和樹。法政大学の主将も務め、大学での実績は上だったが、今は川村の後塵を拝する岩田が、この試合チーム初のTDを上げて逆転した。アウトサイドゾーンのプレーで、OLが綺麗にブロックした穴の内側を走り抜けた。
エクストラポイントでは、シルバースターは7点差を狙って、2ポイントコンバージョンに挑んだが失敗。残り1分57秒からのディアーズオフェンスとなった。
ディアーズには反撃の力は残っていなかった。QB大和田は4thダウンで、右サイドライン沿いを走りあがった前田直輝にロングパスを狙ったが、失敗。試合は終わった。
有馬HC「パスの精度、もう少し向上を」
試合を通じてシルバースターは、スキルポジションが活躍した。25歳のRB川村は、徹底的なマークにあいながらランで89ヤード、パスキャッチでも、実質ランに近いスクリーンパスで29ヤードを走るなど、54ヤードをゲインした。QB安藤は、「開幕時は、デプス上では4番手のQB」(有馬HC)だったが、調子を上げてこの試合に抜てき。前半は日大時代からの盟友・WR林雄太に鋭いパスを決めていた。
それなのに、TDが奪えない、嫌な展開が続いた。
シルバースターは、前半の5回のドライブで計191ヤード、4回の得点チャンスのうち、FG失敗とエンドゾーン直前でのインターセプトで、FG2本の6点にとどまった。後半もオフェンスがドライブを続け、第3Qには2度レッドゾーンに攻め込んだが、FG1本だけだった。
QBだった時代から、有馬HCは、何回となくディアーズと戦ってきた。「後半の粘り強さ、大きなミスをしない、ゲインしてもTDを許してくれない。いつものディアーズの強さだなと思いながら戦っていた。それは当然予想していた」という。
第3Qまでに5回のレッドゾーンで、2FG成功、2FG失敗、1インターセプトで、TDなしという自軍オフェンスについては「エンドゾーン内でのキャッチミスが2本。技術面のズレがあった。パスの精度をもう少し上げていけばTDは取れる」と振り返った有馬HC。
「ただ、レッドゾーン、特にゴール前10ヤードからのディフェンスに関しては、ディアーズはXリーグの中でも最も上手いチーム。フィールドが狭くなった状況で、穴を作らないというか、均等に守ることができる。そういう相手だとわかっていたので驚くことも無かった」と話していた。
ディアーズはがけっぷち
X1エリアは12チーム。総当たりリーグ戦ではないために、前シーズン(2019年)が下位で、対戦スケジュールが比較的緩いチームが勝利を重ねれば、勝ち点で上位チームを上回る可能性がある。X1スーパーに昇格するためには5勝1敗が目安で、4勝2敗では自力昇格が消える。下位で5勝するチームが出てしまえば、昇格は不可能となる。
シルバースターは残り2試合で4勝。昇格に大きく前進した。次節は10月24日の名古屋サイクロンズ戦。一方、3勝1敗となったディアーズは、がけっぷちに追い込まれた。10月24日のアサヒ飲料チャレンジャーズ戦にすべてをかける。
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