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2021-10-23

【ボクシング】多田悦子、まさかの0-3判定で陥落。ヌエンはベトナム初の世界王者に

思わぬ敗戦を喫した多田 ※写真は8月に大阪で行われたエキシビションマッチ

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 23日、韓国・安山で行われたWBO女子世界ミニマム級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオン多田悦子(40歳=真正)が、WBOアジアパシフィック王者で挑戦者のティ・トゥ・ニ・ヌエン(26歳=ベトナム)に94対96、94対96、94対96の0-3判定負けで初防衛に失敗。新王者ヌエンはベトナム初の世界チャンピオンとなった。

 10回終了のゴングが鳴ると、多田は勝利を確信して右腕でガッツポーズをつくった。が、判定が読み上げられるとガックリと肩を落とした。これまでトリニダードトバゴ、メキシコ、マカオと海外での3試合はすべて判定で涙をのんだ(トリニダードトバゴではドロー)が、またしても……である。

 序盤こそ、やや下半身が不安定だった多田とは対照的に、しっかりと安定した下半身から切れ味鋭い右を放ってきたヌエンとは一進一退の様相だった。が、多彩な右ジャブ、左ストレートの上下攻撃は有効で、ヌエンは確実にボディブローを嫌がっていた。だが、思いのほかヌエンは反応がよく、ステップバックでストレートボディをかわし、右をリターンしてくる元気の良さがあったのも確かだった。

 けれども、技術的には多田が数段上。ジャブのテンポ、角度を変えてヌエンを幻惑し、左ストレートは拳を立てたり寝かせたりして放つ。一撃の威力こそ欠いたかもしれないが、ヒット数でも確実に上回っているように感じた。6ラウンドには左右へのサイドステップから、フリッカージャブを多用して左を撒き、ヌエンの右を呼び込んでかわしざま左をリターンする巧さも披露した。

 だが惜しむらくは、ヌエンの連打に足を止めて対抗し、打ち勝とうとしたところだった。多田の左もヒットしたものの、ヌエンの攻撃が生きる距離を与えてしまい、右、左フックを少なからず被弾してしまった。

 左はストレートだけでなく、アッパーカットにも切り替えて着実にヒットを奪った。が、若いヌエンは元気いっぱいに右の連打、あるいは左右連打を打ち込んできた。的確性では多田が優ったものの、ジャッジはその手数をポイントにしたのか。

 9ラウンド、多田の左でヌエンが右目上をカットしたかのように見えたが、レフェリーは偶然のバッティングによるものと裁定し、ドクターチェックを促した。

ベトナム初の世界チャンピオンとなったヌエン 写真_YouTubeチャンネル『COCKY BUFFALO BOXING』チャンネルより
ベトナム初の世界チャンピオンとなったヌエン 写真_YouTubeチャンネル『COCKY BUFFALO BOXING』チャンネルより

 この試合に勝って、かねてから希望していたアメリカに進出するはずだった多田だが、思わぬ伏兵、思わぬ採点に寸断されてしまった。

 多田は27戦20勝(7KO)4敗3分。ヌエンは5戦5勝(1KO)。
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