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2021-08-11

【女子ボクシング】本番さながら! 王者・多田と葉月が特別スパーリングで火花

特別スパーリングとはいえ、真剣勝負を演じた多田(右)と葉月

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 11日、エディオンアリーナ大阪第2競技場のメインイベントで、ノンタイトル戦(48.0kg契約8回戦)を行う予定だったWBO女子世界ミニマム級王者・多田悦子(40歳=真正)と、前OPBF東洋太平洋同級王者・葉月さな(36歳=YuKOフィットネス)の1戦だが、前日に試合中止が発表され、特別スパーリング6ラウンドが行われた。

写真_松村真行

まだまだ進化を遂げる多田のフォーム

多田の左ストレートは強烈に、まともに葉月を捉えた

多田の左ストレートは強烈に、まともに葉月を捉えた

 昨年12月に王座決定戦を制してベルトを巻いた多田には、韓国での指名試合(10月予定)が課されており、「それを前に、ケガをする可能性のある試合は認められない」と直前になってWBOが指示。急遽、スパーリングという形に切り替えられたが、グローブこそ8オンスから10オンスになったものの、ヘッドギアはなし。ほぼ試合同様の形となった。

 これまで獲得した王座は、WBA、IBF、WBO(すべてミニマム級)。最初に世界の頂点に立ったのはもう12年も前(2009年)になる。それでもまだまだ「進化している」と公言する40歳は、本当にそういう姿を体現する。
 いまでこそ華やかになったアマチュアの女子ボクシングだが、多田がトップを張っていた20年前は、日本ボクシング連盟にも正式認可されない活動だった。
 当時からバランスのよいフォームを形成していた多田だが、股関節をしっかりと安定させ、攻防で下半身を利かすスタイルが、ここに来て、さらに急激に花開いている。あのワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を思わせる左右への移動などは、その最たるものだろう。

多田のリズムを狂わせた葉月の連打

葉月の猛烈な連打。威力は欠いたが、多田も受けてしまった

葉月の猛烈な連打。威力は欠いたが、多田も受けてしまった

 しかし、今年1月にコスタリカでIBF王者ヨカスタ・バジェに挑んで破れ、この多田との手合わせを出直しに選んだ葉月の想いは強烈だった。多田のテンポを狂わせる、リズムを刻ませない攻撃を次々と仕掛けていく。悠然と構え、ステップワークなどで魅せようとしていた多田を慌てさせ、本気にさせた。

 葉月の速くてしつこい攻撃を、完全にはかわしきれないが、そこはさすが“レジェンド”。決してまともには浴びない。連打でリズムを潰しにかかることには成功した葉月だが、強打は打ち込めないスタイルだった。
 葉月が5発6発と続ける間隙に、多田はしっかりとタメの利いた左を決め打つ。しかも、タイミングを速めたり遅めたりと変えて打つのだから、葉月もそれには対応できない。最終6回には真正面から浴びて、鼻血も流した。しかし、最後までほぼノンストップで打ちまくった葉月の運動量は驚異的。多田もこれには辟易しただろう。終了ゴングの際、多田は憮然とした表情。清々しい笑顔を見せた葉月とは対照的だった。

「長らく日本女子のトップに君臨してきた多田さんとの試合は、ノンタイトルでも世界戦以上の大きなチャンス。公式戦でなくなったのは残念ですが、今日は胸を借りて、何かを盗めたらと思い、全力で戦いました」と、葉月は今後もまだまだ戦い続ける意欲にあふれている。

多田もアメリカでの試合を熱望

「10月に韓国での防衛を果たしたら、次はアメリカにいる最強の選手と戦いたい」(多田)

 先月、天海ツナミ(山木)からWBOライトフライ級王座を奪い、WBAミニマム級王座と同時保持するセニエサ・エストラーダ(アメリカ)のことだろう。
 21戦全勝(8KO)。「ミニマム級からフライ級までの3階級で、主要4団体王座統一」を目標に掲げているというエストラーダは、あのゴールデンボーイ・プロモーションの秘蔵っ子。その「4団体統一」の中には、もちろん多田も含まれる。その“果たし状”は望むところなのだろう。

 国内女子最多、世界5階級制覇を果たした藤岡奈穂子(竹原慎二&畑山隆則)が、ついにアメリカ進出の風穴をこじ開けた。同じく日本の“レジェンド”の看板を背負う多田ももちろん続きたい。

 日本の女子プロボクシングにも、新たな時代が到来している。

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