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2021-11-24

【NFL】チーフス地区首位に タイタンズに「不思議の負けあり」 第11週のまとめ

◇コルツ 41 vs ビルズ 15◆ ランとパスレシーブで205ヤード5TDという歴史的な活躍を見せたコルツのRBジョナサン・テイラー=photo by Getty Images

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米プロフットボール・NFLは第11週を終えた。NFCでトップのカーディナルスは、控えQBコルト・マッコイの奮闘で2敗をキープ。一方、AFCでは2敗のタイタンズが、地区最下位のテキサンズに敗れるアップセットがあった。チーフスは4連勝でAFC西地区首位に。ビルズも、コルツのRBジョナサン・テイラーの大活躍の前に大敗し、AFC東地区首位の座をペイトリオッツに譲った。ワシントンやイーグルスのようにここへ来て調子を上げてきたチームもあり、例年にも増して混戦のシーズンとなっている。

 現地11月21日日曜日のゲームを振り返った。(写真はすべてGetty Images)

チーフス復調の主役はディフェンス
◇チーフス 19 vs カウボーイズ 9◆QBプレスコットをサックするチーフスDTジョーンズ=photo by Getty Images
◇チーフス 19 vs カウボーイズ 9◆
 エリートオフェンスを有する両チームの対決は、予想に反してディフェンスマッチに。チーフスが序盤で重ねた得点を守って逃げ切った。
 最初のオフェンスシリーズでは、WRタイリーク・ヒルへのリバースでロングゲイン。ゴール前ではTEトラビス・ケルシーがワイルドキャットのQBに入り、ランでTDを奪った。これを皮切りに3ドライブで16点を奪った。
 しかしその後のチーフスは、ダラスディフェンスのプレッシャーに苦しんだ。16点を奪ってから後は、8回のオフェンスシリーズで194ヤードしかゲインできなかった。逃げ切ることができた要因の一つはRBクライド・エドワーズヒレアの復帰だ。最長でも14ヤードとビッグプレーは無かったが、12回63ヤードと堅実な走りを見せた。そして、QBパトリック・マホームズは3サックを喫し、TDパスを決められなかったが、ヒルに9/11の77ヤード、ケルシーに5/8の74ヤードと、決めるべき選手にきっちりデリバリーを続けた。
 ただし、この試合のチーフスの主役はディフェンスだった。27歳のDTクリス・ジョーンズが、カウボーイズオフェンスを混乱させ、破壊した。ジョーンズはQBダク・プレスコットを3.5サックと打ちのめし、QBプレッシャー7回、タックルフォーロス2回、ファンブルフォース1回、ファンブルリカバー1回を記録。第4Q、カウボーイズの最後の反撃では、プレスコットのパスを叩いて軌道を狂わせインターセプトにつなげた。
 NFLのネクストジェネレーションスタッツによると、チーフスディフェンスは、カウボーイズのドロップバックの33.3%でQBプレスコットにプレッシャーをかけた。今季7勝したゲームでは29.3%、4敗では23.1%でプレッシャーをかけていたという。
敗れたカウボーイズで気を吐いたのはOLBマイカー・パーソンズだ。この試合で2サックを決めたパーソンズは、10試合で8サック以上、40タックル以上を記録している。この数字は過去20年ではルーキーとしては2人目で、2011年のボン・ミラー以来という。

超人テイラー5TDでビルズ粉砕
◇コルツ 41 vs ビルズ 15◆だれも止められないコルツRBテイラー。ビルズは完敗した=photo by Getty Images

◇コルツ 41 vs ビルズ 15◆
 AFC南地区には、スーパーなRBが次々と登場する。つい数週間前までは、それがタイタンズの「キング」デリック・ヘンリーだったが、今はコルツのジョナサン・テイラーだ。そのテイラーとコルツオフェンスが、ビルズを粉砕した。テイラーはラン32回185ヤード4TD、パスキャッチ3回19ヤード1TD。合計205ヤード5TDという超人的な活躍を見せた。ランとパスキャッチの合計で1試合200ヤード以上、5TD以上を記録した選手は、スーパーボウルが始まって以降の時代では、史上5人目だという。テイラーは、この試合で早くも今季のラン1000ヤードの大台を突破し、1122ヤード13TDとなった。
 ボールを渡せばTDしてしまうテイラーに、ビルズは後手後手に回った。パス能力が高いQBジョシュ・アレンだが、意外にもリードされているゲームでのキャッチアップは得意ではない。TD2本を決めたが、インターセプトも同じ数だけ喫した。アレンは、10点以上リードされた試合の成績が2勝12敗、2インターセプト以上の試合は1勝10敗となった。
 3連勝し、今シーズン初めて勝率5割を超えたコルツだが、次週がバッカニアーズ、その後ペイトリオッツ、カーディナルス、レイダースと、強豪との対戦が続く。プレーオフ進出をかけて最低でも五分の星を残したい。
 敗れたビルズは6勝4敗でAFC東地区首位の座をペイトリオッツに譲った。

ニュートンが先発復帰、敗戦の中に収穫
◇ワシントン27 vs パンサーズ 21◆パスとランで3TDのQBニュートン=photo by Getty Images
◇ワシントン27 vs パンサーズ 21◆
 ロン・リベラHCが、得意のパワーフットボールで、長年自分が指揮したパンサーズ相手に勝ち切った。RBアントニオ・ギブソンが19回95ヤード、J.D.マキシックが7回46ヤードなど、ランは合計40プレーで190ヤードをゲイン。確実に進むランをベースに、QBテイラー・ハイニケが要所でTDパスを決めた。ワシントンは25点以上獲得した試合では4戦全勝となった。
 6敗目となる手痛い負けを喫したパンサーズだが、収穫はあった。パンサーズQBとしては2019年第2週以来の先発復帰となったキャム・ニュートンが、パス189ヤード、成功率77%で2TD。ランでも46ヤード1TDと持ち味を発揮した。ニュートンのパスは10ヤード以上が7回中6回成功。一方でゲーム終盤の4thダウンギャンブルは、パス失敗とQBサック。かってのような、絶対的切り札としてでなく、RBクリスチャン・マキャフリーら、周囲のキャストを生かすQBとして生まれ変わることが求められている。

ミスター「サヨナラFG」ジョセフが決めた
◇バイキングス 34 vs パッカーズ 31◆決勝のFGを決め、チームメートに担ぎ上げられるバイキングスKジョセフ=photo by Getty Images
◇バイキングス 34 vs パッカーズ 31◆
 地区内ライバル同士の熾烈な戦いは、バイキングスの逆転勝ちとなった。試合最後のプレーでKグレッグ・ジョセフが「サヨナラ」フィールドゴール(FG)を決めた。
 今季のバイキングスほど、接戦を経験しているチームは珍しい。1ポゼッション以内の決着が11試合中10試合。延長オーバータイムもすでに3試合を戦った。ジョセフのサヨナラFGもこれが2試合目だ。
 試合を通じてリードする展開が続いた。第2Qの冒頭では13点差。第4Q7分には、パッカーズQBアーロン・ロジャースからWRダバンテ・アダムスのホットラインを通されて、1時的に逆転を許したが、大エースに成長した2年目のWRジャスティン・ジェファーソンのこの日2本目のTDで勝ち越した。しかし、ロジャースが直後のオフェンスで75ヤードのTDパスを決めて追いついてきた。
 31-31で始まった残り2分8秒からのドライブで、QBカーク・カズンズ、そして全米のバイキングスファンが肝を冷やしたのが、自陣でパッカーズのダーネル・サベージに奪われそうになったパスだろう。いったんはインターセプトの判定が下ったが、オフィシャルリビューによって覆った。これがバイキングスの今季5勝目につながった。
パッカーズはオフェンストータル467ヤード。QBロジャースはパス385ヤード4TDでインターセプトはゼロと、ほぼ完ぺきなパフォーマンスだったが、ディフェンスが持ちこたえられなかった。8回の反則で92ヤードを罰退したのも響いた。

またもアップセット食らったタイタンズ
◇テキサンズ 22 vs タイタンズ 13◆ランで2TDを決めたテキサンズQBテイラー=photo by Getty Images
◇テキサンズ 22 vs タイタンズ 13◆
 AFCトップ、8勝2敗のタイタンズが、第2週から8連敗のテキサンズにアップセットを食らった。
タイタンズは第1Q、この試合の2度目のドライブでレッドゾーンまで攻め込みながら、QBライアン・タネヒルがインターセプト。ここからタネヒルのリズムが狂った。テキサンズが、最初の3ポゼッションで得点し、二桁のリードを奪ったのも拍車をかけた。
タイタンズらしからぬパスを多投するオフェンスで追いつこうとするが、エンドゾーンが遠かった。第4Qには3インターセプトを記録し、計4インターセプト、タネヒルのキャリアで最悪の数字となった。
 対照的だったのは、テキサンズQBタイロッド・テイラーのパフォーマンスだ。パスは14/24で107ヤードと凡庸で、獲得ヤードはタネヒルの323ヤードの1/3以下だった。。だが、ランで2本のTDを決めた。NFL.comは、そんなテイラーのプレーを「ファンタジーフットボールのポイントは稼げなかったが、それ以上のものを産み出す、価値ある真のリーダー」とほめたたえた。
 テキサンズの8勝のうち7勝は、昨年プレーオフに進出したチームから上げたもの。だが、3敗のうち2敗はその時点で0勝3敗のジェッツと、1勝8敗のテキサンズから喫したもの。RBデリックヘンリーの負傷欠場が痛いのはわかるが、この日はランでもテキサンズを上回っていた。なぜそうなってしまうのか。米のメディアや評論家もこの現象に戸惑っている。

シーホークス7敗目 プレーオフに黄信号
◇カーディナルス 23 vs シーホークス 13◆35歳のQBマッコイは7年ぶりパス300ヤード超えの活躍を見せた=photo by Getty Images
◇カーディナルス 23 vs シーホークス 13◆
 シーホークスがプレーオフ進出に黄信号がともる今季7敗目を喫した。オフェンスが失った活力を取り戻せていない。QBラッセル・ウィルソンが復帰して2週目のこの試合でも、それが現れた。パスは207ヤードでインターセプトこそなかったが、TDパスも決められず。3rdダウンコンバージョンは2/10だった。D.K.メトカーフが8回ターゲットになりながら4回しか捕球できず、わずか31ヤードにとどまったのが今のシーホークスを象徴していた。4回のサックのうち、3回はブリッツによるもので、OLのパスプロテクションばかりが問題ではない。
 ウィルソンが負傷前の試合も含めて、先発したゲームで3連敗となったが、これはキャリア初という。
 対照的だったのはカーディナルスのQBコルト・マッコイだ。テキサス大時代は、サム・ブラッドフォード、ティム・ティーボウというスターとハイズマントロフィー争いを演じたマッコイは35歳。ライバル2人はとうにフットボールから引退したが、マッコイはパス35/44、ワシントン時代の2014年以来7年ぶりの300ヤード越えとなる328ヤード2TDを記録した。
 マッコイのオフェンスは、中身も濃かった。ファーストドライブで16プレー82ヤードで9分27秒を費やした。3回目のオフェンスでは13プレー92ヤードを6分31秒かけて進んだ。いずれもTEザックアーツへのTDパスで締めくくった。エースQBカイラー・マレイが不在の中2勝1敗としたマッコイの奮闘は、チームにとってうれしい誤算だったかもしれない。
 カーディナルスはNFLトップの9勝2敗となった。

イーグルス、強力地上戦で建て直し
◇イーグルス 40 vs セインツ 29◆イーグルスQBハーツをタックルに行ったセインツDEグランダーソンが動きについていけずに転倒=photo by Getty Images(BBM-Sports)
◇イーグルス 40 vs セインツ 29◆
 イーグルスが地上戦で勝利した。RBマイルス・サンダース(94ヤード)、QBジェイレン・ハーツ(69ヤード)、RBジョーダン・ハワード(63ヤード)、RBボストン・スコット(16ヤード)の合計でラン242ヤードを記録、タイムオブポゼッションでセインツに14分の差をつけた。イーグルスは、4試合連続でラン175ヤード以上。サンダース、ハーツ、ハワードが4試合すべてで40ヤード以上走っているが、これは1950年以降のNFLでは2チーム目という。
 QBハーツは、パスは成功率54%で147ヤードにとどまったが、インターセプトは無く、ランが出る以上無駄なパスを投げずにゲームをコントロールした感がある。ハーツはランで3TDを記録したが、これはイーグルスのQBとしては初めて。
 第4Qにオプションで外に持ち出したと見せてインサイドにカットを踏んだTDランは、ハーツをタックルに行ったセインツDEカール・グランダーソンが動きについていけずに転倒するほどだった。
 セインツは、第4Qに22点を返したが、イーグルスには最後まで余裕があった。
 イーグルスはこの4試合で3勝1敗と巻き返してきた。序盤で喫した連敗のせいでまだ黒星が先行しているが、チームの状態は良い。一方のセインツは3連敗で、勝率5割となった。

◇レイブンズ 16 vs ベアーズ 13◆
◇ブラウンズ 13 vs ライオンズ 10◆
◇ドルフィンズ 24 vs ジェッツ 17◆
◇49ERS 30 vs ジャガーズ 10◆
◇ベンガルズ 32 vs レイダース 13◆
◇チャージャーズ 41 vs スティーラーズ 37◆

11月22日マンデーナイトゲーム
◇バッカニアーズ30 vs ジャイアンツ10◆

【小座野容斉】

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