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2021-11-30

【NFL】「反則負け」「貧攻」「勝負弱さ」…感謝祭に負けるべくして負けた3チーム

◇ビルズ31 vs セインツ6◆今季3度目の前半無得点。深刻なオフェンスの得点力不足にセインツのペイトンHCの悩みは深い=photo by Getty Images

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米プロフットボール・NFLは第12週を終えた。11月25日、「感謝祭」(サンクスギビングデー)の3試合から、29日のマンデーナイトゲームまでを追った。まずは感謝祭の3試合。敗れたカウボーイズ、ライオンズは毎年、感謝祭の試合で戦うことになっている。今年のセインツも加えた、3つのホストチームが、敗れるには敗れるだけの理由があった。(写真はすべて Getty Images )


カウボーイズ、反則14回、166ヤード罰退
◇レイダース36 vs カウボーイズ33◆=photo by Getty Images

◇レイダース36 vs カウボーイズ33◆
カウボーイズの反則負け。そう言いたくようなゲームだった。カウボーイズが喫した反則は14回、罰退距離は166ヤード。レイダースの28回のファーストダウンのうち7回が反則によるものだった。特にカウボーイズのDBアンソニー・ブラウンが狙い撃ちにされた。ブラウンが犯したパスインターフェアランスは4回。すべて3rdダウンコンバージョンだった。特に延長オーバータイムの3rd&18ヤードからのQBデレク・カーのパスで、33ヤードの反則となり、一気にフィールドゴール(FG)レンジに入られて直接の敗因となった。
 レイダースは、QBカーのロングボムが連敗ストップに大きく貢献した。カーは56ヤード、55ヤード、35ヤード、31ヤード、30ヤードと、30ヤード以上のパスを5回決めた。一番長い56ヤードは、今月加入した、ベテランWRのデショーン・ジャクソンにヒットしたものだった。レイダースはランでもRBジョシュ・ジェイコブスの22回87ヤードを筆頭にラン35回で143ヤード2TDを記録。トータル77プレーで507ヤードをゲインした。
 カーは通算パスが30,000ヤードを超えたが、NFL8年目での大台突破は史上5人目だという。過去には、ペイトン・マニング、ダン・マリーノ、マット・ライアン、マシュー・スタフォードが名を連ねている。
 レイダースは今季加入のDEヤニック・エンガコエが今季8サック目で通算53.5サック。NFL6年目のエンガコエは二桁サックは1回だが、6年連続で8サック以上を記録している。これはNFL5人目で、過去にはレジー・ホワイト、デリック・トーマス、デマーカス・ウェア、アーロン・ドナルドというレジェンドだけが達成している。

セインツ、深刻なオフェンスの得点力不足
◇ビルズ31 vs セインツ6◆セインツの英雄、元QBのブリーズを迎えてセレモニーが開かれたが・・・=photo by Getty Images
◇ビルズ31 vs セインツ6◆
 セインツはオフェンスが深刻な状況。ショーン・ペイトンHCも頭が痛い。RBアルビン・カマラに加え、マークイングラムも負傷で離脱したため、前半終了時27プレーで64ヤードしか進まずに無得点。前半に得点できなかったのは今季3度目だ。パスの上手さはあるが、決定力に欠けるQBトレーバー・シーミアンでは荷が重すぎた。セインツの初得点は24-0とリードされて第4Qに入ってからのものだった。この日、ハーフタイムは、前シーズンで引退した元QB、セインツの英雄、ドリュー・ブリーズを迎えてのセレモニー。わずか1年で様変わりしてしまったセインツのオフェンスに、ファンも歯噛みしているだろう。
 ビルズが強いか弱いかは、QBジョシュ・アレンのパフォーマンスに直結している。この日のアレンはパス23/28、260ヤード、4タッチダウン(TD)と良い働きを見せた。忘れてはならないのが、前半は2インターセプト(INT)1TDから立て直したということだ。アレンの成功はランフェイクによってもたらされた。NFLのネクストジェネレーションスタッツによると、プレーアクション時のパスは11/13、136ヤード、3TD1INTだったという。
レシーバー陣ではステフォン・ディグスは7レシーブ、74ヤード、1TD。TEドーソン・ノックスは3回32ヤードながら、2TDレシーブ。今季7TDは、TEとしてシーズンチーム記録を作った。ピート・メッツェラーズ(1992年)、ジェイ・リマーズマ(1998年)、スコット・チャンドラー(2011年、2012年)の3TEのタイ記録を更新した。

ライオンズ、残り8分30秒すべて使われて逆転負け

◇ベアーズ16 vs ライオンズ14◆ベアーズのナギーHCと「グータッチ」するQBダルトン=photo by Getty Images
◇ベアーズ16 vs ライオンズ14◆
5連敗のベアーズと、引き分けを挟んで10連敗のライオンズ。先に連敗を止めたのはベアーズだった。
 なんとか今季初勝利が欲しいライオンズは、QBジャレッド・ゴフが、第1Qに先制のTDパス、第3Qにも逆転TDパスを決めた。ゴフのパスは成功率84%、2TD1INTで決して悪くは無かった。
しかし、RBのディアンドレ・スイフトが、負傷で途中からリタイアし、代役のRBジャマールレイノルズは迫力を欠いた。連敗を吹き飛ばす爆発力がこの日もオフェンスに無かった。ディフェンスも、ゲーム最終盤で2点差を守り切ることができなかった。
 負傷のルーキーQBジャスティン・フィールズに代わって出場しているベアーズのアンディ・ダルトンはパス317ヤード、1TD、1INT。決して優れていたわけではなかったが、前半にはWRダーネル・ムーニーに52ヤードパスを決め、TEジミー・グラハムには17ヤードのTDパスをヒットした。
 そして、2点を追う第4Qのオフェンスで、歴戦のベテランらしいクオーターバッキングを見せた。FGレンジには、残り4分の段階で進んでいたが、そこからゆっくりと時間を使って攻め続けた。2度の3rdダウンコンバージョンをクリアし、スクランブルでファーストダウンを奪う場面もあった。そして2分を切ってからは、ライオンズゴール前4ヤードから、3回膝をついて時間を進めた。残り1秒、試合最後のプレーでベアーズKカイロ・サントスが逆転のFGを決めた。19プレーかけて8分30秒を使い切った、勝利へのドライブだった。
 ライオンズはサンクスギビングデーゲームは5連敗となった。

【小座野容斉】

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