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2021-12-06

【ボクシング】柳達也が7回負傷判定で小澤剛下すも、不満の再起

強引な攻めが目立った柳

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 6日、東京・後楽園ホールで行われた62.0kg契約8回戦は、日本ライト級8位の柳達也(32歳=伴流)が、元日本ランカーの小澤剛(おざわ・つよし、36歳=鴻巣茂野)に7回1分4秒3-0負傷判定(68対64、68対64、68対64)で勝ち、6月に新鋭・清田亨(大橋)に2回TKO負けを喫した試合から再起した。

写真_小河原友信

 採点は文句なし。勝ち方が不本意だったというわけでもない。だが、柳らしさがまったくなかった試合だったという点だけが引っかかった。

「足を動かせ!」と試合中、しきりにセコンドの団太路会長からの指示が飛ぶ。それに反応し、ほんのわずかながらサイドへ動こうという素振りは見せるのだが続かない。今年7月に、8年8ヵ月ぶりにリング復帰を果たした小澤の突貫攻撃を真正面から受け止めてしまう。強引にパンチをねじ込んでいく姿は、本来の柳のそれではなかった。

「原因不明の脱水症状が10月ぐらいから続いていて、走っていてもジムワークをしていても、動けなくなってしまった」。精密検査も受けて、特に問題がなかったことは幸いだったが、まともなトレーニングはままならず、「ずっと不安が続いた。今日も最後までもつかどうかという感じだった」

初回にダウンを奪った柳だが「そこで攻め切る気はなかった」
初回にダウンを奪った柳だが「そこで攻め切る気はなかった」

 初回、連打から左フックで小澤からダウンを奪ったが、そこで一気に試合を決める気はなかった。「前回も打ち気に逸ってもらってしまったから」。あくまでも、足を機能させて少しずつ体をずらしていく防御、巧みなポジショニングからの攻撃がベース。しかし、それができずにポイント差以上に苦労した。

 6回、バッティングで左目上を腫らし、右目上も加撃で腫れた小澤は、7回途中に2度目のドクターチェックを受けてストップに。来年4月で37歳を迎えるが、柳に勝って日本ランク復帰→現役続行の希望は叶わなかった。復帰以前からのしぶといボクシングは健在で、来年の誕生日までに日本ランカーとの対戦を目指すのだろう。21戦15勝(2KO)5敗1分。

「スポーツジムでのインストラクターを辞めて、ボクシングに専念していますが、それで生活のリズムが変わったことが体調に影響したのかもしれない」と柳。「練習を頑張りすぎたところも見直さなければ」と団会長。あくまでも、“動いてずらす”ボクシングの安定を期し、いまだ実現しない王座挑戦を追いかける。27戦18勝(7KO)7敗2分。

安藤が中山に快勝/松本と池田はドロー

安藤の強烈な右が中山にヒット
安藤の強烈な右が中山にヒット

 セミファイナルのフライ級8回戦では、日本ミニマム級9位にランクされる安藤教祐(あんどう・こうすけ、29歳=KG大和)が中山祐太(26歳=一力)に3回2分58秒で鮮やかなKO勝ちを収めた。
 WBOアジアパシフィック王座挑戦(6月、山内涼太=角海老宝石)にTKO負けを喫してからの再起戦になる中山に対し、安藤はスピードを抑えた左ジャブを繰り出す。2回、このジャブに中山の右クロスを合わされるシーンもあったが、シャープなストレートで逆に追い込む。そして3回、安藤のジャブは鋭くなる。それから右アッパーのカウンターをヒット。ヒザを落とした中山を追って安藤が右のパンチを乱打する。すでに足もとがバタバタになっていた中山は耐えきれず、そのままダウンする。立ち上がったが、ダメージを見て取ったレフェリーはそのままカウントアウトした。
 安藤は13戦10勝(5KO)3敗。半年前のTKO勝ちが4年ぶりの規定ラウンド内の勝利。そんな戦績がうそに聞こえるほど、右の強打は素晴らしい。攻めの選択肢がもっと広がれば、さらに危険なパンチャーに育っていくかもしれない。中山は14戦8勝(5KO)5敗1分。

松本(右)と池田は引き分けとなったが……
松本(右)と池田は引き分けとなったが……

 スーパーライト級8回戦は、日本同級6位の松本北斗(25歳=三迫)と、元日本ランカーの池田竜司(26歳=竹原慎二&畑山隆則)が77対75(松本)、76対76、76対76の1-0で引き分けとなった。
 左腕と上体を上下させながらリズムを作った松本は、パンチを放って誘い、ロープを背負ってリターンを狙う池田のパンチに左フック、右を合わせていく。池田は荒々しいスイングと、バッティングも辞さない突進を見せて、松本を巻き込みたかったが、技術的には松本が上。池田の大振りの間隙に、細かいパンチを集めてポイントを握ったかに見えた。
 だが、判定はドロー。池田の左右フックを、グローブによる巧みなカバーで防ぎ、それでもリズムを築いた松本のアクションは評価されなかったようだ。池田の迫力に、ジャッジも圧倒されたということなのだろうか。
 松本は12戦7勝(1KO)4敗1分。池田は14勝(9KO)7敗5分。

文_本間 暁(柳対小澤、松本対池田)、宮崎正博(安藤対中山)

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