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2021-12-15

【箱根駅伝の一番星】石田洸介だけじゃない! 次代の東洋大学を担うルーキー・梅崎蓮「自信を持ってスタートラインに」

東洋大ルーキーとして存在感を示し始めた梅崎

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陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。「鉄紺」東洋大学のルーキーでは、石田洸介にスポットライトが当たっているが、梅崎蓮の存在も忘れてはならない。学生駅伝デビュー戦となった全日本大学駅伝5区では区間4位の走りで3人抜き。その存在感を大いに知らしめた。高校時代から全国トップレベルで活躍してきた男は、良きチームメイトでもある石田、そして他校の同期生に負けじと、箱根路に挑む。

大学駅伝デビュー戦で好走

ルーキーの石田洸介(東洋大)が出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で連続区間賞を獲得して注目を集めたが、同期生の梅崎蓮も負けてはいない。全日本で5区を任された梅崎は、4区の石田から8位でタスキを受けると、3校を抜いて5位に浮上した。

「石田が良い流れでつないでくれたので、自分が前に追い付かないといけないと思いました。最初から速いペースで入りましたが、動きが良かったので、後半も落ちないだろうと思ってそのまま行きました」

印象的だったのは、3校を抜くときにも並走はせず、視線が前へ、前へと向いていたこと。梅崎が見ていたのは、11秒前の6位でスタートした佐藤一世(青山学院大2年)だったという。前回、1年生ながら同区の区間記録を樹立した佐藤は、梅崎を上回るハイペースでぐんぐん順位を上げていたが、最後までその背中を追うことをあきらめなかった。

最終的に3位に上がった佐藤が区間賞、梅崎は28秒差の区間4位。同じ1年生の石塚陽士(早稲田大)と同タイムだったことから、「石塚君に1秒でも勝ちたかった」と悔しさをにじませながらも、現状の力を出し切った様子だった。堂々と役割を果たした梅崎の姿に、石田は「自分が1つしか順位を上げられなかった分を、カバーしてくれてうれしかったです。頼もしい同期生だと思いました」と微笑んだ。


全日本大学駅伝5区では3人抜き、区間4位の走りを見せた

得意のロードで大崩れしない走りを

中学まで全国大会の出場経験がなかった梅崎が飛躍を遂げたのは、愛媛・宇和島東高2年時。その頃から、高校の先輩にマラソンの現・日本記録保持者となった鈴木健吾(神奈川大→富士通)がいることを知り、箱根駅伝にも興味を持つようになったという。2019年沖縄インターハイでは5000mで14位。当時2年生の日本人選手で決勝に残ったのは、石塚、石田、梅崎ら5人しかいない。そして、3年時の全国高校駅伝では、花の1区で11位と好走した。

東洋大への進学を決めたのは、2009年の箱根駅伝初優勝から11年続けて3位以内を守った実績と、酒井俊幸監督の指導方針に惹かれたから。「ここなら自分も成長できると思った」と話す。

ただ、気持ちを新たに大学に入学したものの、春に左の大腿骨を疲労骨折して、6月まで走れなかった。その間には他大学のルーキーの活躍が気になったが、「今は我慢して、しっかり駅伝シーズンに合わせようという思いでやっていました」と振り返る。

完治してからは、順調にトレーニングを消化。夏合宿はBチームからスタートしたが、そこで懸命に練習をこなし、後半にはAチームに。「30㎞走ができましたし、一番大切な単独走の練習でチーム内の上位に食い込めて、自信になりました」と、満を持して駅伝シーズンを迎えた。三大駅伝初戦の出雲は不出場だったが、「石田が区間賞を取って、自分も負けたくないという思いがさらに強くなりました」と刺激を受けた。

1年目ということもあり、箱根駅伝で走りたい区間は特にないそうだが、「ロードの方が走りやすい。どちらかと言えば復路向き」と自己分析。1区間の距離が20㎞を超える箱根駅伝に向け、「長い距離の練習をしっかりやって、自信を持ってスタートラインに立ちたい」と決意を語る。

大崩れしない走りと粘りが持ち味で、大舞台でもあまり緊張しないという梅崎。初の箱根駅伝でも臆することなく、任された区間で勝負度胸を発揮するだろう。

うめざき・れん◎2002年8月14日、愛媛県生まれ。168cm・58.5kg、O型。城北中→宇和島東高(愛媛)。高校時代から全国レベルで頭角を表し、2年時に出場した沖縄インターハイ5000mでは14位、3年時の全国高校駅伝では1区11位の戦績を残した。大学入学後はケガで出遅れたものの、夏合宿以降に力を発揮し、全日本大学駅伝では5区区間4位の走りを見せた。自己ベストは5000m14分14秒95、10000m30分41秒43(共に2020年)。

文/石井安里 写真/中野英聡、田中慎一郎

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