御嶽海(寄り切り)正代10日目に初黒星を喫し、1敗で照ノ富士に並ばれてしまった御嶽海。11日目は大関正代と顔が合った。過去の対戦は御嶽海が14勝10敗とリード。現状の力関係では関脇の御嶽海が上になっている。正代は意地を見せたいところだ。
立ち合いは御嶽海の踏み込みが勝り、右を差して前進。正代に得意の左を差させなかった。正代は左上手を取って胸を合わせるも、右四つでは勝手が悪い。御嶽海が休まず前に圧力を掛け続けて寄り切り10勝目。初めて三役で連続二ケタ勝利を挙げた。正代は7敗とあとがなくなった。
目標の二ケタ勝利を達成した御嶽海は、「これまで三役で連続二ケタはなかったので、素直にうれしいです。昨日は一番悔しい相撲で負けてしまって、その思いをぶつけて絶対に白星を取ろうと思っていた。しっかり集中できました」と笑顔を見せる。
思い描いた相撲とは違う形になったが、「四つになったけど、前に出る意識があったのがよかった。本当に緊張しました。ドキドキしたけど、大関の中に入って前に出ることができました」と振り返った。
残り4日、全部勝てば、場所後の大関昇進も現実的になるが、「そこは考えてないです。あと4日あるので、引かない相撲を取れば次につながると思う。一日一番、自分の相撲、前に出る魅力ある相撲を取っていきたいです」と大関昇進や優勝は意識せず、その日の相撲に集中していく心構えだ。
結びで照ノ富士が千代翔馬をじっくりと料理し、優勝争いは1敗で照ノ富士、御嶽海が並走。2敗で平幕の阿炎1人が追う展開となった。12日目は照ノ富士が明生、御嶽海は阿武咲と対戦。おそらく13日目に御嶽海と阿炎が組まれるだろう。そして、14日目は照ノ富士に阿炎をぶつけるかもしれない。千秋楽は照ノ富士と御嶽海の大一番。その場合、照ノ富士-正代戦が消滅する。
最後にミニ情報。12日目に十両で德勝龍と琴裕将の一番が組まれたが、十両以上で奈良県出身同士の対戦は、戦中最後の本場所となった昭和20年夏場所の二瀬川(西前2)と笠置山(東前9)の一番以来、77年ぶりのこと。このときは寄り切って二瀬川が勝っている。
文=山口亜土