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2022-02-06

【ボクシング】日本バンタム級王座決定戦。澤田京介、大流血の末に念願の王座獲得

血を流しながら大嶋(右)に迫る澤田。33歳の執念がうわまった

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 日本バンタム級王座決定戦、1位の澤田京介(JBスポーツ=33歳)対2位、大嶋剣心(帝拳=26歳)の10回戦は、5日、東京・後楽園ホールで行われた。試合は5回27秒、バッティングによる澤田の負傷によってストップ。それまでの採点で2-1でリードしていた澤田が負傷判定勝ちで、タイトルを手に入れた。

 新型コロナウイルス流行による延期、負傷引き分けで決着つかず、対戦者のウェイトオーバーで試合が消滅。揺れに揺らいで1年以上も空白だった日本バンタム級に、ようやく新チャンピオンが生まれた。その戦いは終始打撃戦。ただし、厳しい評価になるが、「白熱の」という形容より、「やや大味な」と言うほうがより近かったかもしれない。

 くむべき事情は双方にある。引き分け、試合消滅などの当事者だった澤田は、今度こその意気に燃えていたはず。当然、気持ちが先立つ。挑戦の権利を手にしたまま2年半ぶりの実戦となった大嶋が、どのパンチにも余剰の力が入ってしまっていたのも確かだった。

 初回は右ストレートの応酬。手数、正確さでは澤田が勝ったが、大嶋の右ストレートも光る。そして、結果的に勝負の分かれ目になったのは2ラウンドだった。大嶋の左フックでわずかに足をばたつかせた澤田だったが、打ち合いに出ると、タイムリーな右をヒット。大きくバランスを崩して後ずさりする大嶋の体がロープ中断に引っかかったところで、レフェリーはダウンを取った。
「このベルトがうれしい」。勝者は歓喜を爆発させた
「このベルトがうれしい」。勝者は歓喜を爆発させた

 3ラウンド以降も戦いは荒れる。潜り込んで戦う澤田の頭がぶつかり、左側頭部から大流血。さらに4ラウンドには右目上にも傷口を作った。2度、ドクターのチェックが入ったが、試合は続行。両者とも顔面、上体を血に染めて戦ううちに、5回開始直後の3度目のドクターチェック後にようやくストップがかかった。

 それまでの採点では48対47で澤田と大嶋が1人づつ。残る1人が48対46で澤田リードとして勝負は決まった。バタついた印象のまま試合終了となり、ともに本領発揮はこれからだったのかもしれないが、澤田のアマ80戦以上、プロ18戦のキャリアが勝運を引き寄せたとも言えよう。

「信じられないくらいに嬉しい。ダウンを取って有利だとは思ったが、確信はありませんでした。大嶋選手は気持ちが強く、打ち合って勝ちたかったです」。苦労した分、澤田は喜びを爆発させていた。
KO負けからの再起戦になる湯場(右)は無難に判定勝ち
KO負けからの再起戦になる湯場(右)は無難に判定勝ち

 セミファイナルのスーパーライト級8回戦では、湯場海樹(ワタナベ)が近藤哲哉(横田スポーツ)に大差の判定勝ちを収めている。

 昨年7月、佐々木尽(八王子中屋)に壮絶なダウンを応酬した末にKO負けを喫して以来のリングになる湯場は、かたさを隠せない。4ラウンドにはサウスポーからのきれいな左ストレートでダウンを奪うも詰めきれず。その後もやや迫力を欠いたままのラウンドが続いた。

 豊かな素質がほの見える湯場だが、完全に立ち直るまでにはあと1、2戦、必要かもしれない。

文◎宮崎正博 写真◎小河原友信

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