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2022-02-08

【NFL】新ヘッドコーチに決まった9人の顔ぶれ マクダニエルズは「因縁」のレイダース指揮官に 

レイダースHC就任が決まったマクダニエルズ前ペイトリオッツOC=photo by Getty Images

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 米プロフットボール・NFLは、1月末から2月にかけ、新任のヘッドコーチ(HC)が次々に決まっている。今季は、シーズン中に2人、シーズン終了後に7人のHCが解任されたり、自ら退任したりした。現地2月7日までに9人の新HCが決まった。これで、全32チームのHCがそろったことになる。(写真はすべてGetty Images)

 注目はレイダースの新HCに決まったジョシュ・マクダニエルズ(ペイトリオッツ・オフェンスコーディネーター=OC)。2001年のシーズン、途中から先発に昇格したトム・ブレイディを擁してプレーオフのディビジョナルラウンドで、レイダースと対戦したペイトリオッツは、ファンブルかインコンプリートパスかで今も議論を呼ぶプレーで、リプレーの結果インコンプリートパスと判定され、勝利を拾って、初のスーパーボウル制覇へ進んだ経緯がある。この有名な「タック・ルール・ゲーム」では、マクダニエルズは25歳でペイトリオッツ加入1年目だった。因縁のゲームから20年、マクダニエルズはレイダースの指揮官になる。


■ベアーズ:マット・エバーフルス(前コルツDC)
=photo  by Getty Images


 シカゴ・ベアーズは、コルツのディフェンスコーディネーター(DC)だったマット・エバーフルスを新しいHCとして起用した。エバーフルスは、レギュラーシーズン終了直後に解雇されたマット・ナギーの後任。エバーフルスは1970年5月17日生まれの51歳で、トレド大を卒業後に母校でコーチ職の道へ進んだ。その後、一貫してディフェンス系のコーチとしてカレッジフットボールでキャリアを積んだ後、2009年からNFLへ進み、ブラウンズ、カウボーイズ、コルツで経歴を重ねた。コルツDCには2018年に就任、前年まで3シーズンで26位、30位、30位だったディフェンスを1年目で11位、3年目の2020年には8位と改善していた。
 ベアーズは、HC人事に先立って、1月25日に新GMとして、チーフスの選手人事担当エグゼクティブ・ディレクターを務めていたライアン・ポールズを起用。さらにパッカーズのQBコーチだったルーク・ゲッツィーをOCに、コルツのDBコーチのアラン・ウィリアムズをDCに、49ERSのスペシャルチーム・コーディネーター(SC)のリチャード・ハイタワーを同じSCで採用した。

■ジャイアンツ:ブライアン・ダボール(前ビルズOC)
=photo  by Getty Images


 ニューヨーク・ジャイアンツは、ビルズOCだったブライアン・ダボールを新HCに任命した。2シーズンで解雇されたジョー・ジャッジ前HCの後任となる。ダボールは1975年8月14日生まれの46歳。大学卒業後すぐにコーチを志し、NFLでのコーチ歴は2000年から。2017年のアラバマ大OC以外は、一貫してNFLのチームでオフェンスを担当してきた。2018年からビルズのOCとなり、同年のドラフトで1巡指名した、QBジョシュ・アレンを、NFL有数の若手QBとして育成した。
 ジャイアンツはこの人事に先立って、1月21日、ジョー・ショーンを新ゼネラル・マネージャー(GM)としていた。デイブ・ゲトルマン前GMの後任となるショーンは、これまビルズのアシスタントGMを務めていた。ジャイアンツは、5シーズン連続の二桁敗戦、5年間で計59敗は、1925年の創設以来97年間で最悪の数字となっている。

■ブロンコス:ナサニエル・ハケット(前パッカーズOC)
=photo  by Getty Images

 デンバー・ブロンコスは、新HCとしてナサニエル・ハケットを起用することを決めた。ヴィック・ファンジオの後任となるハケットは、オフェンス畑のコーチで、過去3シーズン、パッカーズのOCを務めた。1979年12月19日生まれ、42歳のハケットは、大学卒業後すぐにコーチ業に入り、2005年からNFLのチームで働くようになった。その後シラキュース大で3年間OCなどを務めた後、ビルズ、ジャガーズでOCを歴任。パッカーズOCとしては2020年にNFL1位の得点を記録していた。
 ブロンコスは2月2日には、ジャスティン・アウテンをOCとして採用した。アウテンは、過去3年間、パッカーズのTEコーチとしてハケットとともに働いていた。

■バイキングス:ケビン・オコンネル(現ラムズOC)
=photo  by Getty Images
 ミネソタ・バイキングスは、ラムズのOCケビン・オコンネルを次期HCとして起用する。マイク・ジマーの後任となるオコンネルとの契約は、2月13日のスーパーボウルが終わるまで確定できない。オコンネルは1985年5月25日生まれの36歳。サンディエゴ州立大でQBとして活躍し、ペイトリオッツにドラフト3巡というかなり高い順位で指名された。選手としては、ほとんど出場できずに引退、コーチの道へ進む。2015年のブラウンズを皮切りに、49ERS、レッドスキンズとチームを替わり、2020年からラムズのOCとなった。今季はQBマシュー・スタフォード、WRクーパー・カップを軸に、得点でNFL7位、獲得ヤードで9位のオフェンスを作り上げた。
 ヴァイキングスは、オコンネルに先立ってクウェシ・アドフォ・メンサを新GMとして登用した。アドフォ・メンサは、これまでブラウンズのフットボール・オペレーション担当副社長を務めていた。

■レイダース:ジョシュ・マクダニエルズ(前ペイトリオッツOC)
=photo  by Getty Images

 ラスベガス・レイダーズはペイトリオッツのOC、ジョシュ・マクダニエルズを次期HCに決めた。マクダニエルズは、おそらく今回就任したHCの中では、最も知名度のあるコーチだ。ペイトリオッツのアシスタント/コーチとして、6回のスーパーボウル優勝にすべて関わってきた。
 1976年4月22日生まれの45歳。ジョン・キャロル大卒業後にミシガン州立大のアシスタントとなり、ペイトリオッツには2001年に加入。2004年にQBコーチ、2006年に30歳でオフェンスコーディネーターに昇格した。2007年にはレギュラーシーズン16戦全勝のオフェンスを指揮。その手腕を買われて、2009年から2シーズン、ブロンコスのHCを務めるが、1年目8勝8敗、2年目3勝9敗でシーズン終了を待たず解雇された。その後ラムズOCを経てペイトリオッツに復帰。QBトム・ブレイディを擁してスーパーボウルに4回出場3回優勝した。
その間、コルツのHCにいったんは内定しながらキャンセルするなど、話題には事欠かなかった。
 レイダースには、同じ元ペイトリオッツの選手人事担当部長だったデイブ・ジーグラーがGMとして加わわった。ジーグラーは、マクダニエルズのジョン・キャロル大時代のチームメートで後輩。2010年にマクダニエルズの引きでブロンコスのフロント入りし、2013年にペイトリオッツに入っていた。
 ジーグラー・マクダニエルズ体制は、ジャイアンツのDCだったパトリック・グラハムをDCとして採用した。グラハムもペイトリオッツで7年間コーチをしていた。

■ドルフィンズ:マイク・マクダニエル(前49ERS OC)
=photo  by Getty Images
 マイアミ・ドルフィンズは、49ERSのOCだったマイク・マクダニエルを次期HCに選んだ。マクダニエルは1983年3月6日生まれで、来月38歳となる。アイビーリーグのエール大学を卒業後、ブロンコスでインターンとして働き始めた。一時は新興リーグのUFLコーチとなりながらもコーチ職を継続。一貫してオフェンス系のコーチとして6チームを渡り歩いた。49ERSのOCには昨年就任。ランを中心としながら、WRディーボ・サミュエルをRBとして起用する「WB」などして、リーグ7位のオフェンスを構築、NFCチャンピオンシップまで進出していた。
 ダラスのケレン・ムーアOCと、マクダニエルが最終候補者として残ったが、ドルフィンズはマクダニエルを選択した。

■ジャガーズ:ダグ・ペダーソン(元イーグルスHC)
=photo  by Getty Images
 ジャクソンビル・ジャガーズは、元イーグルスHCのダグ・ペダーソンを新HCに選んだ。ペダーソンは、今回就任するHCの中では、ただ一人、スーパーボウル優勝経験を持つ。鳴り物入りでNFL入りした「カレッジフットボールの名将」アーバン・マイヤーが大失敗し、1年目の12月に途中で解雇された後には、やはり大物HCを選んだ形となった。
 1968年1月31日生まれで54歳のペダーソンは、ルイジアナモンロー大を卒業後、ルーキーFAでNFL入り。下部組織のNFLヨーロッパなどで経験を積み、パッカーズでQBブレット・ファーブの控えを通算8シーズン務めた。
 引退後、私立の小中高一貫校でのHCを経てイーグルスのコーチに。その後3シーズン、チーフスのOCで経験を積み、2016年にイーグルスにHCとして復帰した。2020年まで、5シーズンで42勝37敗1分、3シーズン連続でプレーオフに進出し、2017年の第52回スーパーボウルではペイトリオッツを破って優勝した。2021年にはコーチを務めていなかった。

■テキサンズ:ラビー・スミス(前テキサンズDC 兼 共同HC)
=photo  by Getty Images
ヒューストン・テキサンズは、現DCで共同HCも務めていたラビー・スミスを次のHCに選んだ。当初は留任の予定だったデビッド・カリーHCを解任。昨シーズンから続くチームの混乱を収拾するために、ベアーズやバッカニアーズでHC経験を持つ、大ベテランのスミスの力を借りるのが適切と判断したようだ。
 スミスは1958年5月8日生まれの63歳。タルサ大を卒業後、高校のコーチから始め、高校2年、大学18年、NFL21年という長いコーチ歴を持つ。2004~12年はベアーズのHCを務め、81勝63敗、地区優勝3回、2006年シーズンにはスーパーボウルにも出場して、コルツに敗れている。2014・15年はバッカニアーズHCを務めた。2016年からはイリノイ大のHCを務め、NFLからは勇退したかと思われていたが、昨年テキサンズのDC兼共同HCに就任していた。

■セインツ:デニス・アレン(前セインツDC)
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ニューオーリンズ・セインツは、DCのデニス・アレンをHCに昇格させた。アレンは、1月にセインツのHCを退任したショーン・ペイトンの後任となる。アレンは、1972年9月22日生まれ、49歳。過去7シーズンにわたり、セインツのDCを務めてきた。
2012年から2014年までオークランド・レイダーズのHCを務め、8勝28敗。4勝12敗を2年続けた後、開幕4連敗で、シーズン途中で解任となった。また、アレンは、ブロンコス、セインツ、ファルコンズ、タルサ大、母校のテキサスA&M大でもコーチを務めた経験がある。
ペイトンの突然とも思われた退任の後、セインツはチーフスのOCエリック・ビエナミ―、前ドルフィンズHCのブライアン・フローレス、ライオンズのDCアーロン・グレンを候補者としていたが、結局内部昇格の道を選んだ。

【小座野容斉】

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