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2022-01-26

【NFL】セインツのペイトンHCが退任 歴史に残るオフェンスで15シーズン152勝、スーパーボウルも制覇

セインツのHCを退任するショーン・ペイトン。QBをはじめ主力選手に負傷者が続出し、苦労の絶えないシーズンだった=photo by Getty Images

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 米プロフットボール・NFLのニューオーリンズ・セインツは、ヘッドコーチ(HC)のショーン・ペイトンが退任することを正式に発表した。現地1月25日午後3時(日本時間26日午前6時)から、球団施設でペイトンHCが退任の会見をした。この会見の2時間ほど前に、NFL.comが退任を報じ、スポーツ専門局ESPNも、直ぐに追いかけて速報していた。<記事を更新>

  セインツは、2021年に9勝8敗で5シーズンぶりにプレーオフを逃した。しかし、今季はトラブル続きだった。エースQBドリュー・ブリーズが引退、後継QBとして起用され、5勝2敗と好調な滑り出しだったジェイミース・ウィンストンも負傷でシーズンアウトになった。

  負傷や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によるインジュアリーリザーブ入りした選手の数は、NFL記録となる59人に及んだ。また、シーズン最初の1ヶ月間はハリケーンのためにテキサス州に避難を余儀なくされた。


  COVID-19は、リーグ全体の収益を押し下げたために、サラリーキャップ枠が予想外の減少となり、そこで足を引っ張られたマイナスもあった。

  それでもチームを勝ち越しに導き、プレーオフもあと少しで届くところだった。チーム内も、地元のメディアもペイトンHCの手腕を評価している。今回の退任は、引責辞任ではなく、本人の意向によるものだ。
2021年最終戦のファルコンズ戦を終え、フィールドを後にするセインツのペイトンHC=photo by Getty Images

会見で「引退ではない」と強調

 記者会見でペイトンは、「引退という言葉は適切ではない。 」と何度も強調した。 58歳のペイトンは、「2022年に他のチームの監督になる予定はない。それは私の心が今いる場所ではない 。」と話した。

  ペイトンは、契約期間が3年残っているため、他のチームのHCになる場合、そのチームはセインツに対してトレードによる補償の必要があるという。

  ペイトンは、将来的にコーチに復帰することを否定しなかった。また、TVアナリストの仕事にも興味があるという。

 ただし後任候補の1人である、ディフェンスコーディネーターのデニス・アレンの名を挙げながら、セインツとの間で、今回の退任が一時的な休養で1年後に戻ってくる、というような取り決めを話し合ったことはないと説明した。

  ペイトンによると、苦労の多かった今季が退任の理由ではなく、「トレーニングキャンプの頃からずっとこの去就を考えていた」という。ゲイル・ベンソンオーナー、ミッキー・ルーミスジェネラル・マネージャー(GM)、デニス・ラウシャ球団会長の3人全員が、ペイトンに辞任を思いとどまるよう説得したという。そして、ベンソンオーナーは、最終的な決断をする前に、2週間の休暇を勧めてくれたという。

  ペイトンの決意は2週間たっても変わらなかった。

「次のことはわからない、けれどもいい気分だ」 「でも、もうその時が来たんだと思っている。... なんの後悔もしていない。"よし、次はどうするんだ?"という興奮がある。」

 ペイトンは、前日の夜、記者会見で泣かないためのコツをインターネットで検索したという。
2021年最終戦のファルコンズ戦で指揮を取るセインツのペイトンHC=photo by Getty Images

QBブリーズと二人三脚で、強力オフェンス作り上げ

ペイトンHCは1963年12月生まれの58歳。選手時代はQBで、NFLでは1987年の1シーズンだけベアーズに在籍した。この時のQBユニットでは、エースのジム・マクマーン、現ミシガン大HCのジム・ハーボウとも一緒だった。


NFLでは、1997年からイーグルスのQBコーチとして指導者のキャリアを始め、1999年から2002年までジャイアンツでQBコーチ兼オフェンスコーディネーター、2003年から2005年までダラス・カウボーイズでアシスタントHC兼パッシングゲームコーディネーターを務めた。

セインツのHCには、2006年の初めに就任した。その2カ月後にセインツはQBブリーズと契約した。就任年にAPコーチ・オブ・ザ・イヤー受賞。そして、セインツは、NFLの歴史に残る高い攻撃力のチームとなった。

 2人のコンビは、3年後にはニューオリンズをフランチャイズ史上初のスーパーボウル優勝に導いた。16年間、15シーズン※に渡って指揮を取ってきた。レギュラーシーズン通算成績152勝89敗、ポストシーズンは9勝8敗という数字を残した。勝利数はいずれもセインツ史上最多となっている。

 同じチームに5シーズン以上連続して在任したHCの中で、1試合平均の27.6得点と391.2ヤードはNFL史上1位という。

※2012年は、いわゆる「バウンティスキャンダル」によって1シーズン丸々サスペンド処分を受けた。
【第42回スーパーボウル】コルツを破って悲願の初優勝、QBブリーズと喜びを分かち合うペイトンHC=2010年2月、photo by getty  Images

【第42回スーパーボウル】コルツを破って悲願の初優勝、ロンバルディートロフィーを手に会見するセインツのペイトンHC=2010年2月、photo by getty  Images

【小座野容斉】

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