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2022-03-01

【ボクシング】平岡アンディ、アオキ クリスチャーノを10回TKOするも「今日は10点」

右ジャブを当てる平岡アンディ。しかし、この後、後退&サークリングするシーンが繰り返された

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 28日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック&日本スーパーライト級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの平岡アンディ(25歳=大橋)が、WBO・AP8位、日本1位のアオキ クリスチャーノ(33歳=角海老宝石)を10回2分16秒TKOに下して、いずれの王座も初防衛を果たした。

 10回、ショート連打を打って、さらに追撃を加えようと、追いかける勢いを強めたクリスチャーノ。アンディも後退のスピードを加速させて赤コーナーを背負う。と、左ショートカウンターがクリスチャーノの右顔面をドンピシャリ。そのまま半回転しながらロープに突っ込んだクリスチャーノは、大の字になって失神した。

最後は壮絶なKOシーン
最後は壮絶なKOシーン

 数分後、意識を回復したクリスチャーノは、担架で運び出される。衝撃のKO勝利を演じたものの、アンディは1度もニコリともせず、「今日は全然ダメだった。世界に向けてアピールする意識が強すぎて、100点満点の10点くらいしか出せなかった」とうつむいた。

 2本のベルトを身に着けながら、カメラマンによる撮影が行われていたときだ。アンディの体が大きくよろめく。関係者に支えられながら、脚を引きずるようにして退場し、試合後の会見をキャンセル。代わりにマスコミに対応した大橋秀行会長によると、「脱水症状で、車椅子で病院へ行きました。8ラウンドから動けなかった。減量がキツイのかもしれない」。試合中から意識も朦朧としていたのだろう。「倒せなかったら危なかった」と大橋会長も胸を撫で下ろす状態だった。

クリスチャーノのラフな攻撃が奏功しかけるシーンもあった
クリスチャーノのラフな攻撃が奏功しかけるシーンもあった

 立ち上がりから、クリスチャーノが圧力をかけて追い、アンディがそれを捌いてはカウンターというパターンが繰り返された。アンディは左ストレート、左右アッパーカットと合わせていくが、クリスチャーノのずらしもあって、ジャストミートには程遠かった。また、クリスチャーノの連打が生きる間合いも再三あったが、アンディのボディワークがあって、挑戦者はそこで躊躇して手を出せなくなることも繰り返された。

 減量の影響により、脚が踏ん張れなかったということもあるのだろう。力んで振りすぎる、大きく空振りをするという“らしからぬ”姿も何度も見られた。それはウェイト調整によって、改善されるはず。それ以前に、戦い方をもう1度見直すときが来たのかもしれない。

この後、脚がいうことを聞かなくなって、よろめいた
この後、脚がいうことを聞かなくなって、よろめいた

 平岡アンディというボクサーは、相手を呼び込んで捌き、カウンターを当てるというスタイル。それはベースとしてあってしかるべきだ。けれども、これからさらに上を目指すには、自らボクシングを作っていくスタイルも必要になるのではなかろうか。ノーモーションの右ジャブは多種多彩だが、試合になると、種類が限定されているように感じる。強く、相手にダメージを与えていく、あるいは相手を止めるそれは封印される。強いジャブから攻めていくことができれば、さらに幅も広がり、オールラウンドになって手がつけられなくなる。真に“世界”とも戦える選手になれるはずだ。

 世界4団体統一王者ジョシュ・テイラー(イギリス)が、クラス変更を示唆している。その動向にも興味があるが、まずは、ベストパフォーマンスを披露できる階級を考えたい。

 平岡アンディの戦績は19戦19勝(14KO)。アオキ クリスチャーノの戦績は27戦16勝(11KO)9敗2分となった。

文_本間 暁 写真_菊田義久

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