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2022-03-09

【NFL】シーホークスQBウィルソンがブロンコスへトレード移籍 2つの1巡指名権、3選手などと交換

ブロンコスへトレードで移籍することが決まったQBウィルソン。10シーズンに渡ってチームリーダーとしてシーホークスをけん引してきた=photo by Getty Images

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米プロフットボール・NFLで大きなニュースがあった。現地3月8日(日本時間9日未明)、シアトル・シーホークスが、エースQBラッセルウィルソンをデンバー・ブロンコスにトレードした。公式サイトのNFL.comや、スポーツ専門局ESPNなど各メディアが一斉に報じた。ウィルソンはスーパーボウル出場2回優勝1回、プロボウル選出9回というスターQBで、過去10シーズン、シーホークスの大黒柱としてチームをけん引してきた。ブロンコスの交換条件は2つの1巡を含む複数のドラフト指名権と、3人の選手という。

 トレードの正式な発表は、NFLの2022年度開始となる3月16日となるという。ウィルソンの現在の契約には、トレード禁止条項があるが、それをウィルソンが放棄し、かつブロンコスのメディカルチェックに合格することが条件となる。

 シーホークスは、2010年に就任したヘッドコーチ(HC)のピート・キャロルが作り上げた強力ディフェンス、RBマーショーン・リンチのランと、クレーバーでミスが少なく機動力が高いウィルソンがマッチして、ウィルソン2年目の2013年にはスーパーボウルで優勝した。その時の対戦相手が、QBペイトン・マニングの率いるブロンコスだった。2014年にはスーパーボウルに出場して、ペイトリオッツ相手に勝利を目前にしながら、インターセプトで敗退した。

 その後は、ディフェンスがゆっくりと弱体化してチーム成績も少しづつ下降したが、ウィルソンのリーダーシップとゲームマネジメントで、チームは勝ち越しを続け、2017年を除いてプレーオフにも出場を続けた。しかし、2021年シーズンは、ウィルソンが指を骨折するアクシデントに見舞われ、3試合を欠場。チームも7勝10敗と、10シーズンぶりに負け越した。

 ウィルソンは4年1億4000万ドルの契約があり、2022年が3年目。残額5100万ドルのうち、1900万ドル、2200万ドルが残り2シーズンのベースサラリーとなっている。2022年、2023年のロースターボーナスは500万ドルずつで、ウィルソンが3月20日時点でシーホークスのロスターに残っていれば、シーホークスが2022年分のボーナスを負担することになっていた。

ブロンコスへトレードで移籍することが決まったQBウィルソンと、キャロルHC=photo by Getty Images

 ブロンコスは、2015年シーズンでペイトン・マニングが引退して以降、6シーズンで11人の先発QBを起用してきた。この期間ではワシントン(新チーム名はコマンダーズ)と並んでNFL最多だった。過去2シーズンは、2020年がドリュー・ロック、2021年がテディ・ブリッジウォーターがエースQBだったが、パスオフェンスはNFL26位、19位で、2年連続で2ケタの敗戦(5勝11敗、7勝10敗)に終わっていた。

 シーズン終了後にディフェンス畑だったビック・ファンジオHCが解任され、パッカーズでオフェンスコーディネーター(OC)を務めていたナサニエル・ハケットが新HCとして就任していた。

 両チームは、共に地区で最下位で、他の3チームはすべて勝ち越した激戦区。シーホークスの所属するNFC西は3チームが、ブロンコスのAFC西は2チームがプレーオフに進出していた。

 米メディアによると、今回のトレードの交換条件は、ブロンコスがQBドリュー・ロック、TEノア・ファント、DEシェルビー・ハリス、1巡指名権2つ、2巡指名権2つ、5巡目指名権。シーホークスはウィルソンと4巡指名権という。

 25歳のロックは、3シーズンで先発21試合、パス4740ヤード25TD20INT。24歳のファントは3シーズン47試合でパスレシーブ1905ヤード10TD、30歳のハリスは過去3シーズンで14.5QBサックと、戦力としての計算は立つ。シーホークスのキャロルHCは現有戦力で戦いつつ、新たなエースQBの確立を模索する。

 ブロンコスは、英雄ジョン・エルウェイが引退後は、ドラフト指名のフランチャイズQBをなかなか育成しきれず、過去23シーズンで出場した9回のプレーオフのうち、マニングが4回、ジェイク・プラマーが3回と、移籍QBの方が結果を出していた。また、2020年のトム・ブレイディ(バッカニアーズ)、2021年のマシュー・スタフォード(ラムズ)と、大物QBが移籍1年目でスーパーボウルを制覇したのも、今回のトレードに向けて背中を押した。
入団2年目、ブロンコスを倒し、スーパーボウルで優勝したシーホークスQBウィルソン=photo by Getty Images

 ラッセル・ウィルソン

 1988年11月29日生まれ、オハイオ州出身。ノースカロライナ州立大でエースQBとして活躍後、ウィスコンシン大に転校して、当時のNCAAのQBレーティングの記録を樹立する。身長が170センチ台と小柄だったため、ドラフトでは3巡指名だったが、パス能力と脚力に加え、高いフットボールインテリジェンスでルーキー年から先発QBとなる。1年目はパスで26TDでルーキー年のペイトン・マニングに並んだ。2年目には、チームは13勝3敗でスーパーボウル優勝。3年目もスーパーボウルに進出したがペイトリオッツに敗れた。
  先発QBとしては、161試合で104勝53敗1引き分け。2021年に指を骨折するまで149試合連続先発出場していた。
 10シーズンの通算パス成績は37059ヤード、292TD、87INT、レーティング101.8。ランでも4689ヤード23TDを積み重ねてきた。10年連続でパス3000ヤード以上、20TD以上を記録し、レーティングは100以上が7シーズン。プロボウル選出9回。プロ入り後の10シーズンで記録したパスTD数292は、NFL史上2位(1位ペイトン・マニング306、3位ダン・マリーノ290)。
 チャリティー活動にも熱心で、2020年にはウォルター・ペイトン・マン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。歌手・モデルのシアラと2016年に結婚した。
ウィルソン夫妻=photo by Getty Images

【小座野容斉】

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