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2022-04-10

【ボクシング】”ネクスト・モンスター” 中谷潤人が圧勝TKOでV2

中谷(左)が長身から強烈な左ストレートを打ち込む

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9日、さいたまスーパーアリーナで行われたWBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの中谷潤人(24歳=M.T)が同級2位の山内涼太(27歳=角海老宝石)に8回2分20秒TKO勝ちを収め、2度目の防衛に成功した。山内は世界初挑戦に失敗。

 8回、右アッパーから始まった怒涛のラッシュ。左ストレート、右フックと多彩なアングルから降り注ぐ連打の雨に挑戦者が無抵抗になると、レフェリーが割って入って試合は終わった。

「インパクトのある試合を期待されているのは分かっていました。倒すシーンをお見せしたかったが、結果的にいい勝ち方ができました」。歴史的カードのセミファイナルという大役を無事に終えた中谷は、傷ひとつない顔に安堵の笑みを浮かべた。

 ゴロフキンvs村田諒太とともに、オミクロン株の影響で12月から延期されたV2戦。相手も当初予定されたメキシカンから日本の強打者・山内に変わったが、充実のチャンピオンに迷いはなかった。山内仕様に切り替えた対策の成果を、スタートから発揮する。山内を6センチ上回る長身のサウスポースタイルから右のリードジャブを休みなく突き、自信満々に左ストレートのビッグパンチを繰り出す。初回、このパンチで山内の腰が砕け、早い決着を予感させた。2回には山内の左目が青く腫れ上がってくる。

 左ストレートの遠距離砲を次々にヒットし、右アッパーを突き上げてはクルリと体を入れ替える。と思えば足も使って山内の追い足をかわすなど、思い通りに試合を運んでいた中谷。フィニッシュまでやや長引いたのは、パンチ力とタフさを併せ持つ山内を相手に「リスクを冒したくなかった」と説明した。

 5回には一転して足を止めての接近戦を展開するが、これは師匠ルディ・エルナンデス・トレーナーの指示に従い、ペース転換を図ったという。山内は得意の左ボディを叩いて反撃を試みたが、近い距離でも中谷が細かいフック、アッパーを的確に決めて圧倒。じっくりとダメージを植えつけて、8回のストップにつなげた。ここまでジャッジの採点は、3者とも70対63のフルマークだった。

無敗の㉓連勝(18KO)で2度目の防衛に成功した中谷
無敗の23連勝(18KO)で2度目の防衛に成功した中谷

「スタミナの配分や距離の長短など、いろいろなことを試せて収穫があった」と、盤石のV2を振り返った中谷。一方で、フライ級の体重が厳しくなっていることも認める。1階級上のスーパーフライ級は「タレントが多いので気が引き締まる」と、挑戦を熱望。チャンピオンの一人である井岡一翔も「意識している」と明かした。

 同時に意識するようになったのは、エルナンデス・トレーナーから言われた「パウンドフォーパウンドをめざせ」という新たな野望だ。「ネクスト・モンスター」とも呼ばれるようになり「おこがましいですけど」と照れながらも、中谷はさらなる高みへ駆け上がっていく。

文/藤木邦昭 写真/菊田義久

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