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2022-04-23

【ボクシング】谷口将隆、11回TKOで初防衛 敗れた石澤に温情示す

谷口(右)の左ストレートが石澤をヒット

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22日、東京・後楽園ホールで行われたWBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの谷口将隆(28歳=ワタナベ)が同級2位の石澤開(25歳=M.T )に11回2分29秒TKO勝ちで初防衛に成功した。

 挑戦者の前日計量失敗で、一時は開催が危ぶまれた世界戦。2.5キロも超過した石澤は再計量でも200グラムしか落とせず、谷口が出場に難色を示す事態もあったが、リングに波乱は訪れなかった。

 サウスポーの谷口は、実に手堅いボクシングを展開した。深くヒザを曲げて石澤の強打に空を切らせ、右へ回り込んでは左ストレートをヒット。相手の出鼻を捉える左アッパーも効果的で、初回からリードを広げていった。

 石澤は当日17時30分に行われた計量で、ミニマム級リミットから3キロ以内という両陣営が設定した体重を辛くもキープ。「深く反省しています。試合のチャンスを与えてもらったからには全力を尽くします」と述べたとおり、王座獲得の権利は失っても、精一杯の闘志は見せた。谷口の巧みなディフェンスにいなされながらも前進を止めず、大きな左フック、右オーバーハンドで王者を脅かす。

 回を重ねても、谷口に大量リードの自覚はなかった。石澤には2年7か月前の対戦で判定勝ちしていたが、初のダウンも体験。今回も一撃を警戒して「最後まで余裕はなかった」と明かす。それでも8回に左アッパーで石澤をよろめかせてからはワンサイド。ロープに詰め、細かい連打で攻める場面が続く。迎えた11回、谷口の左ストレートで棒立ちになった石澤を見て、レフェリーが試合を止めた。ジャッジの採点は、3回を除くすべてのラウンドを谷口が押さえていた。

 試合後、リング上で「すみませんでした」と詫びてきた石澤に「これからはもう謝ることはないよ」と応えたという谷口。「いろいろあったが、試合をすればノーサイド。石澤選手が、意図的に体重を落とさないような選手じゃないことは分かっている。本当に限界までやって、何かアクシデントがあったのだと思う。失敗から学んだ、これからの彼を見ていただけたら……」とファンに求めた王者は、最後まで「大人」だった。

文/藤木邦昭 写真/菊田義久

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