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2022-04-26

【NFL】元巨人・堀内恒夫さんは「アメフトやるならRBかWR」 日本のドラフト1期生に聞くNFLの楽しみ方

NFLファン歴30年以上という、プロ野球巨人の元エース・監督、堀内恒夫さん=撮影:小座野容斉

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米プロフットボール・NFLのドラフトは、4月28~30日(日本時間29日~5月1日)にかけてネバダ州ラスベガスで開催される。日本では、日本テレビ系のスポーツ専門チャンネル・日テレジータスで、第1日の1巡指名の模様を4時間半にわたって完全中継する。

 スーパーボウルとは違った意味で、NFL最大のお祭りとなってきたこのイベントを前に、アメリカンフットボール・マガジン編集部は、ドラフトにちなんだスペシャルゲストにインタビューした。プロ野球・巨人の元エースとして通算203勝をあげ、監督も務められた堀内恒夫さんだ。

ファン歴30年以上、記事をぎっしりとスクラップ
元巨人の堀内恒夫さんが、毎シーズン欠かさずに残しているNFL記事のスクラップブック=撮影:小座野容斉


 堀内さんは、実は、30年来のNFLファン。インタビューの冒頭で大学ノートを取り出した。新聞の記事がびっしりとスクラップされている。ご自身の記事かと思ったらそうではなかった。スポーツ紙(報知新聞)が掲載したNFLの結果や記事をスクラップしていたのだ。

「10年以上前からの分だよ」

ノートの表紙を見ると2011年~と記載されている。ご自宅には、さらに以前のスクラップもあるという。

「報知新聞は、試合の結果を、週によってはときどき飛ばすんだよ。プレーオフの勝ち上がり表(トーナメントのブラケットのこと)も載せないんだから」と言いながらも、笑みを浮かべながらスクラップブックを眺める。同じ活字メディアの人間として、このように紙面を大切にしてくれる人はありがたいと感じた。

堀内さんがNFLを見るようになったきっかけは、日本テレビのNFL中継がきっかけだったという。現役引退後、巨人でコーチを2年間務めた後、評論家に転じていたときに、NFL放送のゲストとして声がかかった。

「亡くなった後藤完夫さん(専門誌TOUCHDOWNの創始者・社主)が解説で、その横にゲストの俺がいたんだよ。後藤さんは、毎月TOUCHDOWNを送ってくれたのそれで勉強していた」

「現地の映像を日本で受けて実況と解説を入れる。シーズン中ずっとゲストとして見ていたんだ。現地に行けるのはスーパーボウルくらい。『堀内さん、今度のスーパーボウルはマイアミでやるから行きましょうね』とスタッフから言われたから楽しみにしていた。そしたら、長嶋(茂雄)さんが、ひょこッと出てきて行っちゃった」

それが、1988年シーズン(1989年1月)の、第23回スーパーボウルだった。

その後もNFLは見続けた。スティーラーズのニット帽姿でプロ野球のキャンプ取材に行ったこともあったが、「お土産屋さんでスティーラーズしか残ってなかった」から。本当のお気に入りは、「荒くれ集団のレイダースなんだよ」という。

「今もフットボールをテレビで放送しているけれど。森(清之・東大ヘッドコーチ)さんとかいろいろな人がいるけれど、今は専門的すぎるな。俺のように知っている人間には、すごく面白いけれど。分からない人も多いと思う。あの当時の後藤さんの解説は、本当にやさしかった」

毎シーズン欠かさずに残しているNFL記事のスクラップブックをめくる元巨人の堀内さん=撮影:小座野容斉

「なんだドラフトって。聞いたこともない」一期生の当惑


堀内さんは、1965(昭和40)年、日本のプロ野球ドラフトの第1期生として、山梨の甲府商高から巨人に入団した。このドラフトは、実はMLBではなく、NFLをモデルにしたもの。MLBドラフトは日本と同じ1965年に始まったため、手本にしようがなかった。

堀内さんは、その話は知らなかったという。

堀内さんがドラフトを知ったのは、高校3年の夏、プロ入りを決めたからだった。野球界の人間としては、NFLなど当時はまったく知らない。変なやり方を持ってきたなと思ったという。

「なんだドラフトって。聞いたこともない。教えてくれたのはスカウトだけれど、当のスカウトだって、ドラフトがどんなものかわかってないんだから」

当時、日本のプロ野球は契約金が高騰していた。前年オフには、ロッテに入団した山崎裕之選手や、西鉄に入団した池永正明投手に、巨額のお金が支払われた。一説では5千万円を超えたという。

「俺たちも同じお金がもらえると思ったのに、一気に契約金1千万円に下がってしまった。『なんなんだよ、この制度は』と思ったね」。

「NFLがドラフトを入れたのは、当時の日本と同じで、契約金の高騰というのが大きかったのではないかな。あともう一つは、やはり戦力の均衡。日本のプロ野球の理念はそこだった」

だが、1965年は巨人の9連覇(V9)の最初の年。

「ドラフトが浸透して、各チームの力が平均化するのには、やっぱり10年、15年かかった。一番恩恵をこうむってチームが強くなったのは広島ですよ」

「巨人のV9は王さんや長嶋さんをはじめ、主力はほとんどが自由競争時代に獲得した選手。ドラフトで入って、V9時代に活躍したのは、俺と高田(繁)さんくらいでしょう」

QBをできない理由は「コントロールが悪いから」
NFLファン歴30年以上という、プロ野球巨人の元エース・監督、堀内恒夫さん=撮影:小座野容斉


アスリートとして、様々な能力を持ち、プロ通算で21ホーマー。日本シリーズで1試合2ホーマーを放つなど、『二刀流』に限りなく近い存在だった堀内さん。もしフットボール選手だったら、どのポジションをやっていたか聞いた。

「ランニングバック(RB)だな。でもRBは怖いんだよな。タックルに突っ込んでいかなければならないし。そうなるとワイドレシーバー(WR)かな。足の速さには自信があったんだよ」

ピッチャーで快速球なのだからクオーターバック(QB)ではないのですか?と尋ねると「いや、ゲームを見ていると、アイツらはコントロールが良いもん。俺なんかコントロール悪くてダメだよ。若い頃は速いだけで。球速だけなら江夏(豊・投手)より速かったけれど、江夏は投手として完成されていたからな」と、笑いながら話した。

最後にNFLのドラフトについてもう一度聞いた。

「NFLのドラフトは本当に凄い。とにかく派手だね。最近になって日本の野球のドラフトも公開になって、一般のお客を入れているけれど、あんなもんじゃないからね。指名される選手の方も、家族や親せき、友達が一堂に集まって、指名されるのを待つ。指名されたらお祭り騒ぎ。それをまたテレビが放送するんだから」

その盛り上がりを楽しんでほしいという。

 ◇

日テレジータスでは「NFLドラフト2022スペシャル!」と題して、第1日の1巡指名を生中継する。放送は4月29日午前9時から午後1時半まで。解説は村田斉潔さん。実況はラルフ鈴木アナ、アシスタントは小高茉緒アナ。

【小座野容斉】

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