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2022-05-08

【ボクシング】ビボルがアウトボクシングを完遂 カネロ・アルバレスの挑戦をはね返す

ビボル(左)の左フックがスマッシュヒット。手数で大きく上回った

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 カネロことサウル・アルバレス(31歳=メキシコ)が2年半ぶりのライトヘビー級王座復活をかけたWBAスーパー世界同級タイトルマッチ12回戦は、7日(日本時間8日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスで行われ、チャンピオンのドミトリー・ビボル(31歳=ロシア)に0-3の判定負けでタイトル獲得はならなかった。ビボルは暫定王者時代から通算すると11度目のタイトル防衛に成功したことになる。

 試合後、勝敗の発表前にリングアナウンサーのデビッド・ディアマンテが採点内容から読み上げる。「3人のジャッジは一致して115対113」。一瞬、嫌な予感がした。押しも押されぬスーパースター、カネロに配慮した判定が出るのか。だが、次のコールを聞いてホッとした。「勝者はまだ不敗のままのドミトリー・ビボル」

 ラウンドの優劣を必ずどちらかに振り分けるラウンドマストシステムでは、試合全般の印象と違って、意外にスコアが接近するケースはよくある。この戦いでも、カネロは持ち前の微妙な頭の動き、固いブロッキングでロシア人のパンチの大半、その威力を殺していた。チャンピオンの腕の上ばかりだったとしても、打ち込むパンチも重かった。だとしても、対戦者に届いたパンチの数、試合をコントロールする力は、断然、ビボルのほうが上回っていたように見えたのだ。
カネロ(右)のパンチの大半はビボルの守りに阻まれてクリーンヒットしなかった
カネロ(右)のパンチの大半はビボルの守りに阻まれてクリーンヒットしなかった

 最初の4回まで、ビボルは意外に動かなかった。距離はきちんととっていたものの、正面から向き合って、強弱をつけたジャブ、機を見てワンツーを飛ばす。いずれもスピーディーだ。カネロの目立つパンチとしたら2回の右フック、4回の右アッパーくらいだったか。5回から、ビボルははっきりと戦法を変えてくる。左右へのフットワークで、カネロ自慢のプレスをいなした。さらにメキシカンが打ってくると同時にコンビネーションで切り返すカウンターアタックで、ペースを完全掌握していく。カネロは自らロープを背にしてカウンターを狙う策も取ったが、ビボルは危険な領域には決して入ってこなかった。
 初めて手数で上回った9回を過ぎると、カネロは確実に消耗していった。ビボルは相変わらず注意深く戦っていたが、ときには打ち合いに応じる強気な一面も見せ、試合はそのままゴールへと走っていった。
判定負けのコールに肩を落とすカネロ。ゴロフキン戦は微妙に
判定負けのコールに肩を落とすカネロ。ゴロフキン戦は微妙に
アップセットの主役ビボル。端正なテクニシャンだ
アップセットの主役ビボル。端正なテクニシャンだ

「自分の扱い、ロシアの国歌がなかったこと。そんなことはまるで気になりませんでした。この試合を戦いたかっただけです。自分の人生のチャンスのために」と語ったビボルは「判定が115対113っと聞いて驚いたが、ファンがその採点を聞いておかしいと思ってくれたらそれでかまいません」。世情の中に著しく孤立する母国の現在と個人の望みは別次元の話。今後のビボルの活動も注目していきたい。

 一方のカネロはビボルは「偉大なチャンピオン」としながらも「負けたつもりはない。ビデオを見直して修正し、再戦は必ずしたい」と強気を通した。

 両者が再戦の方向に向かうのは間違いなささそう。そうなると、9月に計画されていたカネロ対ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦が宙に浮くことになる。そちらの動向も追いかける必要がある。

文◎宮崎正博(DAZN観戦)協力◎宮田有理子(リングサイド)写真◎Getty Images

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