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2022-05-13

切ない“最後の鶴竜対決”…SWSに移籍する天龍源一郎が全日本離脱直前のジャンボ鶴田戦後に「もう終わった」【週刊プロレス昔話】

天龍源一郎にバックドロップ・ホールドを放つジャンボ鶴田

1990年4月19日、全日本プロレス横浜文化体育館大会における王者・ジャンボ鶴田vs挑戦者・天龍源一郎の三冠ヘビー級選手権は、試合前からスタン・ハンセンが天龍を襲う不穏な展開だった。

9度目の鶴竜対決。それをぶち壊すのような試合前のハンセン襲撃。客席からは紙コップなどが投げ込まれ、暴動寸前の状態に陥ってしまった。

水をさされた形となった鶴田がコーナーから動くことができない天龍に近づくと、天龍は余計なお世話だとばかりに鶴田の頬を張った。天龍はジャンピング・ニーからのバックドロップを切り返すと延髄斬りからパワーボムで一気の逆襲。この先制攻撃は「唯一の選択肢」だった。

これをしのいだ鶴田はバックドロップ、串刺しラリアット、ダイビング・ニードロップ、ハイキック、パイルドライバーと猛攻。天龍のフルネルソンからローリングして決めるフォールなどの奇策もかいくぐって、バックドロップ・ホールドで12分32秒、勝利を収めた。

完璧な3カウント決着ながら、何とも釈然としない頂上決戦だった。試合時間もお互いに繰り出した技の種類も数も、過去の鶴龍対決と比較すると物足りない。

試合後の天龍は「もう終わったと思ってるよ。落ちるところまで落ちたよ。今日はジャンボに話を聞きに行った方がいいよ」と比較的サバサバと答えた。この段階では知る由もないが、その後、天龍は全日本プロレスを離脱。SWSが設立される激動の渦に、プロレス界は突入していく。

“最後の鶴龍対決”は切ない結末となった。

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