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2022-05-18

【アメフト】富士通WR中村クラークが、長年の宿敵・オービックに移籍 「試合の流れを変えるプレーを」 

5月15日、シルバースターとの合同練習の1オン1で、快足を飛ばしてTDを決めた中村輝晃クラーク。ヘルメットはまだ間に合わず富士通時代のものだ=撮影:小座野容斉

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本場NFLほどでもないが、日本のアメリカンフットボールでも、スター選手の移籍が続いている。しかし、5月14日、オービックシーガルズが発表した超大物プレーヤーの加入は、驚いた人も多かっただろう。宿敵・富士通フロンティアーズのWRとして活躍し、ジャパンXボウルMVPも獲得した中村輝晃クラークが、オービックに加わることになったのだ。

中村クラークにインタビュー「純粋にずっとリスペクトしていた」移籍の胸中を率直に語る

 中村クラークのこれまでの足跡は、富士通の栄光と共にあった。1988年9月生まれ、現在32歳。駒場学園高から日本大学へ進み、フェニックスのエースレシーバーだった中村クラークは、2011年に富士通に入社する。2014年、QBコービー・キャメロンとの邂逅が、中村の能力を開花させた。キャメロンのディープターゲットとしてホットラインを形成、富士通が悲願の日本一にたどり着く原動力となった。

 以来、ライスボウル優勝6回、オールXリーグ選出4回。2017年にはパス203ヤードをキャッチし、ジャパンXボウルのMVPにも輝いた。

 無敵の4連覇を達成したオービックを王者の座から追い落したスタープレーヤーが中村クラークだった。

 5月15日、オービックがアサヒビール シルバースターと、「コンバインバトル」と銘打って開催した公開合同練習に、中村クラークの姿はあった。
 ジャージーは仮の#23。バイロン・ビーティ―ジュニアの番号なので、秋には違う番号となるのは間違いない。そしてまだ、富士通時代の黒いヘルメットをかぶった姿は否が応でも目を引いた。

 1対1のドリルでは、シルバースターのDBを持ち前のスピードで抜いてタッチダウンを奪う場面もあった。4月下旬にチームに合流したという中村クラークは、富士通では「引退」扱いとなっていたが、現役続行を目指してトレーニングを続けていたためにコンディションは上々のようだ。

 終了後、オフェンスユニットのハドルでは、自ら求めて「今日の内容は、厳しくとらえれば、(試合だったら)負け。この負けを良い方に変えていけるように、全員で努力しよう」と発言するなど、存在感を示している。

 合同練習終了後、中村クラークはマイクを握ってスタンドのファンにあいさつした。

「今日はあまり良いところを見せられなかったのですが。努力してチームの力になれるよう頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました」

「新しい環境ということで、非常に楽しみな気持ちでいられている。それが何よりもうれしいことだと思っています。11年間富士通にいて、この数年はモチベーションの作り方が難しかったのですが、今、ここへ来てモチベーション高くいられているので。本当に力になれるよう頑張ります」

「試合の流れを変えるプレーをしていきたいと思っています。それが、自分の強みだと思っているので。いい流れを作れるように頑張ります」

衝撃の移籍後、ファンの前に初お目見え。あいさつをする中村クラーク=5月15日、撮影:小座野容斉


大橋誠ヘッドコーチ「最初は半信半疑だった。移籍したからこそできたというのを見せてほしい」

――移籍はひょっとしてあるかもと予想していましたが、まさかオービックとは思っていませんでした。

大橋HC:ぼく自身もそうなるとは考えていませんでした。本人からその話を聞いたときに半信半疑というか、本当にそういうことがあり得るのかというのが、最初の印象です。

――彼に、どんなことを望みますか。大橋さんやオービックが、大きな舞台でさんざんやられてきた選手なので、プレーヤーとしての期待はもちろんわかりますが。それ以外の部分では。

大橋HC:ベテランとして、やってきた中で、彼自身が環境を変えてもう一段違うフットボールをしたいという貪欲さを持っている。移籍したからこそ、こういうことができたなということを実現してほしい。そして、彼自身も、シーガルスを変えていってほしい。プレー以外の部分での化学反応を一番期待しています。

ここのところ、彼とはじっくり時間をかけて話し合ってきました。いろいろな考え、いろいろな思いを持っているプレーヤーなんだなということを、僕としては理解しているので、もっともっとそれを表に出していってくれるといいなと思っています。

WR木下典明「僕も刺激を貰える」

すごくいいと思います。僕も刺激を貰える。あいつが18くらいの時から知っているので、そんなに接点があったわけではないですが、付き合いは長いです。オービックを選んでくれたところがうれしい。まだこれからも、本気で強くなりたい、本気でうまくなりたいという気持ちがあいつの中にあるんだなというところを強く感じました。

【小座野容斉】

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