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2022-06-07

【BBMカードコラム(#2022-06)BBM読売ジャイアンツ ベースボールカード2022】春待つ息吹と実質的なルーキーカード

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BBMカードの編集担当が自ら手がけたアイテムに込めた思いをお伝えする連載企画。
今回は「BBM読売ジャイアンツ ベースボールカード2022」です。



4月までに6人のプロ初勝利
 今年のジャイアンツカードはルーキーや将来が期待される若手選手を例年以上にクローズアップして、カード構成を考えてみた。今シーズンが開幕してから、投打ともに続々と新星が登場していたからだ。球春到来とともに訪れたそれは、あたかも春を待ちわびた花々がこぞって開花していくようで、新しい力の台頭を強く感じさせた。

ざっと上げてみると、3月31日のヤクルト戦でプロ初登板初先発初勝利を飾った堀田賢慎(20年ドラフト1位)を皮切りに、4月2日の阪神戦で戸田懐生(21年育成ドラフト7位)が救援で初白星を挙げると、翌3日の同カードではドラフト3位ルーキーの赤星優志が7回2失点で初勝利、さらに同9日のヤクルト戦では開幕から守護神として大活躍していたドラフト1位ルーキー・大勢にも遅ればせながら初白星が付いた。

 新たな芽吹きはさらに続き、4月21日の広島戦で平内龍太(21年ドラフト1位)が2イニング無失点の好リリーフで初勝利を手にすると、同28日のDeNA戦では、先発した山﨑伊織(21年ドラフト2位)が6回を3安打無失点の快投で、この“初勝利ブーム”に乗った。

 実に開幕から4月までに6人の日本人投手がプロ初勝利を挙げたのだが、これはプロ野球初年度を除くと、史上初の快挙。シーズンを通してだと05年の中日、17年のオリックスの7人が最多記録だが、ジャイアンツ投手陣にはまだ直江大輔、横川凱、菊地大稀ら、今季一軍登板はあるものの、5月終了時で未勝利の有望株が控えており、こちらの記録も今季中に更新される可能性は十分にありそうだ。


トミー・ジョン手術から復活した2人

 この4月までに勝利を挙げた6人の中で、右ヒジのトミー・ジョン手術から復活を果たしたのが、空前の初勝利ラッシュの口火を切った堀田賢慎とラストを飾った山﨑伊織というのも象徴的だ。トミー・ジョン手術とはじん帯再建手術のことで、ヒジに自分の体の別箇所のじん帯を移植して再建するというもの。70年代にMLBのトミー・ジョン投手が初めて受け、劇的な復活を果たしたことから、こう名付けられた。実戦復帰には1年以上がかかり、リハビリも過酷だが、日本では過去に村田兆治(ロッテ)や桑田真澄(巨人・現コーチ)が受け、奇跡的な復活を見せている。

 堀田はドラフト1位で入団した20年の4月に同手術を受け、その年のオフには育成契約に。昨年8月に慶大との三軍戦で実戦復帰を果たすと、今季は春季キャンプから一軍でアピールを続け、開幕直前に支配下登録を勝ち取った。

G70 堀田賢慎
G70 堀田賢慎

 一方の山﨑伊は、19年の大学3年時に日米大学野球で大活躍した有望株だったが、その直後に右ヒジを痛め、大学4年の6月にはヒジにメスを入れた。当然、4年のシーズンは全休となったが、素質を高く評価していた巨人がドラフト2位で指名。1年目の昨季はリハビリに徹して、実戦登板はなく、今季は3月26日の中日戦でプロ初登板初先発を果たしていた。

G07 山崎伊織
G07 山崎伊織


初のプレー写真を使用したカード
 この2人、実は今回が初のプレー写真を使用したカードになる。「ルーキーエディション」はユニフォームを着用したポーズ写真が定番ということもあるが、その後に発売された「1stバージョン」やチームパックではリハビリ中のウィンドブレーカー姿などでカード化されていたからだ。堀田に至っては、2年目の昨季は育成契約ということで、カード自体が制作されていなかった。

 実質的な“ルーキーカード”とも言える2人のカードは、レギュラーはもちろん、サブセットの「GREAT COMEBACK」、インサートの「Esperanza」にも収録され、さらに山﨑伊は「CROSS FOIL SINING」にもラインアップされている。2人がプロ入りしてから体験してきた長く、辛い、冬のようなリハビリの期間に思いをはせると、今回、彼らのカード化された姿からは、プレーできる喜びや周囲への感謝の気持ちが花開いているように思えるのだ。

 今回紹介した6人のレギュラーカードをコンプリートしてみてはいかがだろうか。プロ初安打にも視野を広げれば、高卒2年目でポスト坂本勇人として期待される中山礼都(21年ドラフト3位)や、今季途中に育成から支配下へ再昇格し、プロ初本塁打も記録してブレーク中の増田陸(19年ドラフト2位)もコレクション対象になってくる。12球団でも屈指のスーパースターがそろうジャイアンツだが、今季は伸び盛りの若手選手のカードにも目を向けていただけると、大変嬉しく思う。

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