日本バンタム級6位の中嶋一輝(大橋)は16日、東京・後楽園ホールでスーパーバンタム級8回戦に臨み、野村健太(仲里)を3回2分39秒TKOに下した。不敗の連勝は9(8KO1分)に伸びている。
上写真=最後の集中打。中嶋(左)は野村を痛快に沈めた
「前の試合の悔しさが残っています。今回、勝ってもまだ晴らしきれない」
見事なTKO勝利にも関わらず、中嶋のコメントには少しばかり怒気がはらんでいた。前の試合とはKOアーチスト、山中慎介(元WBC世界バンタム級チャンピオン)の名前を冠した『ゴッドレフト・バンタム級トーナメント』の決勝。中嶋は優勝したものの、堤聖也(角海老宝石)と引き分け勝者扱いでのもの。賞金100万円、高級腕時計を手に入れても、引き分けという結果にどうしても満足できない。8ヵ月ぶりの試合にかける思いは並々ならぬものがあった。
対戦する野村はまだ線の細さは残るものの、ツボにはまれば、キレッキレの戦いを見せる期待の新鋭のひとり。しかも、中嶋にとっては野村のベストウェイトに合わせて、増量しての戦いになる。これまで、いつも身長の優位があったが、この日が初めて対する自分より大柄な対戦者にもなる。
だが、『今日こそ、本領発揮』と意気込む中嶋は、難なく攻略してみせる。サウスポースタイルから右ジャブを突き、左ストレートで迫る。2ラウンド、野村がボディ攻撃から右を伸ばしてくるが、中嶋を脅かすには至らない。
そして3ラウンドだ。逆に中嶋がボディを攻める。ややバタつき始めた野村に、右フックを決めて最初のダウンを奪う。立ち上がったところを、なおもニュートラルコーナーに追い詰めて、フィニッシュへと立ち向かった。野村も懸命に反撃のブローを繰り出すが、中嶋は最後は左アッパーをボディに埋め込んでまた倒す。レフェリーは一度はカウントを始めようとしたが、すぐに試合終了をコールした。
「(野村は)スピードはあったけど、パンチもなくて、怖くはなかった」
と中嶋。悔しい戦いを乗り越えて、より一段、強味を増した。すでに日本ランクもある。東洋太平洋ランキングでは3位。大橋秀行会長は「(タイトル挑戦は)来年に」と愛弟子に期待を寄せていた。
文◎宮崎正博 写真◎馬場高志
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