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2022-07-15

【陸上】20歳のトップランナー・三浦龍司が語る「サンショー」(3000m障害)への思い


「⾃分がその靴を履きこなす」

――シューズについておうかがいします。3000m障害におけるスパイクの重要性、⾃分がスパイクに何を求めているかを教えてください。

三浦 3000m障害をやる上での重要性に関しては、⾼校時代はどのスパイクを履けばいいのだろうと悩みながらも、撥⽔性は重要だと思っていました。ただのスパイクじゃダメですし、特殊性に⻑けたスパイクが必要だと思いました。

――6月の日本選手権で着用したスパイク、「ナイキ エア ズーム ヴィクトリー モア アップテンポ フライニット」の感想は?

三浦 今まで、どこにもなかったようなスパイクです。エアが前⾜部に⼊っていることでダメージの吸収をしてくれますし、カーボンの反発で次の踏み出しがスムーズになり、安定して⾛ることができます。靴の影響⼒というのは、他種目を⾒ていてもそうですが、⼤きいと思います。エアの効果も馴染んでフィット感が増し、ちゃんと⾃分の脚で⾛っているという感覚があります。アッパーのフィット感もすごく⼤事なのですが、ここも良くなって⾜との⼀体感がより感じられます。スパイクの中で⾜が遊ばない、特に⽔に濡れるとどうしてもスパイクの中で⾜が滑ることがあるのですが、アッパーの形状がきちんとしていることで、しっかりホールドしてもらえ、不安定にならずに⾛ることができます。あとは、純粋にかっこいいデザインも気に⼊っています。

――3000m障害は、特に障害を越えた後の着地時の衝撃が⼤きいと思われるので、エアは影響しそうですね。

三浦 もろに影響していると思います。

――普段の練習では、シューズを履き分けたりしますか?

三浦 細かいこだわりはないのですが、インヴィンシブル(※)はジョグ練習はじめ、ほとんどの練習の際に愛⽤しています。今は、厚底シューズが⼈気ですが、⾃分もバネを使う足、頸反射というところを使うので、ある程度ダメージが少なく、でも良いジョグができるシューズは練習を積む上で⼤事になります。ベースはインヴィンシブルを使って、ペース⾛、朝の集団⾛などをしています。

※ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット。ケガゼロを目指して開発されたモデル



――これまでもナイキのスパイクを履いていると思いますが、ナイキの気に⼊っているポイントは︖

三浦 ナイキはどのメーカーもやらないことを⼀番先にチャレンジする――どの選手もそういう印象が強いと思います。今までにない全く新しいモデルを出したりしていますが、それがうまく⾃分にもハマっていますし、ほかがまねできないことで、記録を出せていることは⾃分にとってもうれしいですし、⾃分にも合っていると思います。

――駅伝では何を履いていますか︖

三浦 僕はヴェイパーフライネクスト%2を履いています。

――お気に⼊りポイントは︖

三浦 ちょうどいい反発があるところが気に⼊っています。適応性が⾼くて、⾛りやすいです。

――3000m障害の後輩たちに、シューズ選択についてのアドバイスをお願いします。

三浦 靴の履き⽅とかを選択するのは、必要だと思います。ただし、靴に⾛らされるのでなく、⾃分がその靴を履きこなすようにしてほしいと思います。

これからも高みを目指して

――昨年の東京五輪では決勝に進出して日本勢史上最高順位の7位入賞を果たしました。あらためてオリンピックでの経験から得たものを教えていただけますか。

三浦 早い段階で(19歳で出場)、というか⾃分が思ってもみなかったところで国際⼤会、それもオリンピックという舞台を踏ませてもらいました。良い意味で世界に⾝を置けたことで“これくらいの選⼿と戦っていかなきゃいけないんだな”という実感も沸きました。確かに世界の壁は⾼いのですが、絶対に届かない、という絶望感みたいなものは感じませんでした。逆に良い意味で期待と希望を持てたので、それはすごく⼤きかったと思います。

――世界選手権よりも先にオリンピックでしたね。

三浦 順番が……(笑)。

――いよいよ初めての世界選手権が迫ってきますが、目標をお願いします。

三浦 そこでこの⼀年の成果が⾒られると思うので、まずは順位、⼊賞を⽬指していきたいです。結果を出すことで弾みにもなりますし、課題を⼀つひとつ⾒つけることができれば、レベルアップできる要素が⾃分にまだあると感じられるので、どんな結果でもちゃんと収穫があるようにしたいです。これまでも何かの取材で、「頭打ち」という言葉を使って表現したこともありますが、それは「行き詰まる」という意味ではなく、「停滞する時期もある」という意味です。これからも伸びていく余地はあると思います。

――レースを積み重ねることで、課題を⾒つけていく作業が楽しいということですね。⼀⽅で将来の⽬標、こういう選⼿になりたいとかはありますか?

三浦 漠然としていますが、3000m障害で世界トップレベルの選手たちと肩を並べて⾛ることが⽬標です。それができるようになればタイムもついてきますし、⾃分が満⾜して納得できるところまでいけると思います。あとは、3000m障害に対する注⽬や関⼼度が上がるとさらにうれしいですね。

――3000m障害をメジャーにする選⼿になるということですね。

三浦 そうなれるとうれしいです。

――記録的な⽬標は8分切りでしょうか︖

三浦 はい。⽬指していきたいですし、それが実現できたらかっこいいと思うので、やり切りたいと思います。

【オレゴン世界選手権男子3000m障害】
●予選 7月15日(金)17時15分~
(日本時間16日9時15分~)
●決勝 7月18日(月)19時20分~
(日本時間19日11時20分~)



【Profile】
みうら・りゅうじ◎2002年2月11日、島根県生まれ。浜田東中(島根)→洛南高(京都)→順天堂大。中学時代は全日中はじめ主に3000mで全国大会に出場。高校時代から3000mSCを始め、3年時には30年ぶりに高校記録を更新。大学1年時の2020年のホクレンディスタンス千歳大会で、37年ぶりの学生新、41年ぶりのU20日本新となる8分19秒37をマークし一気にトップ戦線に浮上すると、21年には5月のReady Steady Tokyoで18年ぶりの日本記録更新を果たす。以降も快進撃は止まらず、6月の日本選手権決勝、東京五輪予選と立て続けに日本新をたたき出し、オリンピックでは7位入賞を果たした。三大駅伝でも活躍し、これまで全日本大学駅伝で2度区間賞を獲得。今季は日本選手権で2連覇を果たし、初の世界選手権に挑む。自己ベストは、1500m3分36秒59(22年)、3000m7分48秒07、5000m13分26秒78、10000m28分32秒28(以上、21年)、ハーフ1時間01分41秒(20年)、3000mSC8分09秒92(21年)。





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