8月21日、東京・後楽園ホールでWBO世界フライ級王座決定戦に臨む同級3位の中谷潤人(M.T)が10日、スパーリングを公開。同級1位ジーメル・マグラモ(フィリピン)戦へ、順調な調整を示した。
写真上=「勇気と感動を与えられる試合を」と必勝を誓う中谷
マスクを着けての練習にも慣れてきた。通気性に優れた製品を使用している
スパーリングは日本ユース・バンタム級王者の石井渡士也(REBOOT.IBA)と5ラウンド。2ヵ月前まで何度もグローブを交えた2階級上の若い強打者と、この日も見応えある攻防を繰り広げた。立ち上がりは上体とヒザを柔らかく使いながら右のリードを突いて慎重に石井の出方をうかがった中谷だが、回を重ねてタイミングが合ってくると左ストレート、左ボディブローをヒット。石井の強気の逆襲に被弾もあったが、足とリズムでアウトボクシングに切り替えるなど、落ち着きと幅の広さを見せた。

長いリーチから右のリードを突く中谷(右)
「何発かもらってしまったのは反省点」としながらも、対人練習ができなかった2ヵ月の間に課題としていた「パンチの精度向上」には一定の満足を得た様子の中谷。石井も「巧さはもともとあったが、パンチも強くなっている。硬くて、痛かったです」と、中谷のパワーアップを認めていた。

今日もいいスパーをした石井(右)。中谷のパワーアップを認めた
マグラモ戦は当初予定されていた4月4日から4ヵ月以上延びたが、どんな状況になっても気を抜かずに練習を続けてきた。恒例のロサンゼルス合宿は見送らざるをえないが、今後はスパーリングの回数を増やし、岡田隆志トレーナーらと戦略を練り上げていく。「このような状況で、試合を決めてもらったことに感謝します。無観客ですが、テレビで見てくれる方たちに勇気と感動を与えられる試合をして、必ず世界チャンピオンになります」。力を込めて、そう言った。
取材◎藤木邦昭
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