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2022-09-01

【ボクシング】田中教仁、追撃ならず。タイでWBC王者パンヤーに0-3判定負け

前日計量の両者。鋭い眼光を飛ばす田中は、良いテンションを思わせたのだが……

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 またもタイで奪取ならず──。31日、タイ・ナコンラチャシマで行われたWBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦で、チャンピオンのパンヤー・プラダッブシー(31歳=タイ)に挑んだ同級14位・田中教仁(たなか・のりひと、37歳=三迫)は109対119、112対116、110対118の0-3判定負け。タイでの2度目の挑戦も悲願ならず。パンヤーは3度目の防衛に成功した。

写真提供_三迫ボクシングジム

 2020年3月(WBAスーパー王者ノックアウト・CPフレッシュマート戦、0-3判定負け)以来、2度目のタイでの挑戦。前回とは挑む相手は異なるものの、またしても“鬼門”突破はならなかった。

「少しボクシングがおとなしくなっている。以前のように、野性味あふれる荒々しさを出していきたい」。試合決定の会見で意気込んでいた田中は、強打を当てる意識が強く働きすぎ、どうしても、チャンピオンに比べると手数で見劣りしてしまった。

 中盤以降、明らかに疲労の見えたパンヤーに、右スイングをヒットさせ、返しの左ボディブローで王者の動きをガクンと落とさせた。だが、再三背負わせたロープ際では、王者のブロッキングに阻まれて、三の矢四の矢を差し込めない。歯がゆいシーンが何度となく繰り返された。

 リング中央のやり取りで、田中が間合いを測る様子を見てとると、パンヤーは力を振り絞って連打を繰り出してくる。まともには浴びなかったものの、印象点はどうしても王者に流れてしまう。手数が少ないながらクリーンヒット数では上回って見えたラウンドでも、パンヤーの見せ方は上手く、ましてや彼の地元。「チャンスはあった。何度も効かせていた。左フックで(王者の)腰を落とした場面もあったし、もう一歩」と三迫貴志会長が言うように、ダウンを奪い、倒し切るまでの“もう一刺し”が足らなかった。

試合後、悔しさを滲ませる田中
試合後、悔しさを滲ませる田中

「倒せなかった。日本で4ラウンドまでとにかくプレスをかけて手を出そうと練習してきたが、なかなか出せなくて……。手を出せず悔しさが残ります。もう、何もかも情けない。世界初挑戦でもなく、トップコンテンダーでもない。所属ジムがくれたチャンスなので、会長にベルトを巻きたかった」と、試合後の田中は悔恨の言葉ばかりを絞り出し、今後については「今は何も考えられない」と明言を避けた。

 タイでの日本人の世界挑戦は、「負傷等による明確な理由なく設けられた暫定王座」との理由でJBC(日本ボクシングコミッション)非公認だった江藤光喜(白井・具志堅スポーツ、2013年8月、コンパヤック・ポープラムックに12回判定勝ちし、WBAフライ級暫定王座獲得)の1戦を除き、26敗1分となった。

パンヤーの戦績は40戦39勝(23KO)1敗。田中の戦績は29戦20勝(10KO)9敗。
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