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2020-11-26

【ボクシング】「後がない」田中教仁。35歳の再起戦で判定勝ち

力強い右パンチを印象づけた田中(右)が高田を振り切った

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WBA世界ミニマム級11位、田中教仁(35歳=三迫)は25日、東京・後楽園ホールで高田勇仁(22歳=ライオンズ)と8回戦を行い、判定勝ちを収めた。田中は3月にタイでWBAスーパー王者ノックアウト・CPフレッシュマート(タイ)に挑戦して敗れて以来のカムバック戦を勝利で飾った。

「これで終わるんじゃないかと、恐怖とともに戦っていました」

 田中の試合後のコメントがすべてを物語る。勝ちにこだわり抜くあまり、手が出なかった。相手の打ち終わりに右のオーバーハンド、ストレートを打ち込んでも、その一発止まり。単に手数を比べたなら、高田のほうが倍以上、上回っていた。中間距離からテンポよく軽打を飛ばす高田に、ひたすら待ちに徹する田中。前半戦は単調な展開がひたすら続く。

「ラウンドを追うごとに自分が不甲斐なくなり、そのまま終わりました」

 拙戦の背景は理解できる。5年以上のブランクを経て3年前に現役に復帰した。1勝2敗といきなり苦境に立たされながら這い上がり、やっとつかんだ世界挑戦だったが、完敗に終わる。再び戦い続けるとして、年齢的にも、もう後がない。どうしても負けるわけにはいかなかった。いや、いい形で勝利を手にしてアピールしたかった。そんな思いが、ただ、ただ、からからと空回りしたのだ。

 このままでは何も残せない。意を決した田中は6回にやっと攻撃のギアを上げる。しかし、7回は右ストレートから左フックを連ねる高田に打ち負ける。最終回も残る気力を振り絞って攻めて出て、なんとか乗り切った。

 きわどい勝負と思えたが、出されたスコアは最大6ポイント差の無難な勝利。田中の繰り出した単発のパンチが、より奥行きがあったとジャッジは見たのだろう。メリハリを演出できたということなら、経験の力が危機から救ってくれたと言えるのかもしれない。

「世界再挑戦と言ってきましたが、取り消します。一からやり直しです。少ない伸びしろを少しでも伸ばして」

「残り少ない伸びしろを少しでも伸ばしたい」と田中

 WBC11位にWBA15位。東洋太平洋では4位。WBOアジアパシフィックは2位。荒涼たる戦いにも、ランクは残った。夢へのクライミングのために、手掛かりはある。田中がそれを活かせるかどうかは、まずは心を磨き、体と一致させることが必要なのかもしれない。

 前座のライト級8回戦では、高田朋城(27歳=ワールドスポーツ)が熊添ユウキ(28歳=石川ジム立川)を1回3分3秒TKOに下した。

 青森・弘前工業高校時代にはキャプテンを務めるなどアマチュア実績を持ちながら、高田のプロキャリア序盤は振るわなかった。3つのストップ負けを含んで5敗。ところが、ここにきていきなりの強打開眼だ。昨年12月の前戦で54秒TKO勝ち。そして、今回もワンパンチで豪快に連続初回KOを決めた。

 長身からポンポンとパンチを打ち込んでくる熊添の攻めを、ガードを固めながらしっかりと見きわめる。そして右のアッパーカット一閃。大の字に崩れ落ちた熊添のダメージは大きく、レフェリーはカウントを途中で中止して、高田の勝利をコールした。

 これで15戦8勝(5KO)5敗2分となった高田は、層の厚い日本のライト級勢のなかでも注目すべき存在になっていくかもしれない。

高田は痛烈な右アッパーで初回ストップ勝ち

文◎宮崎正博 写真◎小河原友信

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