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2022-09-04

【ボクシング】京口&寺地の対抗王者決定。IBF新王者はノンツィンガ

京口&寺地のライバル王者となったノンツィンガ

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 3日(日本時間4日)、メキシコ・エルモシージョで行われたIBF世界ライトフライ級王座決定戦12回戦は、1位シベナティ・ノンツィンガ(23歳=南アフリカ)が、3位エクトル・フローレス(29歳=メキシコ)を116対111、114対113、112対115の2-1判定で破り、新チャンピオンに輝いた。

 試合序盤から始まった消耗戦が、まさか最終回まで続くと誰が予想しただろうか。延々と続く打撃戦に、海外メディアはこぞって「年間最高試合候補」と興奮して称賛。両者のスタミナ、心の強さに驚きを隠さない。
 ティファナ出身で大観衆の後押しを受け、最初から最後まで打ちまくったフローレスにはダメージもかなりあったはずだが、どこからそんなパワーが出てきたのか、まったくもって信じられない。
 が、そんな中、クールに戦い抜いた無敗のノンツィンガは、思いのほか心の強い選手だった。

長く、強い右ストレートを放つノンツィンガ
長く、強い右ストレートを放つノンツィンガ

 立ち上がりから、速くてシャープな左、右ストレートでリードしたノンツィンガは2回、ロングレンジからのワンツーで、フローレスを弾き飛ばすダウンを奪った。
 しかし、地元の声援を受けて強い前進を始めたフローレスは、距離を詰めて執拗な連打を繰り返す。が、意外にもノンツィンガは接近戦も強かった。フローレスは連打の繋ぎが大雑把で、その間隙に必ず右アッパーをボディに差し込む。フローレスがたまらず距離を置くシーンも再三あった。

 4回にはフローレスのワンツーでノンツィンガが後退。5回はノンツィンガの左ボディブローでフローレスが下がるものの、ブローの正確性で以降のラウンドはノンツィンガが少しずつ上回っていった。

フローレスの手数は尋常ではなかった
フローレスの手数は尋常ではなかった

 5回にバッティングで額をカットしていたフローレスは、流血しながらもものすごい手数でノンツィンガに迫る。そのほとんどはボディワークやブロッキングに阻まれるものの、ノンツィンガの精神はかなり追い詰められていたはずだ。
 けれども、ときに距離を取り、クリンチで阻み、ときに自らの攻撃でフローレスを止めるなど、ノンツィンガの戦い方は実に上手かった。左右のボディブローでフローレスの動きを寸断し、右アッパー、フックで顔面を襲ってダメージを与える。打っても打っても止まらないフローレスに根負けせず、最後の最後まで気持ちを切らずに戦い抜いたのは世界王座への執念の強さだ。

 WBAスーパーチャンピオン京口紘人(ワタナベ)、WBC王者・寺地拳四朗(BMB)、WBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)に続き、ようやく空位だった王座が埋まった。
 京口対寺地の王座統一戦とゴンサレス対岩田翔吉(日本・OPBF・WBOアジアパシフィックの3冠王者、帝拳)。このライトフライ級ダブルタイトルマッチが「11月に日本で開催」の報も流れ、にぎやかになってきたライトフライ級。新王者ノンツィンガも、マークしておくべきチャンピオンだ。11戦11勝(9KO)。敗れたフローレスは25戦20勝(10KO)1敗4分。

女王クルスが前王者を完封して返り討ち

クルスが放つ右フックは実にパワフルだった

クルスが放つ右フックは実にパワフルだった

 昨年11月以来の再戦となったWBA女子フェザー級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンのエリカ・クルス(32歳=メキシコ)が、前王者ジェレナ・ムジェノビッチ(40歳=カナダ)を100対90、100対90、100対90と完封し、2度目の防衛に成功した。

 前戦は7回負傷判定でクルスが王座を奪取したものの、はっきりとした決着をつけるべく組まれた再戦。しかし、この試合でもクルスの強さばかりが目立つ内容だった。

 サウスポーの王者は、スマートなストレートボクサー・ムジェノビッチに左ボディストレート、返しの右フックをベースに戦った。特にこの右フックが強烈で、ムジェノビッチは何度もこの強打にさらされた。
 かと思えば、左ストレート、左のオーバーハンドも飛んでくる。ムジェノビッチは、サイドへ動いて展開を変える心の余裕すら削り取られてしまった。

左ストレートでボディを差すクルス
左ストレートでボディを差すクルス

 クルスは自ら攻め込んでも、距離を置いてムジェノビッチに攻めさせても左ストレートボディを上手くヒットさせた。ムジェノビッチは、最後までこのブローに悩まされ続け、中途半端な距離に身を置くほかはなかった。袋小路に追い込まれ、身動きの取れないまま20分間の辛い戦いを強いられた。試合を投げ出さなかったのは、前チャンピオンの意地なのだろう。

 強さと巧さを披露したクルスの戦績は16戦15勝(3KO)1敗。ムジェノビッチは55戦41勝(19KO)12敗2分。

文_本間 暁(DAZN視聴)
写真_ゲッティイメージズ

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