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2022-09-14

【ボクシング】俊才・岩田翔吉が世界初挑戦。「倒して勝つ!」

ゴンサレスの写真をバックに、気合漲る岩田

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 WBAーWBCの王座統一戦と同じリングで、もうひとつのライトフライ級タイトルが争われる。WBO王者ジョナサン・ゴンサレス(31歳=プエルトリコ)に、同級2位の岩田翔吉(26歳=帝拳)が挑むもの。現在、日本-OPBF東洋太平洋-WBOアジアパシフィックと3つのベルトを独占する岩田が、一気に世界へと羽ばたく。

文_本間 暁
写真_山口裕朗

 同日の興行をライブ配信する、プライムビデオの児玉隆志カントリーマネージャーが「ライトフライ級の3つの世界タイトルが集って戦われる」と興奮気味に語ったとおり、これまでになかった異例の組み合わせだ。「勝者同士が戦う可能性もある。楽しみです」と、4団体統一を目指すと明かしたWBC王者・寺地拳四朗(BMB)の言葉どおり、ファンには垂涎の連戦だ。寺地の言を受けて、岩田も「ライトフライ級がこれを機に注目されるはず」と色めき立つ。だがもちろん、勝ち名乗りを受けねばならない。そうして悠然と“ライバル”の戦いを凝視したい。

 日出高校3年でインターハイ優勝。早稲田大学に進学し、2018年12月にアメリカでプロデビュー。当初から注目されている存在ではあったが、超速の進化を遂げたのは今年に入ってからだ。ノンタイトル8回戦で戦ったベテラン大内淳雅(姫路木下)をわずか72秒、右一撃でストップし日本王座V1。その勢いに乗って、7月にOPBF王者・堀川謙一(三迫)と空位のWBOアジアパシフィック王座も争った統一戦。キャリア59戦の歴戦の雄で、相手を絡め取る術にかけては国内で1、2とも言われる堀川に、12回フルラウンドの戦いの末判定勝ちした試合は、岩田の引き出しの多さを存分に発揮し、ダウンシーンこそなくともかえって存在感を高めたものだ。

「プロに順応するまでに時間を費やしました。コンディショニングやメンタルの作り方を学んだんです。本当にいちばん良いタイミングで世界初挑戦できます」。自身のコントロールと同時に、ホップ、ステップと段階を踏んだマッチメイク。そこが見事に合致し、いざジャンプの瞬間へと赴く。

豪快なラッシャー、ソトを翻弄し王座獲得したゴンサレス Photo/Ed Mulholland(Matchroom Boxing)
豪快なラッシャー、ソトを翻弄し王座獲得したゴンサレス Photo/Ed Mulholland(Matchroom Boxing)

 チャンピオンのゴンサレスは、今回が2度目の来日となる。2019年8月、当時、WBOフライ級王者だった田中恒成(畑中)に挑戦し、独特のリズムとアウトボクシングで田中を苦しめたものの、最終的にはフィジカルパワーに屈して7回TKO負け。だが、昨年10月に猛々しいファイター王者エルウィン・ソト(メキシコ)を技術で翻弄し、ベルトを巻いた男だ。サウスポーで小柄ながら、とにかく目まぐるしくリングを動き回る。同国のヒーロー、元2階級制覇王者イバン・カルデロンを彷彿とさせる厄介なアウトボクサーだ。

自信満々の発言を繰り返したが、わずかの油断も見当たらない
自信満々の発言を繰り返したが、わずかの油断も見当たらない

 現在、千葉県・成田市でトレーニングキャンプ中で、そこを一時中断して会見に臨んだ岩田は、「今トレーニングしていることを出せれば、倒して勝てる。圧倒的に勝利して、インパクトを残します」と豪語してみせた。追って追っての体力を培うとともに、堀川戦でも披露した“呼び込む”技を磨く。

「(ゴンサレスを)すべて上回っている」と自信たっぷりに語った岩田だが、「11月1日まで、精一杯過ごしたい」と、一瞬たりとも無駄にしない覚悟を誓った。

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