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2021-11-07

【ボクシング】岩田翔吉が“飛び道具”抜きで快勝。7戦目で日本王座に到達

岩田(右)はプレスをかけながら的確打を集めて、芝を追い込んでいった

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日本ライトフライ級王座決定戦10回戦は6日、東京・後楽園ホールで行われ、2位の岩田翔吉(25歳=帝拳)が、1位の芝力人(26歳=真正)を9ラウンド37秒、レフェリーストップによるTKOで破り、新チャンピオンになった。なお、岩田のトレーナーは2階級制覇世界チャンピオンの粟生隆寛氏。指導者となって、初めて教え子をチャンピオンに育てた。

 当初は9月に予定されていたこの一戦は、計量後、しかもオンラインによる記者取材を終えてから、岩田にPCR検査での陽性反応が確認され、急きょ延期になっている。だからというわけでもあるまいが、この日の岩田のボクシングはいつもと一味違う。動いて、動いて、いきなり飛び込んでビッグパンチを狙うスタイルは、最初のうちに数度トライだけでその後は封印した。そして、きちんとガードを固め、プレスをかけながら戦った。

「芝選手がよく研究していて、自分がちょっと動いただけで左フックや右を合わせてきましたので、戦い方を変えました。こういったガードを固めるボクシングもふだんから練習していますから」

 いたしかたない事情でも1度は自己都合で流してしまったタイトルマッチ。あらゆるリスクを取り除いた形で戦って、きちんと勝ちたい。そういう思いが伝わってくる戦いぶりだった。

 それにしても、その岩田も3ラウンドまではあまりに手が出ず、やきもきさせたのも事実だが、4ラウンドになると攻め数を増やしていく。すると、スピード、技術面の骨格の確かさの差がくっきりとしてくる。芝の左フックや右のオーバーハンドも重たそうだったが、岩田の右ストレートの切れ味が断然、光って見える。さらに左ボディブローも効果的に決めて、一気に戦いの潮目は変わった。
6回のダウンシーン。これでいよいよ流れは岩田への傾いた
6回のダウンシーン。これでいよいよ流れは岩田への傾いた

 6ラウンドには岩田が右から左、さらに右とパンチをつなぎ、ダウンを奪った。最後はプッシュ気味だったものの、芝にダメージはあった。勇敢にも反撃の一打を狙いながらも、岩田の追撃打に後退を繰り返す。

 決定的だったのは8ラウンドだ。最初は芝の懸命の攻めが勝ったように見えたが、ラウンドの終盤、岩田は右カウンターからチャンスを作る。ズルズルと下がっていく芝を追って鋭角的なブローでたたみかけた。またしても最後は押し倒す形になって、今度はスリップダウンとされたのだが、芝の損傷は6ラウンド以上に深手だった。ラウンド終了ゴング後に、上体がぐらりと揺れた。

 そして9回、岩田の左フック、さらに右と浴びた芝がロープを背にすると、レフェリーは「ダメージから立ち直れていない」とみたか、ここでストップをかけた。
「タイトルマッチなので勝つことだけを考えて戦いました。それでパンチを当てて、ストップ勝ちできたのが嬉しいですね」

 長いアマチュア経験の後、アメリカでプロ転向した岩田は、これで7戦7勝(5KO)。『線と線をつなぐボクシング』で快勝できた意味は大きい。これに得意の『点と点を飛び回る戦法』をうまく挿入できたなら、そのボクシングの魅力度は倍増するはずだ。一方、同じくアマチュア出身の芝は7戦5勝(3KO)2敗となっている。

文◎宮崎正博 写真◎馬場高志

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