close

2020-02-19

【ボクシング】アマ8冠、中垣龍汰朗が大橋ジムからプロ入り

国内5冠、国際大会3度優勝の計8冠を獲得した中垣龍汰朗(20歳)が、大橋ジムからプロデビューすることが19日、発表された。3月にB級(6回戦)プロテストを受け、5月28日(金)、東京・後楽園ホールでのデビュー戦を予定している。

上写真=大橋会長(右)、松本好二トレーナーとともに、プロの頂点を目指す

「もうちょっと抑えるつもりが、髪の毛が短かったので、こんなに染まってしまいました」。ド派手な色とは対照的に、照れまくる姿がなんとも初々しい。

 福岡県小郡市出身の20歳は、名門・日章学園(宮崎県宮崎市)に中学から越境入学。高校1年でインターハイ(ライトフライ級)、アジアジュニア選手権(52kg級)、2年で選抜、国体、カザフスタン国際トーナメント、3年でインターハイ、国体、アジアユース選手権(2、3年の大会はいずれもフライ級)と、タイトルをほぼ総なめにする実力の持ち主だった。

 3歳からフルコンタクト空手を習い始め、「その延長線上で、小学4年くらいからボクシングを始めました。そのままおもしろさにのめりこんでしまったんです」。久留米櫛間ジム(福岡県久留米市、現・久留米櫛間&別府優樹ジム)に通い、櫛間昭会長がパイプを持つ日章学園へ。その後、東京農業大学に進学し、東京オリンピックを目指していたが、昨年の全日本選手権・九州ブロック大会で永田丈晶(中央大学)に敗れ、「その後のパリ大会のことも考えましたが、4年間は長いと感じ」、同大を12月いっぱいで中退。プロ入りを決意したのだという。

「小さいころから、長谷川穂積さんが綺麗なカウンターで倒す姿に憧れていました。将来はプロになりたいという気持ちも強く持っていました」

 大橋ジムには東農大時代に何度も出稽古で訪れており、「(井上)尚弥さん、拓真さんをはじめ、強い先輩がたくさんいて、練習を身近で見て、肌で感じたら、自分の成長につながると考えました」というのが、同ジムを選んだ理由だという。

落ち着いてしっかりと話す姿は、若い見た目以上に貫禄を感じさせる

 身長169cmの左利きのサウスポー。名チャンピオン長谷川の、世界王座を獲る前のディフェンス力にダブる姿がある。「スピードと距離感。左には自信がありますが、打たせたくない」

 大橋秀行会長も、「スピードがあって、長身でシャープ。プロに大切なパワーを身に着ければ鬼に金棒」と大いに期待を寄せるが、「おそらく、このジムでは試合より練習のほうがキツイ。この中での戦いがある」と競争を促す。
 本人も、「プロは華々しくて魅力的な世界。だけど、それは一面で過酷だと思う。それを乗り越えていったときの達成感が魅力」と、覚悟はできている。

 先ごろ日本ユース・ライト級チャンピオンになった湯場海樹は日章学園高の1年先輩。また、WBOアジアパシフィック・ミニマム級チャンピオン重岡銀次朗とは同い年で、空手時代に2度対戦(2勝)。その兄の優大(いずれもワタナベ)ともU-15で対戦(敗戦)しており、「ライバル視はありませんが、みんなのプロでの活躍が刺激になっています」と語る。

すでに野木丈司氏の階段トレーニングにも参加している。「筋肉痛はヤバいけれど、日章時代の練習がキツかったので大丈夫」。中・高6年間の下地がしっかりとあるのだ

 夢はもちろん、オリンピックで果たせなかった世界制覇、世界チャンピオンで、「早いと思われるかもしれませんが、2年以内になりたい。それができるくらいの練習とレベルアップが必要」と意気込む。
 大橋会長も、「世界チャンピオンになる素質の持ち主なので、必ずします」とキッパリ。

「性格は負けず嫌い」。中学から親元を離れて8年。優しい顔の裏には、人には決して言わない苦労もあるはずだが、それらをすべて凌駕する熱い目的意識が流れている。

文&写真_本間 暁

おすすめ記事

ボクシング・マガジン 2020年3月号

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事