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2019-12-23

【ボクシング】三重初の全日本新人王・中村淳希「3兄弟で上を目指す」

三重・鈴鹿の市野ボクシングジムから初の全日本新人王が誕生した。22日、東京・後楽園ホールで行われた全日本新人王決定戦のフライ級を制した中村淳希(あつき)。

写真上=市野ジムの中村3兄弟。フライ級の全日本新人王となった淳希を三男・龍明(左)と長男・祐斗が祝福

最後に始めた3兄弟の次男

 ともに170cm超の長身同士でリーチのある臼井春樹(八王子中屋)との顔合わせとなったが、「スピードは僕のほうがあると思った」と先に左ジャブ、右ストレートを当てて、ペースをつかむと、2回には右から返した左フックでダウンを奪い、リードを広げた。挽回を図り、3回から距離を詰めてきた臼井の攻めもリーチを生かして冷静に抑え込み、大差の判定勝ち(50対44、49対45、49対46)。終わってみれば3名が進出していた中部のジムから唯一の勝者となり、中日本代表として面目を保つ形になった。

 四日市大学在学中の20歳。3兄弟の次男で、全員がプロのリングに立つ。長男・祐斗(ゆうと=22歳)が中学3年のときに最初にボクシングを始め、それに続いたのが三男・龍明(りゅうめい=19歳)。祐斗は強打を武器に現在、日本スーパーフライ級6位にランクされるジムの看板選手。龍明は「運動神経が抜群で、センスは兄弟でいちばん」と兄ふたりが認めるポテンシャルを秘める。

兄と弟がスパーリングパートナー

 兄弟のなかで最後にグローブを握ったのが淳希だが、祐斗が「いちばん慎重で、計画的なタイプ」と評する性格そのままの丹念なボクシングで兄が果たすことができなかった全日本新人王になり、無敗のまま(5勝3KO1分)日本ランク入りを決めた。

「2人のおかげ。心強かった」と兄弟に感謝する。環境的に決して恵まれているとは言えない地方のジム。普段から一緒に動画を見ながらボクシング談義をしたり、ジムではミットを持ち合ったり、アドバイスをし合ったりするなど、兄弟で支え合い、お互いを高め合っている。

 この試合に向けてもジムのマネージャー兼トレーナーの父・安弘さんと兄弟全員で「それぞれ違った目線から」(淳希)対戦相手を映像で研究。交代でスパーリングパートナーを務め、対策を練ってきた。

「来年はランキングを上げられるように頑張りたい」と淳希。年末まで横浜の大橋ジムでスパーリングを重ねる祐斗、中日本新人王スーパーバンタム級決勝で敗れ、この舞台に立つことができなかった龍明にも刺激を与え、兄弟3人で生まれ故郷の鈴鹿から、さらに上を目指す。

取材◉船橋真二郎

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