11月6日、ダイヤモンドシリーズ進出をかけた日立との一戦。2対3と1点ビハインドで迎えた7回表、二死二塁の場面で打席が回ってきたが、テイラー・マクイリンが投じた2球目を詰まらせて三塁ゴロに打ち取られた。ゲームセットとともに、山田恵里の21年間にわたる現役生活も幕を閉じた。「ここで終わるつもりはなかった。まだ、終わった感じがしない」。試合後、正直な思いを吐露した。
レギュラーシーズンでは2勝1敗と勝ち越していた相手だが、序盤にいきなり3点を失う苦しい展開。打線はチャンスをつくるも、なかなか得点を奪えずにいた。しかし5回、「ここで打たないと流れを持ってこられない」と三番・洲鎌夏子が2ランを放ち、反撃のムードをつくる。そして、迎えた7回。打順は八番からで、二番の山田まで回せるかどうかという状況だった。八番、九番が連続三振に打ち取られたものの、一番の川村莉沙が二塁打を放ち山田へとつなぐ。「山田さんまで回そう!」というみんなの思いが川村のバットに乗り移り、回ってきた打席だった。
五輪で2度、世界選手権で2度世界一になった山田だが、意外にも実業団で日本一の経験はない。それがかなわぬままの引退となってしまったが、「日本一に一度もなることなく(現役が)終わったのも何か意味があると思っている」と、前向きに受け止める。
デンソーで2年、日本代表でもともにプレーした洲鎌は言う。「山田さんはみんなが苦しいときにこそ、励ましの言葉を掛けてくれる人だった。私も、結果が出なかったり、苦しんでいるときに『今は今、次を向こう』と山田さんに言われて、何度も助けられました」。
長い現役生活の中で、楽しいことだけではなく、つらく苦しい思いもたくさんしてきた。でも、そんなときに山田自身も「今は今、次を向こう」と自分自身を奮い立たせてきたのだろう。「選手としては終わりだけど、人生が終わったわけじゃない。これからもいろいろなことに挑戦したり、経験を伝えていけたらと思っています」。
先頭に立ち、同じ時代を生きるたくさんのソフトボール選手に影響を与えた山田。これからはソフトボールの伝道師として、競技や選手の魅力を伝えていく。