IBF世界フライ級チャンピオン、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に同級14位の八重樫東(大橋)が挑むタイトルマッチ12回戦は12月23日、神奈川・横浜アリーナで行われることが発表された。ムザラネは3度目の防衛戦。世界3階級を制覇してきた八重樫は、2年半ぶりの王座返り咲きをかける。同日は村田諒太、拳四朗とのトリプル世界戦となる。
写真上=世界王座返り咲きへ決意を示す八重樫
2017年5月、ミラン・メリンド(フィリピン)にショッキングな初回TKO負けを喫してから31ヵ月。「奪還」の機会が、ようやく八重樫に訪れた。「悩み、苦しみながら、ここまで来ました。それこそ進退も考えました」と明かした八重樫。リングに踏みとどまったのは「根本的にボクシングが好きだったから」という素直な気持ちからだった。
この間、4階級制覇を最大の目標としてきたが、スーパーフライ級での挑戦交渉は難航。最終的にフライ級で決まった。このクラスで戦うのは、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)戦で壮絶に散って以来、5年ぶり。標的が変わったことで心境の変化も心配されたが「決まったからには、命をかけて戦うつもりです」と悲壮な決意を示す。36歳になったが、王者ムザラネはさらに上の37歳。学年でいえば同級生ということで「変にモチベーションが沸いた。負けたくないな、と」
そのムザラネは、3度続けて日本人相手の防衛戦となる。「とてもキャリアがあり、(ノニト)ドネアや(ゾラニ)テテら(現役の世界王者)とも戦ってきた強豪。スタイルも堅実で、崩しにくい。一筋縄ではいかない」と、八重樫は厳しい戦いを覚悟している。
愛し続けたボクシングを「どう卒業するのか」考え抜いてきたという八重樫。不屈の男は、どんな戦いを見せてくれるのか。
文◎藤木邦昭
写真◎山口裕朗
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