社会人アメリカンフットボールのXリーグは8月25日、2018年のシーズンが開幕した。富士通スタジアム川崎では、厳しい暑さの中で2試合が行われ、東地区のアサヒビールシルバースターが20-8で電通キャタピラーズを、中地区の東京ガスクリエイターズは43-6で富士ゼロックスミネルヴァAFCを破った。
アサヒビールは第1クオーター、最初のドライブで新米国人RBジョナ・ホッジスが11ヤードのランTDを決めて先制。しかし、その後はフォンブルロストやパントが続き、フラストレーションがたまる展開に。第3クオーター11分にQB鈴木貴史からのパスをキャッチしたホッジスがランアフターキャッチで43ヤードのTD、第4クオーターにはホッジスが54ヤードを独走してTDを決めて、粘る電通ディフェンスを突き放した。電通オフェンスはQB山城拓也がパスで209ヤードを奪ったが、味方レシーバーがTDパスを落球するなど、詰めの甘さを露呈した。
東京ガスは、第1クオーター最初のドライブ、QBイカイカ・ウージーのパスとラン、新加入のRBアンドレ・ホワイトのランで、ゴール前に迫ると、ホワイトのランで先制TDを決めた。これを皮切りに前半5回のオフェンスで4本のTDを奪った。QBイカイカはパス14/18、162ヤード1TDと、開幕戦から良い仕上がりを見せた。試合終了間際には、K関根佑が55ヤードのFGを決めた。東京ガスはディフェンスもアグレッシブで、ロスタックルを5回決める(1回はセーフティー)などして、富士ゼロックスの反撃を第3クオーターのパスTD1本だけに抑えた。
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全国的に厳しい残暑となった8月25日、富士通スタジアム川崎のある川崎市川崎区の午後2時の気温は33.9度で湿度66%。人工芝のフィールド上はもっと高い気温だったと推測する。アサヒビール、電通の両チームともに、この厳しい暑さが明らかにプレーに影響していた。両チームのチアリーダーや、強い陽光がまともに当たる旧3塁側スタンドのファンも含め、この場にいる全員の健康管理が気になった。
アサヒビールの有馬隼人ヘッドコーチは「今日は、午後2時半キックオフという、一日で一番暑い時間帯でのゲームだったので、まずは(暑さが原因で)選手が倒れたり、救急車が来たりということにならないように配慮した。選手のコンディションをセーフティーにするのが第一という意識で、電通のコーチとも意識を共有しながらゲームに取り組んだ」という。
日本スポーツ協会は、総合的に暑さを評価する暑さ指数(WBGT)を基準に『熱中症予防のための運動指針』を策定している。「ほぼ安全」、「注意」、「警戒」、「厳重警戒」、「運動は原則中止」の5段階だが、25日の暑さや、フィールドの条件がどのレベルだったのだろうか。
アメリカンフットボールの関係者は「暑さで試合を中止にするという数値的な基準がない」現状を認めている。元々は秋から冬にかけての、寒い時期のスポーツなので、仕方がない面もある。しかし、昨今のアメリカンフットボールを取り巻く状況の中で、もしものことがあった場合、取り返しがつかない。有馬HCの言葉通り、「安全」が一番大切だ。今後のことを考えて、暑さの中での試合開催の基準を、より細かく具体的に詰める必要があるのではないか。
26日も、富士通スタジアム川崎では午後2時半からの試合がある。富士通対IBMという昨年の社会人決勝「ジャパンXボウル」再戦の好カードだが、予報では、25日以上の猛暑となっている。いよいよ危険というレベルの暑さであれば、試合開始時間を遅らせたり、場合によっては試合順延という判断もあってしかるべきだと考える。【小座野容斉】
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