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2018-06-30

スカイラー躍動 オービックがIBM圧倒し連覇

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第40回パールボウル

アメリカンフットボールの春季東日本社会人選手権、第40回パールボウルが6月28日(木)に東京ドームで行われた。2年連続でIBMビッグブルーとオービックシーガルズの顔合わせとなったが、オービックが攻守ともにIBMを圧倒し28-2で2連覇した。試合のMVPには、オービックのQB#3スカイラー・ハワードが選出された。

【オービック vs IBM】第40回パールボウルでゲームMVPに選出された、オービックQB#3スカイラー・ハワード(写真:北川直樹)

オービックシーガルズ○28-2●IBMビッグブルー(6月28日、東京ドーム)

IBMは自陣深くから始まった最初のドライブを着実に進めたが、59ヤードのフィールドゴール(FG)トライを失敗した。代わったQBスカイラー・ハワード率いるオービック攻撃陣がドライブを重ね、最後はRB#43望月がエンドゾーンに力で押し入って、先制のタッチダウン(TD)を奪った。オービックは、第2QにもQBスカイラーが、エンドゾーン右奥に走り込んだWR#18木下にパスを通し14-0とリードを広げた。

【オービック vs IBM】先制のタッチダウンを奪う、オービックRB#43望月麻樹(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】チームメイトにTDの祝福を受ける、オービックRB#43望月麻樹(写真:北川直樹)

IBMはQB#2の政本を起点にドライブするものの、小さなミスや反則で攻めきれず。途中から登場したヘッドコーチ兼任のQB#3のクラフトもスコアできなかった。オービックは、後半にもQBスカイラーからTE#85ホールデンへのパス、RB#29李のランでTDを重ねた。オービックはディフェンスの失点はなく、第2クオーター(Q)のセーフティ(SF)による2点だけだった。オービックはIBMのキックオフリターンで、2人並んだリターナーのうち、エースWR#81栗原のサイドにボールを蹴り続けた。相手チームのストロングポイントを敢えて突き、真っ向勝負する「らしさ」を感じた。

【オービック vs IBM】IBMスターターQBの#2政元がテンポよく攻撃を指揮した(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】IBM QB#2政元は、この試合で15回投10回成功69ヤードを獲得し、被インターセプト0のパス効率(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】IBM WR#81の栗原は、リターナーとして5回127ヤードを走った(写真:北川直樹)

「もっとできる」若きQBに膨らむ期待

【オービック vs IBM】オービックのエースRBとして力強いランを見せた#43望月麻樹(写真:北川直樹)

この試合、明暗を分けたのは、ランニングゲームだった。獲得ヤード、点差ともに差が付いた。オービックは#43望月が10回52ヤード、副将の#29李が7回45ヤードとコンスタントなゲインで試合のペースを作った。エースRB高木が欠場したIBMのラン22回56ヤードにとどまったのに対し、オービックのラン37回193ヤードに達した。中でも、QBスカイラーが、スクランブルからIBM守備を切り裂き奪った63ヤードが効果的だった。

【オービック vs IBM】オービックQB#3スカイラーは、自身が走るたび1ヤードを貪欲に奪いに行った(写真:北川直樹)

23歳のQBスカイラーは、今春オービックに加わった。米ウェストバージニア大で活躍した本場仕込みの滑らかな動きとスピードで、東京ドームでも躍動した。第2Q終盤には、敵陣ゴール前まで攻め込みながら、ファンブルロストするミスもあったが、後半も、冷静に、オービック攻撃陣の良さを引き出す役割を遂行した。

【オービック vs IBM】IBM LB#5コグランのタックルを交わす、オービックQB#3スカイラー(写真:北川直樹)

古庄ヘッドコーチ(HC)が「ミスしてもしっかりと気持ちを切り替えられるのが、スカイラーの良いところ」という。その言葉通り、前半のミスを引きずることなく、後半最初のシリーズでは、11プレー75ヤードをドライブ。最後はTE#85ホールデンにTDを通す、堂々としたパフォーマンスを見せた。このシリーズを古庄HCは「前半は気持ちが空回りしていたが、しっかりと成果を出した」と高く評価した。「期待値はもちろん高い。今日のスカイラーの出来はまだ60、70点というところ。もっともっとできる」と期待を込めて語った。

【オービック vs IBM】ターゲットのWRにパスを投じる、オービックQB#3スカイラー(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】オービックTE#85ホールデンがTDパスをキャッチ(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】戦況を見つめるオービック古庄直樹HC(写真:北川直樹)

過去数年、オービックは、QB#6菅原、畑(16年引退)のように上背はなくともラン・パスの判断に長けたQBが活躍してきた。スカイラーもまた、オービックのスタイルによくマッチしているように見える。後半には、菅原や#12荒木も登場した。荒木はノジマ相模原から今季移籍加入。試合後、「まだチームに貢献できていないが、秋にはスカイラーや菅原さんと勝負できるようになりたい」と上を向いて話した。

オービックは2013年以来、王座から離れている。この秋、スカイラーが、真に期待通り「100点」のパフォーマンスを発揮したとき、5年ぶりの王座奪還が現実味を帯びる。

【オービック vs IBM】フィールドセレモニー前のオービック選手たち(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】オービック主将のTE#88安東がパスをキャッチ(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】オービックDL#90高橋がIBM QB#3クラフトをサックに仕留めた(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】素早い集まりを見せる、オービック守備選手たち(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】#43望月につぐ7回走 45ヤード 1TDを獲得した、オービックRB#29李(写真:北川直樹)

【オービック vs IBM】パールボウルの優勝杯を掲げる、オービック主将TE#88安東(写真:北川直樹)

【写真/文:北川直樹】

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