13日、東京・後楽園ホールで行われた日本女子バンタム級タイトルマッチ6回戦は、チャンピオンの吉田実代(EBISU K’s BOX)が同級1位の挑戦者・若狭与志枝(花形)に3-0の判定勝ちで2度目の防衛に成功した。
写真上=吉田(右)の右アッパーが若狭を捉える
写真◎小河原友信
「キャリアの差ですね」――。戦い終えて勝者、敗者とも口を揃えたコメントが、この試合のすべてだった。ともに30歳で、デビューも2014年の両者。だが、すでに日本と東洋太平洋の王座を手にし、これが2度目の防衛戦となる吉田に対し、6勝無敗とはいえ4回戦を卒業して2戦目の若狭。ボクシングの奥行きの違いが、リング上ではっきりと示された。
吉田は立ち上がりから速い左を先に当ててペースをつかんだ。加山利治会長と練習してきたとおり、ジャブの差し合いもヘッドをずらしながら打つことで若狭の空振りを誘った。右の強打が売り物の若狭だが、前に出ればカウンター、くっつけばボディブローと巧みに展開する吉田の試合運びの前に、その攻撃は正直に過ぎた。
「やりにくかったです。これがチャンピオンのうまさなのかと…」と若狭は強打を封じられて脱帽。その吉田は「相手のパンチが強いことはわかっていたので、一発ももらわずに完勝しようと思っていました。ここで負けるようじゃ、世界にはいけませんので」と上を見据えた。
着実な進歩を見せて通算12勝目(1敗)を飾った一方で、今回も念願の初KOは逸した吉田。「スパーではコンビネーションを打てるんだけど…」と加山会長が言う「詰め」の課題は次に持ち越された。
「まだ未熟ですが、やらせていただけるなら、ぜひ向かっていきたい」と“世界”への意欲を語る吉田に「交渉は進めている。海外に行ってもいい」と、加山会長は話が来ればいつでも応じる姿勢だ。
取材◉藤木邦昭
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