写真上=「成長した自分を見てほしい」とサルダール
写真◉ボクシング・マガジン
26日、東京・後楽園ホールで谷口将隆(ワタナベ)の挑戦を受けるWBO世界ミニマム級チャンピオン、ビック・サルダール(フィリピン)が来日。ワタナベジムで練習を公開した。
サルダール陣営は午後着の便で成田空港から都内のジムに直行する慌ただしさ。ギリギリの日程は日本の2月の寒さを心配し、少しでも長くフィリピンで調整したかったと説明した。それでも長旅の疲れを見せず、縄跳び、シャドー、ミットをそれぞれ3ラウンド、計9ラウンドの練習を公開した。
練習に先立って行われた記者会見では、順調な仕上がりを強調。谷口の実力を高く評価し、万全の準備をしてきたと話した。ニックネームのVicious はVicの名をもじったもので、どう猛、危険を意味する。もっとも会見はほとんどマネージャーとトレーナーが代弁し、チャンピオンはうつむき加減で声も小さく、シャイな性格をうかがわせた。
初の世界挑戦では田中恒成(畑中)からダウンを奪うなど圧倒的にリードしながら、ボディを打たれて逆転KO負け。その後はフィジカル、メンタルの強化に努めたと言い、2度目の挑戦で山中竜也(真正)からタイトルを奪い取った。いずれの試合も一発必倒の威力を秘めた右で、日本のファンに強烈な印象を残した。
練習では速い動きと鋭いパンチを披露。谷口の井上孝志トレーナーは「やっぱり右は怖い」と警戒し、田中戦からの成長も認めた。一方で、最後のミット打ちでは息が切れかかっていたこと、水をまったく飲まなかったことから減量苦も指摘。「やることはひとつ」と攻略に自信をにじませた。
1勝1敗で迎える3度目の日本のリングで「成長した自分を見てほしい」と勝利を誓ったサルダール。遠回りしてチャンスをつかんだ谷口との一戦は、緊迫した主導権争いが繰り広げられそうだ。
取材◉藤木邦昭
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