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2023-11-03

【天龍プロジェクト】吉田和正「このリングでストロングヘビー級の防衛戦をやって天プロに恩返ししたい」【週刊プロレス】

大日本プロレスの吉田

大日本プロレスの若手としてデビュー直後から天龍プロジェクトに上がり続けている吉田和正。新井健一郎によって手玉に取られる試合が続く一方、ホームリングではタッグとシングルのタイトルに連続で挑戦する活躍を見せている。3年連続出場となる龍魂杯への意気込みとともに、ヘビー級だからこそ天プロのリングで描く夢を聞いた。
◇    ◇    ◇
――吉田選手にとっての龍魂杯は、なんといっても不戦勝という形でプロ入り初勝利をあげるといういわくつきの大会です。

吉田 あの時(第一回龍魂杯1回戦でHUBの欠場により勝利)は嬉しかったというよりもビックリしたのが正直なところでした。でも勝ちは勝ちですから、試合はなくてもリングに上がって勝ち名乗りをあげた時は思いっきり嬉しさを表そうと思いました。

――いいガッツポーズでした。
吉田 あれがデビューして半年ぐらいでしたけど、天龍プロジェクトさんにはデビューした直後から出させていただいて、その後もレギュラーで出られていながらいい結果を出せていないので、3度目の今年は是が非でも勝ちたいです。ベルトは獲れなかったですけど、大日本でも(BJW認定)タッグのベルトに挑戦できたり、昨日(10月29日)も(BJW認定世界)ストロングヘビー級に初めて挑戦できたりして場数は踏めていると思うので。

――1回線の相手は児玉裕輔選手です。

吉田 僕は(WRESTLE-1主宰の)プロレス総合学院出身者としてプロレスラーになる前から児玉さんの試合を会場にいって見ていて、すごい選手だと思っていました。そんな方と初めて1対1の勝負ができるのは嬉しいです。

――やはりWRESTLE-1出身の先輩たちは特別な存在になりますか。

吉田 そうですね。河野(真幸)さんは特に、学院で直接教えていただいた方ですから。だからこそ、児玉さんに対してもより勝ちたい気持ちが強いです。

――一昨年は不戦勝のあとの2回戦で河野選手、昨年は1回戦で佐藤耕平選手に敗れていますが、児玉選手は大型ファイターとは違うタイプです。

吉田 大きいからとか機動力のある相手ということで得意か不得意かというのは自分の場合、特にはないです。天龍プロジェクトさんのリングに上がっている方々は、セコンドについて見ているとすごいと思う人しかいないので、大きさやスタイルは関係ないですね。児玉さんを見ていてすごいと思うのは、どうやったらああいう雰囲気をまとえるのかとか、ドロップキックの美しさ、受け身のうまさといったところに目がいってしまう。すごく勉強になります。自分は、比べるまでもないほどひきだしがないので、いつも通りのやり方でいくしかない。児玉さんに勝っている部分があるとすれば、それは力や体格差なので、そこを生かす以外にないのはわかっています。

――お互いが勝ち進むと、準決勝で新井健一郎選手と当たる可能性があります。

吉田 今の時点ではそこまで考えていないです。一戦ごとに集中しなければ勝てない相手ばかりですから。ただ、3度目の一騎打ちを要求した身としては向こうも勝ち上がってきて、僕が勝ってその日の新木場売店まで引きずっていって、大日本プロレスのチケットと僕のグッズやポートレイトを売らせることができたら最高です。

――アラケン選手は、直接対決が実現する前に吉田選手が1回戦で勝った時点で売店に立ってやると言っていました。ただし3分間だそうです。

吉田 それでしたら僕が1対1で勝って、最後まで立たせます。

――自分が勝ったら大日本の売店に立たせるというのも、よくあの場で考えつきましたよね。

吉田 向こうは自分が髪の毛がなくて賭けようがないのに、僕に賭けろと言ってきた。だったら違うものをと、すぐに浮かびました。それほどのものを賭けてやるんですから、本当に次が最後です。仮に自分が負けたとしても、もう一回!とは言わない覚悟でやります。

――それは、アラケン選手がどんな手を使ってきても勝ちは勝ち、負けは負けということですか。

吉田 はい。最後にレフェリーが勝者として手をあげたら、どんなに汚いことをやったとしても勝者は勝者と受け止めます。でも、そう簡単には向こうの描いている通りにはさせません。こっちは今までさんざん試合だけでなく言葉でもあれほどのことを言われてきました。人前であんなに言われるのって、普通に生活していたらないですよね。

――大日本プロレスのリングだったら、もともと身内だからあそこまでのことは言わないでしょうからね。

吉田 そうなんです。そういう意味では、大日本で経験できない恥をかかされたことで気持ちが強くなれたところはあると思います。新井健一郎との闘いに限らず、天龍プロジェクトに上がることでプロレスについて考えるようになりました。それまではまだ新人ということもあって真っすぐ、真剣に頑張ればいいという感じでやってきたのが、ここでは立ち振る舞いだったり、マイクで何を言うべきかを考えたり、バックステージでのコメントひとつをとってもちゃんと伝わる言葉で言わなければと学びました。もともと口ベタなんですけど用意した言葉ではなく、その瞬間瞬間に考えて伝わる言葉を口にしなければならないのは、日々勉強ですね。

――大日本では若手ということもありそこまで求められていなかったし、そういうシチュエーションもなかった。

吉田 ただ頑張るだけじゃ、もうダメなんだということを天龍プロジェクトさんに上がることで気づけました。その中でタイトル(WAR世界6人タッグ)挑戦など、チャンスもいただいていますし。

――天龍さんとはまったく世代が違う自分にオファーが来た時はどんな思いでしたか。

吉田 他団体から声をかけていただくのも初めてだったんですけど、たまたま神谷(英慶)さんが天龍プロジェクトさんに出られる時、物販としてついていって。そこで(嶋田紋奈)代表に声かけていただいたのがスタートでした。その時点で僕はデビューして1ヵ月ちょっとだったので、おそらく試合も見てもらっていなかったと思います。それなのに呼んでいただいてビックリしたんです。
――現在、キャリア2年半であることを思えば、BJW認定タッグに続きBJW認定世界ストロングヘビー級王座挑戦は想定していたより早く実現できたのではないですか。

吉田 確かにそうですけど、今年に入ってストロングBJは岡林裕二さんと加藤拓歩さんという挑戦者の列の前に並んでいたお二人が抜けた分というのがあったと思っています。だから自分の実力だけではないんですよね。でも、二つのリングでそれぞれの目標、テーマを持ってやれているのはすごく恵まれていると思っています。天龍プロジェクトにおけるシングルのタイトルってジュニアだけですよね。

――そうですね

吉田 ヘビー級でも強い人たちがたくさんいるし、僕は何度も負かされてきた。だから大日本でストロングヘビー級のベルトを獲ったら、天龍プロジェクトさんのリングでその方々と防衛戦をやりたいんです。そうすれば、ヘビー級ももっと盛り上がる。

――龍魂杯が年に一度であることを考えれば、ほかにヘビー級の目標があった方がいいでしょうね。

吉田 僕が盛り上げることで、たくさん学ばせていただいている天龍プロジェクトのリングに恩返しができると思うんです。ストロングヘビー級に挑戦した試合で、僕は初めて後楽園のメインをシングルで闘いましたけど、すごく緊張しました。今でも普段から第1試合であってもメインであっても緊張してしまうんで、龍魂杯の決勝戦で後楽園のメインになってもメチャメチャ緊張すると思います。それでも、2度目の後楽園メインのシングルを味わってみたいです。(聞き手・鈴木健.txt)
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