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2023-12-13

【箱根駅伝の一番星】日体大・山口廉がメンバー外から1年で主軸に「同世代には負けたくない」

山口は、前回の箱根から陸上との向き合い方を見直し、今季関東インカレ1部のハーフマラソン7位(写真/中野英聡)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。中学時代にあこがれた箱根路へ、大きな一歩を踏み出そうとしているのは、日本体育大3年の山口廉。前回大会のサポートの経験から陸上との向き合い方が大きく変化。それにより、今季、調子を上げている。予選会ではチーム1番手でフィニッシュ。勢いそのままに箱根でも活躍を誓う。

予選会でチームトップ 76年連続出場に大きく貢献

佐賀の中学校時代に本格的に陸上を始め、テレビの前でずっと見てきた箱根駅伝。かつては青山学院大(当時)の神野大地に心を奪われ、「いつかは僕もあの舞台で走りたい」とずっと憧れを抱いてきたという。

日体大の山口廉は、入学3年目でようやく夢見た箱根路のスタートラインに立とうとしている。10月14日の予選会ではチーム1番手の1時間02分24秒をマークし、76回連続出場に大きく貢献。タイムを稼ぐ大役をしっかり果たし、主力としての自覚も芽生えた。

「プレッシャーがかかる大きな舞台で結果を残せたことは、自分の自信になりました。本戦ではさらに勝負していかないといけないと思っています」

本戦が迫るなか、気持ちを高ぶらせている。重圧はまったく感じていない。むしろ、意欲に満ちあふれている。

メンバー外から1年で主軸に

ふと1年前の箱根駅伝を思い返す。チームの裏方として、5区、6区で選手のサポートに回っていた。予選会には出走できず、本戦でもメンバー外。山区間で大きな声援を浴びる同期の箱根ランナーたちを見ながら、悔しさだけを募らせた。

「自分はいったい何をやっているんだろう。なんで、ここで見ているんだって」

来年こそは必ず走ると胸に誓い、これまで以上に陸上に費やす時間を増やした。12月から1月にかけては週1回、一人で2時間走をこなし、ひたすら距離を踏んだ。補強トレーニングにも精を出し、筋力を強化。生活面もあらためて、食事から改善した。すると、たびたび悩まされてきた故障は減り、コンスタントに練習を積めるようになった。関東インカレ1部のハーフマラソンでは7位入賞。夏合宿の練習消化率もチームで最も高かったという。玉城良二監督も信頼を寄せ、往路の候補に挙げている。目標に掲げる6年ぶりのシード権獲得に向けて、重要区間を担う可能性は高い。本人の希望区間は1区だ。

「持っている力を発揮できれば、必ず良い結果が出ると思っています。悔いが残らないようにしたいです」

高校時代にしのぎを削ったライバルたちには対抗心を燃やす。福岡の大牟田高で同期だった青山学院の太田蒼生、九州国際大付高(福岡)から大東文化大に進んだ西川千青は意識する同世代のランナー。1区での競演もあるかもしれない。

「同世代には負けたくないです」

少し遅れてきた20歳は、待望の箱根デビューを心待ちにしている。



PROFILE
やまぐち・れん◎2003年3月31日、佐賀県生まれ。啓成中(佐賀)→大牟田高(福岡)。今年の予選会をチームトップでフィニッシュ。76年連続76回目の箱根路に貢献した。自己ベストは5000m14分08秒15(大1)、10000m29分26秒96、ハーフ1時間02分24秒(共に大3)。

文/杉園昌之 写真/中野英聡

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