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2023-12-15

【アメフト】「勝敗を決めるのはファンダメンタル」富士通・山本、パナソニック・荒木の両指揮官が一致 ライスボウル会見

健闘を誓いあう(左から)パナソニック青根主将・荒木監督、富士通山本HC・趙主将=撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールの日本一をかけて、来年1月3日に東京ドームで行われる第77回日本選手権・ライスボウルの記者発表会が、12月11日、東京都内で開かれた。国内最高峰の「X1スーパー」の上位8チームで行われたライスボウルトーナメントを勝ち上がったパナソニック インパルスと富士通 フロンティアーズの2チームが、3年連続で決勝のライスボウルで対戦することになった。

 富士通からは山本洋HC(ヘッドコーチ)とLBの趙翔来主将が、パナソニックからは荒木延祥監督とLBの青根奨太主将が出席し、日本一へ向けて、決意と抱負を語った。

勝敗の分かれ目は3TD 
日本一を目指すパナソニック・荒木監督(左)、富士通・山本HC=撮影:小座野容斉
 勝敗の分かれ目について、チームとして2度目の3連覇がかかる富士通の山本HCは、「準決勝で戦ったオービック、そして今度のパナソニックを相手にすると、得点のチャンスは本当に少ない。そのチャンスを貰えた時に、準備してきたことを選手たちが、フィールドでいかにやり切れるかというところが重要。TDは2本か3本、プラスαくらいのゲームになると思っている。そういう展開のゲームで勝ち切れる準備はしていきたい」と語った。

 パナソニックの荒木監督は「TD3本というのが、勝敗の1つの線だと思っている。3本取らないと勝てないと思っているし、3本取られたら勝てない。富士通のディフェンスは完成されている。3本を取るのは至難の業だし、あのオフェンスに3本取らせないのも至難の業。ただ、今の富士通の、この牙城を崩さないと日本のフットボールの進歩はない。何とか乗り越えたい」と話した。

荒木監督「一生懸命パイン飴を舐めています」
日本一を目指すパナソニック・荒木監督(左)、富士通・山本HC=撮影:小座野容斉
 荒木監督は、2019年のジャパンXボウルも含めると、富士通にポストシーズンゲームで3連敗している。過去敗れてきた理由を「第4Q(クオーター)になると、お互い準備してきたことも出し切って、凄くベーシックな戦いになる。富士通は、RBトラショーン・ニクソンにボールをキャリーさせて、ランで押してくる。そうなると、結局は、基本となるプレーのレベルの高さ、一つ一つのプレーのファンダメンタルの質の高さで勝負が決まる。そういったものが、特に、この2年間、我々の方が劣っていた」と語り、この春から徹底した基礎力の強化に取り組んでいると答えた。

 山本HCは、「一番大事にしなければいけないことは、(準決勝までと)何も変わらない。それを決勝に向けて、どれだけ高めていけるのか。ファンダメンタルとチームのスタンダードという自分たちが大事にしてきたことを、さらにこの3週間、選手たちに求め続ける」と話した。

 そして「パナソニックとゲームをすると、必ずタフなゲームになる。ゲームの中でしんどい場面、劣勢に立たされた時、頼れるのは自分だ。荒木監督がおっしゃっていたように、最終的に勝負を決めるのは、良いゲームプランや準備してきたものだけではない。選手個々の、1対1の勝負があって、そこで勝ち切れるのか。そこが一番大事だと思っている」と話した。

 他のスポーツでは、2023年はプロ野球(阪神、オリックス)、サッカーJ1(ヴィッセル神戸)と、関西のチームがリーグを制覇している。「そういう流れに乗りたいという気持ちはないか」と質問された荒木監督は「もちろんです。だから今、(阪神・岡田彰布監督を真似て)一生懸命パイン飴を舐めています」といって、笑いを誘った。

要警戒選手はパナソニックTEレイモンド、富士通RBニクソン
健闘を誓いあうパナソニックの青根主将(左)と富士通の趙主将=撮影:小座野容斉
 警戒する選手として、富士通の趙主将(LB)は、今季からパナソニックに加入した、TEのダックス・レイモンドを挙げた。レイモンドは、196センチ、112キロ。NFLの強豪スティーラーズのキャンプに2年連続で参加した実力を持つ。趙主将は「まだちょっと映像を十分に見切れていないが、サイズやプレーぶりが、国内にはいない、規格外のプレーをしている。一番警戒しなければいけない」と厳しい表情で語った。

 パナソニックの青根主将(LB)は、富士通のRBトラショーン・ニクソンと、WRサマジー・グラントの名を挙げた。「ただ、QB高木(翼)選手や、WR松井(理己)選手も凄い。1人1人に焦点を当ててしまっていては(他の選手が活躍して)苦しくなってしまう」として、「しっかり支えている屋台骨のOL。ここが富士通の一番の武器だと考えているので、まずここをしっかり攻略する」と決意を語った。


 両チームは、共に、リーグ戦とトーナメント合わせて7戦全勝。パナソニックはリーグ戦5戦全勝でディビジョンAの1位、富士通も5戦全勝でディビジョンBの1位で、ライスボウルトーナメントへ進んだ。パナソニックはアサヒビールシルバースターとIBMビッグブルーを、富士通は東京ガスクリエイターズとオービックシーガルズを破って決勝までたどり着いた。

 パナソニックはライスボウルとしては3年連続10回目の出場で5回目の日本一を目指す。富士通は3年連続8回目の出場で、2度目の3連覇、8回目の日本一を目指す。

 両チームは、日本社会人選手権「ジャパンXボウル」時代に3回対戦し、パナソニックの2勝1敗だが、過去2年のライスボウルは富士通が連勝、Xリーグ王座決定戦における対戦成績は、富士通が3勝2敗でリードしている。
ライスボウル記者会見=撮影:小座野容斉

【小座野容斉】

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