写真:日本臓器移植ネットワークのサイトでグリーリボン検定合格者に送られるグリーンリボンのピンバッジ Photo by Ishine
腎臓は生命維持に重要な臓器です。
現在発売中の「けんいち」19号の特集は、新たな「国民病」と呼ばれている「慢性腎臓病」を取り上げています。
日本の慢性腎臓病の患者数は、およそ1330万人。うち約33万人が人工透析を受けています。
人工透析は、末期腎不全という、腎臓の機能が廃絶して生命維持が困難になったときに導入される治療の1つです。
腎臓が機能を果たせなくなると、水分や塩分が排泄できなくなり、肺に水がたまって呼吸困難に陥ります。老廃物がたまって尿毒症になり、吐き気や意識障害が起こります。
そして、やがては合併症(心不全など)を起こして、生命の危険にさらされます。
人工透析は、まさに腎臓病患者さんの「命をつなぐ」治療なのです。
もちろん全身状態がかなり悪くて透析ができない・続けられない場合もあります。
ですが、そうでない場合には、透析を受けないあるいは透析を受けているのに中止するということは、命をつなぐ手段を放棄してしまった、と考えてしまいます。
その決断に至るまでの経緯の詳細は当事者にしかわからないことです。
もしも患者さん本人がそう判断したとしても、そばに寄り添う人たちは、向こうの世界に行くことに簡単には同意してはならないと考えます。
朝ドラ「まんぷく」の真一さんの言葉ではありますが、大事な人が生きてそこにいるなら、簡単に手放してはいけないと思うのです。
末期腎不全の治療には、透析のほかに腎臓移植があります。
移植は腎不全を根治させる唯一の治療であり、生体腎移植と献腎移植があります。
生体腎移植は、親、子、兄弟などの親族、または配偶者の身近な人から、2つある腎臓のうちの1個を提供してもらって移植します。
献腎移植は、脳死、心臓死で亡くなられた方からの腎臓を移植します。
日本で1年間に行われる腎臓移植の件数は1600~1700件。
20年前に比べて腎臓移植の件数は約2.5倍に増えていますが、増えているのは生体腎移植です。
献腎移植は年に200件ほどしか行われていません。その内訳をみると、脳死からの献腎移植は少しずつ増えていますが、心停止からの献腎移植は減っており、1989年の261件に対して2017年は65件という状況です。
日本臓器移植学会「2018臓器移植ファクトブック」より
http://www.asas.or.jp/jst/pdf/factbook/factbook2018.pdf
現在、献腎移植を希望する患者さんの数は1万2100人に上ります(臓器移植ネットワークに献腎移植希望で登録している患者さんの人数)。
腎移植待機者に対して、1年間で献腎移植を受けられる人は、わずか2%です。
移植待機を続けながら消えていく命があります。これは腎臓に限ったことではありません。移植がもっと進めば、救われる命が増えるのです。
(公社)日本臓器移植ネットワークをはじめとする関連団体では、より多くの人に移植医療について理解してもらうため、毎年10月の臓器移植普及推進月間を中心に、グリーンリボンキャンペーンを展開しています。
このサイトで「グリーンリボン検定」を行い、見事(?)合格。先日、臓器移植ネットワークから、合格証、グリーンリボンのピンバッジ、臓器提供意思表示カードが届きました。
この体が誰かの役に立つことができるのならと思い、もしものときのために家族と話し合って意思表示をしておきたいと思っています。
けんいち19号の特集では、慢性腎臓病に気づく検査から、腎養生、透析治療、腎臓移植など、体験談も入れて、他誌にはない情報量で詳しく紹介しています。
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