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2018-03-25

認知症予防の最新栄養戦略 〜第1回ロスマリン酸研究会〜

スペアミント、レモンバームに多く含まれるロスマリン酸

2月26日、東京にて「第1回ロスマリン酸研究会」が開催されました(代表世話人:岡山大学大学院神経内科・阿部康ニ教授)。
ロスマリン酸は、近年、脳機能の分野で研究が進んでいる栄養成分です。
スペアミント、レモンバームなどに多く含まれるポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは、カテキン、アントシアニン、クルクミン、ショーガオールなど、化学構造の違いによって多様な種類が存在し、その健康効果もさまざまです。
ローズマリーというシソ科ハーブから発見されたロスマリン酸は、認知症予防などの研究が進められています。

アルツハイマー型に対する栄養戦略とは

研究会の講演では、まず、神戸大学大学院保健学研究科の古和久朋教授が認知症と脳の健康課題を紹介しました。
認知症の63%はアルツハイマー型認知症。その脳には、老人斑と神経原線維変化が起こり、脳神経細胞の数が減少しています。
認知症の症状が出てから治療薬を使用しても根治治療には限界があるため、発症前に発見して治療・介入することが大切です。
予防戦略の1つとしては、老人斑の構成たんぱく質であるアミロイドβの産生を抑制し、老人斑の分解を促進する栄養戦略が必要です。
認知症予防の栄養戦略として注目されているのが、カレーの成分である「クルクミン」。
そしてもう1つ、ロスマリン酸にもその可能性があることがわかってきました。
特に、ロスマリン酸を主成分として65 種類のフェノール化合物を含有するスペアミント抽出物「ニューメンティックス」は、ヒト臨床試験では、作業記憶の改善や空間的作業記憶の正確性の向上などが明らかになっています。また、動物実験では、認知機能(学習能力と記憶)の改善が明らかになっています。
このことから、認知症の進行を予防する健康食品への可能性があると考えられます。
以上のことを、古和教授は述べられました。

ロスマリン酸は認知症への予防効果が期待できる成分

、続いて、鳥取大学大学院工学研究科の河田康志教授が、わかさ生活(本社・京都市)と共同で行った、ロスマリン酸を高含有するスペアミント抽出物の最新研究を発表されました。
河田教授はロスマリン酸などの各種ポリフェノールを含む全134種の生理活性物質を調査。
生理活性物質とは、身体の働きを調節する役割をもった物質のことです。
そのなかで、ロスマリン酸は、アルツハイマー型認知症の脳に蓄積するアミロイドβたんぱく質が起こすアミロイド線維化(老人斑の原因)の形成に対して、高い抑制効果をもつことがわかりました。
また、すでに形成されたアミロイド線維を分解する効果をもつことをデータを示しながら説明。
最新データとして、アルツハイマー型の脳に蓄積するタウたんぱく質についても、線維形化を抑制する効果を持つことが明らかにされました。
河田教授の研究は、細胞を調べた基礎研究データによるものです。これらのことから、ロスマリン酸を多く含むスペアミント抽出物は、早期認知症予防が期待できる素材であるとして、発表をまとめられました。

スペアミントは「健脳」食材

研究発表のあとの第2部では、「健脳」食材であるスペアミントの活用法や、最新脳トレーニングが紹介されました。
スペアミントの成分は水に溶け出しやすいので、水に入れて一晩おけば、爽やかな味と香りの美味しい水だしスペアミント水ができます。
カクテルのモヒートでは、ミントをスペアミントにすればその成分をうまくとることができます。
焼酎の水割りにスペアミントをふんだんに入れれば、美味しくいただけます。
会場では、スペアミントも用いたデザートやスペアミント入りの焼酎の水割りも振る舞われました。
また、スペアミント抽出物であるロスマリン酸を主成分としたわかさ生活の新商品「あたまサプリ」のお披露目も行われました。

スペアミントのデザート

健康一番 けんいち」には、みなさんのお役に立つさまざまな健康情報を紹介しています。
上記の内容は、健康生活マガジン「健康一番けんいち」13号(コーチング・クリニック5月号増刊)の健康情報スクエアに掲載。13号の特集は過活動膀胱・尿もれ・頻尿・排尿困難です。
また、「健康一番 けんいち」11号では、軽度認知障害予防を特集しています。
11号には、第1回ロスマリン研究会の世話人の阿部康ニ教授に、認知症の最新情報を紹介していただいています。

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