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2017-11-15

ストップ!! カンザリくん! 富士通ディフェンスの完勝

Xリーグは11月11日、横浜スタジアムでジャパンXボウル(JXB)トーナメントの準々決勝3試合を行った。第2試合の富士通フロンティアーズ(レギュラーシーズン2位)対エレコム神戸ファイニーズ(同7位)の一戦は、富士通が、34-7でエレコム神戸に快勝した。富士通は11月26日の準決勝(富士通スタジアム川崎)で、第1試合でノジマ相模原ライズを破ったオービックシーガルズと対戦する。

【富士通 vs エレコム神戸】富士通WR宜本が、QBキャメロンからのパスをキャッチした後素早い動きでファーストダウンを奪う

富士通〇34-7●エレコム神戸

両者は、直近では2016年10月のレギュラーシーズン第5節に対戦し、富士通が34-0で完勝している。しかしこの時のエレコム神戸は、エースRBジョーダン・カンザリを負傷で欠いての戦いだった。今回はカンザリ、QB糟谷啓二郎と、オフェンスの柱が揃い、苦手にしていた関東のチームにも、IBMとは延長タイブレークの熱戦、アサヒビール戦では大差で完勝と、実績を積んだ。一方の富士通は、レギュラーシーズン第6節で負傷したジーノ・ゴードン、高口和起の2人のRBを欠いた状態。エレコム神戸の勝機もあるかに思われた。しかし王者の壁は厚かった。

エレコムはオフェンスのファーストシリーズをカンザリのランで攻めるが、富士通ディフェンス陣の強く集まりの速いタックルに阻まれロスとなった。サードダウンで糟谷が投じたパスを富士通DB藤田篤にインターセプトされてしまう。富士通はQBコービーキャメロンのパスで攻め込むと、第1クオーター3分、RB神山幸祐のランで先制タッチダウン(TD)を奪った。第2クオーター、富士通は2度のドライブをいずれもK西村豪哲のフィールドゴール(FG)に結び付け加点、さらに同2分にはキャメロンからWR中村輝晃クラークに38ヤードのTDパスが決まって、20-0で後半へ折り返した。

富士通は第3クオーター3分にキャメロンからWR強盛へのTDパス、6分には神山がこの試合2本目のランTDと攻撃の手を緩めず。エレコム神戸はオフェンスの反則も多く、波に乗れず。大勢の決した第4クオーター7分に、カンザリのランでようやく1TDを返すにとどまった。

富士通は、エレコム神戸のサードダウンコンバージョンを1/12と抑え込み、ファンブルリカバー2回、インターセプト1回で、合計3回のターンオーバーを引き起こした。ディフェンス陣が好調のまま、ライバル・オービックと今季2度目の対決に臨む。

(取材・撮影/小座野容斉)

【富士通 vs エレコム神戸】第1クオーター、エレコム神戸RBカンザリを、速い集まりでロスタックルに仕留める富士通ディフェンス陣.

【富士通 vs エレコム神戸】現役復帰した富士通DL平井。日本を代表するエッジラッシャーだったが、今はインサイドでオフェンスの脅威となっている.jpg

【富士通 vs エレコム神戸】エレコム神戸のQB糟谷をサックする富士通LBニクソン。この試合3サックの活躍を見せた

◇富士通・藤田智ヘッドコーチ

・今日の試合を振り返って

結果はよかったがもう少しだ。ディフェンスは総じて、ライン戦で頑張っていた。相手のRBを、何回かやられた場面もあったが、抑えることができた。

・ディフェンスがターンオーバーを3回引き起こした。

こちらのオフェンスも1回やっているので、差し引きプラス2。それくらいの数字だと楽になれる。オフェンスのターンオーバー(QBキャメロンのインターセプト)はレシーバーとQBのコミュニケーションミス。あれは本来、レシーバーが救うことができた。

・TDを狙ったパスでも、カットされた

このレベルの戦いになったら、どのチームでもギリギリのところでやってくる。

・ゴードン、高口とRBが2人休み、厳しい試合になるかと思ったが

神山がかなり頑張ってくれたので良かった。元々は彼もスターターを張っていた選手。負傷から復帰してようやく感覚も戻って来たのではないか

・反対に、相手のRBカンザリをかなり止めていた。

ディフェンスがいい仕事をしたと思う。

・一度引退しながら現役復帰したDL平井がいい働きをしていた。本来は外からのパスラッシャーなのに、インサイドのラインでプレーしてそれがはまっていた

一回引退して、達観したのではないか。大学のフットボールで(コーチをやっている)5回生が一番うまい、みたいな感じだ。コーチをして、視野が広がって、違った見方ができるようになった。平井は元々マルチでどこのポジションでもできる能力がある素晴らしい選手。引退してゆっくりしていたところを復帰してもらった。

・復帰はチームが求めたのか、それとも彼がもう一度やりたいと言ったのか?

チームのニーズだ。

・パントリターンで立命大からきたルーキーの猪熊(星也)が入っていた

彼は凄い。加速感などが少し異次元だ。チームに合流したのはこの秋からだが、練習で見ていても「ガッ」と加速していくときの走りが、宙に浮いているような感じだ。まだ体が十分にできていなくて、プレーは制限しているが面白い存在だと思う。

・以前はパントリターナーは宜本潤平だった

潤平は負傷明けなので少しづつ頑張ってもらっている。彼もセンスがいいのでマルチに使える。

・「結果はよかったがもう少し」という言葉の、「もう少し」を具体的に言うと

サードダウンでオフェンスがファーストダウンを取れずにFGになってしまったり。インターセプトされたり。そういうところをパチッと完璧に決められれば、もう少し楽になれたと思う。それができていないのが今の我々のテーマだと思う。

・ここからは負傷が怖いので、第3クオーターに30点以上の差となったところでQBキャメロンを交代させる考えはなかったか?

セーフティーリードとは言いがたい。今のフットボールは飛び道具があるので、なにが起こるかわからない。ある程度試合時間が進まないと。この前の(オービック対ノジマ相模原の)試合でも、ぼんぼんと(ターンオーバーが)来始めると、あっという間に点が入った。もちろんリスクもあるので、引っ込めたいが。

・先ほどの「もう少し」の部分がちゃんとできて、TDを積み重ねられていればということか

そうだ。キャメロンを第4クオーターまで引っ張ったが、後2シリーズTDを取っておけば交代時期は早められた。フットボールは難しい。

・去年から今季にかけてチームとして変った部分、力を入れた部分は?

フィジカルのレベルアップを意識している。技術面は以前からずっとやっているが、もっとフィジカルが上がっていかないと、やはり米国人選手のクオリティーが高くなっているので。1対1のフィジカルで圧倒されてしまうとどうしようもない。(フットボールをIT機器にたとえるなら)物理的なハードウェアの部分が上がらないとチーム力は上がらない。

・OLの層の厚さは昨年とは違うのではないか

交代で出る控え選手が頑張っている。ただフィールドに出るのは5人。そのトップ5人の力量で決まる。選手層も大事だが、結局はトップの力がどれくらいあるかだ。

・連覇へ向けての手ごたえは

まったくない。なんか悔しい思いをしてばかり。(自分たちの力は)こんなものかと。

・去年と比べて、負傷者やチームの仕上がり具合は?

わからない。去年もしんどかった。今季は万全か言われれば万全ではない。まだまだ足らない

・次はオービックとの再戦になるが、この前の試合(オービック対ノジマ相模原戦)を見た感想は

チームとして乗っている。ディフェンスがターンオーバーをたくさん獲って、そこでオフェンスがスコアしている。良い状態だと思う。

・警戒する部分は

これから当たるチームはどの部分も良い。どこかが良い(から、そこを警戒する)ということではない。何かに気を取られたら,その瞬間に他の部分でやられる。オフェンスもディフェンスもキッキングも、すべてで皆がよい仕事をしないと、なかなか勝てない。

・次戦はどんなところがポイントになるか

引き続き、自分たちの仕事をちゃんとできるかどうか。

・第6節の試合とは違った展開になるか。

あれはもうまったく関係ない。

【富士通 vs エレコム神戸】第2クオーター9分、富士通が38ヤードのTDパスを決めた後に、WR中村クラークに語りかけるQBキャメロン

【富士通 vs エレコム神戸】ゴードン、高口が欠場する中、ランで2TDを奪うなど奮闘した富士通RB神山

【富士通 vs エレコム神戸】第1クオーター、富士通DB藤田がエレコム神戸最初のオフェンスシリーズでQB糟谷のパスをインターセプトし、チームメートのDBアディヤミから祝福される

【富士通 vs エレコム神戸】すばやい動きで割って入り、エレコム神戸RB山上をロスタックルに仕留めた富士通DL平井

【富士通 vs エレコム神戸】スクランブルで17ヤードをゲインする富士通QBキャメロン

【富士通 vs エレコム神戸】富士通のチアリーダーフロンティアレッツが旗を振って応援する

【富士通 vs エレコム神戸】劣勢のチームを笑顔で応援するエレコム神戸のチアリーダー

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