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2024-05-22

【相撲編集部が選ぶ夏場所11日目の一番】大の里、またも豊昇龍の投げに屈し3敗! 2敗の湘南乃海が単独トップに

この日勝てば初優勝に大きく近づけた大の里だったが、三たび豊昇龍の下手投げに転がされ3敗目。優勝争いはまたも混とん

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豊昇龍(下手投げ)大の里

181キロが、見事に裏返しだ。
 
豊昇龍が、今場所も大の里を右からの下手投げで投げ捨てた。この決まり手は先々場所、先場所に続いて、初対決から3場所連続だ。
 
これまで2度、同じような展開になっているだけに、今度は大の里が立ち合いその他、何か変えてくるかと思ったが、結局はこれまでと同様の立ち合い。大の里は右差しを狙って胸から立ち、豊昇龍は右手を少し出して、左は上手狙いだ。
 
特に、これまでと比べて大の里が立ち遅れたり、立ち腰だったりという印象はないのだが、結果的には3度の対戦で最も豊昇龍がいい形になった。立ってすぐに左上手に手がかかり、右は少し距離を取ったあと、下から掬って右下手。これが一枚廻しだったのも結果的に効いてくる。
 
大の里は上手を取られて差し手から起こすことはできず、右下手をつかむ。左は相手の上手が一枚なので切りにいくこともできず、おっつけて出ようとした。
 
しかしすでに両廻しを取っている豊昇龍は完全に大の里の重心を拘束できる状態にあった。相手の重心の下に腰を入れると、半ば掛け投げのように足をはね上げながらの下手投げ、鮮やかに大の里の巨体を裏返しにした。
 
大の里はこれで3敗となり、ときに星を落としながらも6日目から守ってきた優勝争いの先頭から脱落。さすがに取組後は「あした頑張ります」と2度繰り返したのみで、それ以上のコメントが出てくることはなかった。これまでは常に相手を研究し、進歩を見せていた大の里だが、同じ手で3度負けたというのはちょっと意外だった。
 
この日、平幕の2敗同士の対決は、湘南乃海が宝富士に得意の左を差されながらも小手投げでねじ伏せるというパワーを見せて勝利、単独トップに。場所前はノーマークだったが、一躍主役に名乗りを上げた。
 
立ち合いから一方的に攻め切るようなタイプの力士ではないが、大きい体と腰の重さがあり、相手からすれば難攻不落。今場所は立ち合いからの相手の攻めをしのぐと、抱えてじわじわ圧力を掛け、最後は勝利をモノにする、という相撲が目立つ。
 
単独トップに立ったので、もちろん残りを全勝すれば優勝、ということになるが、ただ、ここからの相手を考えると、そうやすやすとはいかないだろう。まずあすは三役の阿炎との対戦が決定、そのあとも、おそらく3敗の上位陣の琴櫻、大の里、大栄翔らが立ちはだかってくるはずで、そこで全勝、あるいは3勝1敗という星を残していくのは至難の業だ。
 
そう考えると、現在3敗の6人(琴櫻、大の里、大栄翔、御嶽海、欧勝馬、宝富士)にも、まだまだ可能性は残る。中でも、役力士の琴櫻、大の里、そして先場所まで長く三役を務めていた大栄翔の3人は、持っている地力からすれば、残り対湘南乃海戦を含む4連勝も、あって不思議ではない。
 
果たしてだれが湘南乃海を止めて抜け出すか? あるいは誰もがアッと驚く湘南乃海の逃げ切りか? 荒れに荒れた場所の最終盤は、全く予測不能だ。

文=藤本泰祐

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